ジョン万次郎(宇崎竜童)登場、ビビる大木の話を真剣に聞いておけば…!

桧山珠美 TVコラムニスト
更新日:2023-04-28 16:20
投稿日:2023-04-28 16:20

NHK朝ドラ「らんまん」~第4週「ササユリ」#20

(C)NHK
(C)NHK

 綾(佐久間由衣)を探しに、高知へ向かった万太郎(神木隆之介)と竹雄(志尊淳)。自由民権運動の結社「声明社」の集会場で綾を見つける。集会ではリーダーの早川逸馬(宮野真守)が観衆を前に、自由と権利について訴えていたが、「名も無き雑草」という言葉に反応した万太郎、演台に上げられ、「名も無き雑草などない!」と草花の力強さを力説し、なぜか逸馬に見込まれてしまう。(#18)

「声明社」で語り合うなかで意気投合する万太郎と逸馬。すっかり万太郎を気に入った逸馬は、ある人物と引き合わせる。それはジョン万次郎(宇崎竜童)だった。一方の綾と竹雄は夜まつりに参加。綾は竹雄に幸吉のところへ行ったと、心の内を話した(#19)

 過酷な半生を送ってきた万次郎の「自由」への想いと捨ててしまった「後悔」の言葉が刺さった万太郎。諦めかけていた植物研究への想いを新たにした。そんな万太郎に、万次郎が1冊の本を贈る――。

【本日のツボ】

「ジョン万次郎資料館」名誉館長でもある(C)日刊ゲンダイ
「ジョン万次郎資料館」名誉館長でもある (C)日刊ゲンダイ

「人の一生は短い。後悔はせんように」(ジョン万次郎の言葉)

 坂本龍馬(ディーン・フジオカ)に続き、ジョン万次郎と歴史上の有名人が出てくるとなんだか嬉しくなります。子どもの頃に読んだ万次郎の伝記にワクワクしたと話す万太郎に、「帰ってこんほうがよかった」と万次郎。

「知らんままでおったら、この年になった今も胸の内を掻き立てることもなかったろ。気鬱の病に罹ることもなかったろ」「わしにとって『自由』とは海で見た夢そのもの、命そのもの。じゃけんど、自分で捨てて来てしまったからよ」と遠い目で語る万次郎の言葉に、「わしにとっては植物じゃき」と封印したはずの植物への想いが蘇る万太郎。

 万次郎に貰ったシーボルトの「日本植物誌」を手にし、「植物が好きで、緑豊かな地に暮らし、植物の絵がよう描ける。そのうえ、英語で読み書きができ、日本の植物を世界に知らせることもできる。そういう人間が今、ここに居合わすちゅう。今、やらんといかんがです」と自身の天命を知った万太郎。実に見応えのあるシーンでした。宇崎さんの存在感、さすがでした。

誰か、竹雄の背中を押してあげて!

 ジョン万次郎が、黒船来航の際、幕府にスパイと疑われた話など、まったく知らなかったので、こんなことなら、ビビる大木お得意の「ジョン万次郎」話を真剣に聞いておけばよかったと反省しました。

 そして、気になる竹雄と綾ですが、「おばあちゃんの言う通りにする」と決意した綾に、竹雄はまたもかんざしを渡せず、綾への想いを告げぬまま。

「たとえ離れても一生お守りすると誓います」と。ああ、誰か、竹雄の背中を押してあげて! と思わず叫んだ次第です。

桧山珠美
記事一覧
TVコラムニスト
大阪府大阪市生まれ。出版社、編集プロダクションを経て、フリーライターに。現在はTVコラムニストとして、ラジオ・テレビを中心としたコラムを執筆。読売新聞「アンテナ」、放送批評誌「GALAC」、日刊ゲンダイ「あれもこれも言わせて」などで連載中。

エンタメ 新着一覧


元モー娘。加護亜依様の“セクシー女優匂わせ”が冗談に聞こえないワケ
 モーニング娘。黄金期の人気メンバーだったものの、現在はお騒がせタレント化してしまっている加護亜依。昨年も週刊誌やネット...
堺屋大地 2024-01-20 11:16 エンタメ
シン・スズ子誕生!タナケンに「面白いね」と言わしめたヒロインの魅力
 喜劇「舞台よ! 踊れ!」の幕が上がる。タナケン(生瀬勝久)に稽古ですべてを受け止めると言われたとおり、スズ子(趣里)は...
桧山珠美 2024-01-19 14:45 エンタメ
タナケン(生瀬勝久)の決め言葉、「どうだろうね」に込められた真意
 スズ子(趣里)は、不安を抱えたまま喜劇王・タナケン(生瀬勝久)との舞台稽古を続けていた。  なんとかしようと、ス...
桧山珠美 2024-01-22 15:16 エンタメ
ブギウギ新章、タナケン役生瀬勝久の“顔芸”と「3枚の張り紙」が見もの
 小夜(富田望生)が付き人をやめると言って姿を消してから3カ月、愛助(水上恒司)は大学を卒業し、村山興業で働き始める。 ...
桧山珠美 2024-01-17 15:49 エンタメ
5年ぶり「おっさんずラブ」にコレジャナイ感?それでもいいと思うところ
 あの「おっさんずラブ」が5年ぶりに帰ってきました。2018年4月期にスタートした同作は、ピュア過ぎるおっさんたちの恋愛...
小夜(富田望生)の食い意地は国境を越えた!愛か、餌付けされただけか
 復学した愛助(水上恒司)は、スズ子の公演に触発され、いっそう勉学に励んでいた。  そして、公演が再開して以来、ス...
桧山珠美 2024-01-12 16:05 エンタメ
任侠ドラマ出演の高岡蒼佑様…小栗旬&芸能界批判に“かわいいチワワ”か!
 アウトローな役柄などで人気を博していた元俳優の高岡蒼佑。役者引退宣言をしていたものの、今年2月にリリースされる任侠ドラ...
堺屋大地 2024-01-11 06:00 エンタメ
朝ドラ名物の闇市、小夜の食い意地はタダモノじゃねえ!
 戦争が終わって3カ月、世の中の混乱は続き、スズ子(趣里)たちは未だ公演ができずにいた。  愛助(水上恒司)の病状...
桧山珠美 2024-01-09 14:50 エンタメ
歯に衣着せぬ小夜のキャラを生かしたブギウギ流「玉音放送」シーン
 終戦の日。スズ子(趣里)たちは巡業先の富山で玉音放送を聞く。りつ子(菊地凛子)は慰問先の鹿児島で敗戦を知る。  ...
桧山珠美 2024-01-08 15:50 エンタメ
原作は4コマ漫画! 名作“ぎぼむす”のイケメントリオを味わい尽くそう
 新年あけましておめでとうございます。  例年であれば、大晦日は「ジャニーズカウントダウンライブ」で年越しするので...
特攻隊の前で「別れのブルース」、過去の“淡谷のり子物語”と異なる描き方
 1945年、日本の戦況はますます悪くなっていた。富山に慰問に来ているスズ子(趣里)は、女中の静枝(曽我廼家いろは)の話...
桧山珠美 2024-01-05 14:00 エンタメ
制作費の都合?「夜来香ラプソディ」音楽会シーンなしは残念すぎる
 上海の羽鳥善一(草彅剛)は、音楽会の準備を進めていた。羽鳥は、黎錦光(浩歌)が作曲した「夜来香」にブギを取り入れた音楽...
桧山珠美 2024-01-04 17:50 エンタメ
【2023年人気記事】マッチ様は逃げ上手と無責任のプロだった
【「残念プロフェッショナル」の流儀】  2023年も「コクハク」をご覧いただき、誠にありがとうございました。反響の大き...
堺屋大地 2024-01-02 11:44 エンタメ
辻希美&杉浦太陽はニベアのCM…仲良しラブラブ芸能人夫婦はお金を生む
 元モーニング娘。のなかで1番の勝ち組は、やっぱり辻ちゃん(辻希美)でしょう。  先日も元モー娘。の中澤裕子、保田...
スズ子と愛助の無償の愛、平和ボケの今とは違って生きるも愛するも命がけ
 東京に戻ったスズ子(趣里)は、空襲で一面ががれきになっている惨状を目の当たりにする。  スズ子が三鷹の家に戻ると...
桧山珠美 2023-12-28 14:10 エンタメ