南海トラフ地震と関東大震災 先に起きるリスクが高いのは?

コクハク編集部
更新日:2023-03-10 06:00
投稿日:2023-03-10 06:00

東日本大震災から12年

 23年3月11日、東日本大震災から12年を迎える。連日、今後の発生リスクの高い大災害として「南海トラフ巨大地震」が取り上げられている。政府の地震調査委員会は今後30年以内に70~80%の確率で発生すると発表、マグニチュード8以上の揺れが起きた最悪の場合は、死者32万人超と予測しているからだろう。

 今月4日、5日に放送された「NHKスペシャル 南海トラフ巨大地震」でも、南海トラフ想定震源域の片方でマグニチュード8以上の地震が発生し、時間差でもう片方でも連動して地震が起きる「半割れ」リスクが指摘された。

地震学者は「関東大震災」も懸念

 だが、地震学者の間では「南海トラフ巨大地震」だけに注目しているわけではない。1923年に発生し、今年9月に100年を迎える「関東大震災」も発生リスクが高まっているからだ。

 実際のところ、どちらが先に来る可能性があるのだろうか。武蔵野学院大特任教授の島村英紀氏(地震学)が言う。

「南海トラフ巨大地震は、100年から150年ほどの間隔で、マグニチュード8.0クラスが発生しています。684年の白鳳地震以来、1946年の昭和南海地震まで13回の記録が残っており、来るであろう時期が他の地震よりも予測しやすいといえるでしょう。

 前回から77年が経過しているのでそろそろ起こってもおかしくはなく、メディアでも取り上げるのも無理はありませんが、1995年の阪神淡路大震災の前にも、2011年の東日本大震災の前にも、地震学者は東南海・南海トラフ地震が次に来るとリスクを警告していたものの、外しています」

南海トラフの地震より高リスクの可能性

 つまり予測は不可能。それでも島村氏が懸念するのは「関東大震災」だとこう続ける。

「1923年の約200年前、1703年には元禄関東地震が起こっています。その法則からみると前回からはまだ100年ですが、関東は東京を中心に、世界でみても地震発生リスクがもっとも高い地域です。首都圏直下には、北米プレート、その下に太平洋プレート、さらに下にフィリピン海プレートが入り込んでいる。三重のプレートがひしめき合っている真上に位置していますし、立川断層をはじめとする断層帯もあります。

 そのため、一部の地震学者の間では『200年持たないのではないか』とも言われています。関東大震災と一口に言っても、発生源が複数あるので、南海トラフの地震よりもリスクでいえば高い可能性があります」

首都機能をマヒさせる巨大地震

 東京都防災会議によると「関東大震災」となり得るのは、①都心南部直下地震、②マグニチュード7.3の多摩東部直下地震、③立川断層帯地震(M7.4)、④M8クラスの大正関東地震(いわゆる前回と同じタイプの関東大震災)の4つ。いずれも首都機能をマヒさせる巨大地震と定義されている。

 警戒すべきは南海トラフの巨大地震だけではない。

コクハク編集部
記事一覧
コクハクの記事を日々更新するアラサー&アラフォー男女。XInstagram のフォローよろしくお願いします!

関連キーワード

ライフスタイル 新着一覧


最近の台風は凶暴さがレベチ! 最低限備えておきたい7つの備えと対策
 異常気象が相次ぐ昨今、大型台風で大きな被害に遭う地域は少なくありませんよね。大切なのは、事前に台風への備えに関する知識...
10%オフの【無印良品週間】戦利必需品6点、使えるモノしか買わねえ!SALE品もさらにお得で小躍り
 よっ待ってました! 無印良品メンバーは全品10%オフになる無印良品週間。舞台を観に行った足で銀座店に立ちより、生活必需...
そうだ熱海だ!女子温泉旅、全員ペーパーでも『大江戸温泉物語Premium あたみ』は駅から徒歩圏で心配無用
「週末、どこか行かない?」  そんな気軽な女子旅にピッタリなのが、人気再燃中の熱海エリア。東京だけでなく大阪方面からも...
40代子持ち主婦がフルタイムの営業職に転職! が、20時すぎの帰宅も増え、厳しい現実と理想に悩む
 セックスレスやセルフプレジャー、夫婦の在り方をテーマにブログやコラムを執筆している豆木メイです。  この度、フリー...
踊り子の実態。温厚な私が苛々するのはなぜ?
 踊り子稼業は、仕事も休みも10日単位。まだお客さんだった頃の私は、盆暮れ正月でもないのに10日もオフがあったら、定年退...
高い所での爪とぎは力の証! 講習中のチビ“たまたま”をパチリ
「にゃんたま」とは、猫の陰嚢のこと。神の作った最高傑作! 去勢前のもふもふ・カワイイ・ちょっとはずかしな“たまたま”を見...
宝物の小さな記憶
 夏の思い出を振り返る。  季節の移ろいと共に、宝物も、思い出も、色合いが変わっていくんだね。
ほっこり癒し漫画/第84回「迷いインコ歌をうたう 後編」
【連載第84回】  ベストセラー『ねことじいちゃん』の作者が描く話題作が、「コクハク」に登場! 「しっぽのお...
衆院選で話題を呼んだ「鞍替え出馬」。そもそも「鞍替え」の語源は?
 知っているようで意外と知らない「ことば」ってたくさんありますよね。「女ことば」では、女性にまつわる漢字や熟語、表現、地...
介護に遺産…しんどい大人の悩み、相談に「ちょうどいい」相手の見つけ方
 大人こそ行きつけのスナックを見つけて欲しいと言いまくってきた私ですが、このあいだその気持ちに拍車をかける出来事がありま...
えっ、ダイソーで「優秀クッションファンデ」が買えちゃうの? 古いメイク→流行り顔へのアプデにベストかも
 IDATE(アイデイト)は、あの有名ファッションイベント「東京ガールズコレクション(TGC)」とダイソーがコラボして生...
オトナの余裕にキュン! どこまでもついて行きたいダンディ“たまたま”
「にゃんたま」とは、猫の陰嚢のこと。神の作った最高傑作! 去勢前のもふもふ・カワイイ・ちょっとはずかしな“たまたま”を見...
花業界の革命児「雑草」に注目! 秋冬の散歩で見つけたい“おしゃれ雑草”テッパン6種
 猫店長「さぶ」率いる我がお花屋は神奈川の片田舎にありますが、夜はいよいよ暖房のシーズンに(我が家のニャンズは皆20歳近...
更年期は洗濯物が増える!「汗とともに去りたい」と心がチクチクしたら…
 女性なら誰でも通る茨の道、更年期。今、まさに更年期障害進行形の小林久乃さんが、自らの身に起きた症状や、40代から始まっ...
オカモト「まるでこたつ おやすみスイッチ」は40女の睡眠を守れるか
 早いもので10月ももう後半。金木犀の甘い香りが心地よい季節になりました。秋が深まるにつれ、筆者を苦しめるのが足の冷え。...
若手社員のスピード離職を防ぐ3つの対策。これ以上人が減ったら回らない
 近年、多くの会社で「スピード離職」が問題になっています。せっかく優秀な社員が入社しても、数週間から数カ月の間に退職して...