これまでのあらすじ
夫の単身赴任に伴い、スーパーの店員から探偵として働くことになったT子さん(38歳探偵/子供なし)。雪国の生まれの彼女は、透き通るような白い肌と大きな瞳、サラサラのボブヘアが似合うクール美女だ。
探偵事務所の面接の際、T子さんは、社長であるA氏(推定50歳前後)にトキめいてしまったという。「筋肉質なチョイ悪オヤジ系」の彼は、T子さんのタイプだった。
そんな緊張など見せず、堂々と面接に挑んだ彼女に、A社長は「肝が据わっていて気に入った」と、その場で合格。
A社長に認められようと、与えられた任務をこなす日々が続いた。探偵事務所では、浮気調査、元交際相手の動向、片思いの相手の自宅を突き止めるなどの依頼のほか、離婚したい夫(妻)に対して工作員を送り込んで浮気させる「壊し屋」などの依頼もあるという。
「壊し屋」は映画の世界だけではなく、実際、行われているのだ。
ついに壊し屋の依頼が
そんな時、A社長から「対象者の男性と寝ることは可能かな?」とのLINEが入る。ついに壊し屋の仕事がきた――ドキドキしつつも、「やります」と、彼女は果敢に立ち向かった。
実はT子さん、20代は吉原と池袋でソープ嬢として働いた過去があったのだ(単身赴任中の夫には内緒にしている)。「対象者と寝る」行為に多少の抵抗はあったものの、キャリアを活かせることへの高揚感も抱いた。
T子さんがベッドを共にする対象者は、品川の会社に勤めるXさん(45歳デザイン会社/既婚・子供アリ)だ。
A社長からは、X氏とのセックスするほかに、以下の任務を命じられた。
1. セックスの動画撮影をすること。撮影は2台の定点カメラで2方向から撮り、可能なら、スマホでも動画撮影をすること。
2. ICレコーダーで行為中の声も録音すること。
3. X氏のザーメン入りのコンドームを持ち帰ること。
依頼人は教えてくれない。それどころか、探偵同士、工作員同士が顔を合わせないようにするのがA社長のやり方だった。T子さんは素直に従った。
Xさんとセックスする前段階として、ほかの社員がT子さんに成りすまし、すでにマッチングアプリのチャットルームで、甘いやり取りがなされているという。
――Xさんは、湘南にお住まいなんですね。海の近くって憧れます♥
――T子ちゃんも白金台だなんて、セレブな人妻じゃないか。旦那さん、お金持ちなんだね。
どうやら、T子さんは「白金台のセレブな人妻」という設定のようだ。甘い会話のあと、「T子さんの成りすまし」は、乳房の画像を送っていた。
驚くT子さんだったが、そこは肝が据わった彼女。「いいセンいってるわ」と丸々とした乳房の画像を見ながらほくそ笑む。T子さん自身Eカップで、形のいいバストだとよく褒められたという。
そして、Xさんの「ヤバイ、勃起してきた」との返答に、「Xさんのオチンチンの画像も送って」とおねだりする成りすましの要望に、最初こそためらっていた彼も、最終的には勃起画像を送ってくる流れに。
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