タキの弱りっぷり、万太郎からのノーテンキな手紙の中身は…

桧山珠美 TVコラムニスト
更新日:2023-05-30 11:10
投稿日:2023-05-30 11:10

NHK朝ドラ「らんまん」~第9週「ヒルムシロ」#42

 久々に「峰屋」が登場。酒に対しての課税がきつくなり、役人からも厳しい目を向けられる峰屋。タキ(松坂慶子)も体の具合が悪そうだ。そんな峰屋や自分の体のことは万太郎(神木隆之介)には知らせるなと綾(佐久間由衣)に口止めするタキ。

 一方、植物学雑誌創刊の許可を得るために、田邊(要潤)と話す機会をうかがっていた万太郎は、西洋音楽の演奏会に田邊と同行するチャンスを得る。

【本日のツボ】

 ※※以下、ネタバレあります※※

「なんちゃあない。ちっと胸がチクッとしただけじゃ」(タキ)

 万太郎が東京に行ってまだそんなに日が経っていないはずなのに、タキの弱りっぷりが半端ない。あんなにしっかりしていたタキの急激の衰えに加え、峯屋は酒税に苦しめられ、まさに弱り目に祟り目。

 そんなところに万太郎から届いた手紙、よくよく目を凝らして見ると、「ビフテキオムレツ美味に候」などとノーテンキなことが書かれていました。いかにも万太郎らしい文面です。

 それにしてもけしからんのは政府です。

「西南戦争からこっち財政がったがただもんね」「このうえは、みんな大好きおちゃけからむしり取ろうって」と十徳長屋の東大落第生、丈之助(山脇辰哉)が指摘するように、政策の失敗を棚に上げ、とにかく課税してやろうという魂胆がもう……。

 ビールから発泡酒、そして第3のビールと、庶民のひそかな楽しみの“おちゃけ”からむしりとる構図は今も昔も変わりません。

峰屋は潰れない?

 そして、万太郎も。「これから先、日本中の酒蔵が軒並み潰れていくんじゃないか」と酒問屋の息子の藤丸(前原瑞樹)が教えてくれたにも関わらず、「言うたち税金じゃろ。決まった額を払ったらええだけじゃろ」「うちはなんちゃあ心配ないがです、のう竹雄」と峰屋が潰れることなど微塵も疑わない様子。

 竹雄も竹雄で、「あるわけないですき。峰屋は土佐一の酒蔵。税金ごときで潰れません。みなさんが勉学で御入用なものがあったらどんとお申し付けください」と万太郎を安心させるために、本当のことは言わない。

 万太郎の浪費を窘(たしな)めるいいチャンスだったのに。竹雄の優しさが仇とならなければいいのですが……。

桧山珠美
記事一覧
TVコラムニスト
大阪府大阪市生まれ。出版社、編集プロダクションを経て、フリーライターに。現在はTVコラムニストとして、ラジオ・テレビを中心としたコラムを執筆。放送批評誌「GALAC」、日刊ゲンダイ「あれもこれも言わせて」などで連載中。

関連キーワード

エンタメ 新着一覧


悪評だらけの天才、平手友梨奈が遅刻やドタキャンを繰り返す本当の理由
 2022年12月に、鳴り物入りで韓国大手事務所「HYBE」傘下の「NAECO」に移籍したものの、今年8月、2年も経たず...
堺屋大地 2025-01-03 10:01 エンタメ
【写真特集】魔性の女こと葉月里緒奈の色っぽい流し目…
【この写真の本文に戻る⇒】真田広之も“シタ夫”経験者…裏切られたサレ妻が離婚後も「また一緒にいたくなる男」にある共通点
寅子フリーズ! 美佐江くりそつな美雪登場、意味深な微笑が恐怖をあおる
 元明律大学女子部の一同が、久しぶりに寅子(伊藤沙莉)の家で顔を合わせる。涼子(桜井ユキ)は司法試験に挑戦していた。皆、...
桧山珠美 2024-09-18 16:35 エンタメ
芸人はランジャタイ伊藤から学べるか 「地雷女」を避けるたった一つの方法
 ランジャタイ・伊藤幸司(38)が未成年との不適切な関係を持ったことを暴露され、芸能活動を休止した。過去を振り返れば、伊...
帽子田 2024-09-18 10:08 エンタメ
老眼鏡かける寅子。「最後はいい方に流れていく」発言にトラツバロス一歩手前…!
 香淑(ハ・ヨンス)は、原爆被害に遭った外国人への支援を始めることを決意する。一方、寅子(伊藤沙莉)と航一(岡田将生)は...
桧山珠美 2024-09-16 14:00 エンタメ
秋元康との共通点も? 柏木由紀がすがちゃん最高No.1に惹かれた理由を考察
 9月11日、NEWSポストセブンが、元AKB48のゆきりんこと柏木由紀さん(33)と、お笑いトリオ・ぱーてぃーちゃんの...
伊藤健太郎は破局して正解! “小栗旬軍団”加入でバーター出演の機会にも恵まれる
 伊藤健太郎が帰って来ました。これは朗報です。あの不祥事からかれこれ4年。本人も充分反省しているようですし、そろそろ許し...
【写真特集】背中ぱっくりドレスを着こなす滝クリ。健康的な美脚も披露!
【この写真の本文に戻る⇒】滝川クリステルに「好きになれない」の声多数。バリキャリだけど同性ウケしないのはなぜ?
航一も明治生まれの男。娘に手を上げるのか!? と一瞬緊張が走ったシーン
 のどか(尾碕真花)の婚約者・誠也(松澤匠)が星家にやってくる。しかし、星家では航一(岡田将生)と優未(川床明日香)が優...
桧山珠美 2024-09-12 17:15 エンタメ
「東出昌大の再婚を叩いたら負け」なのか? SNS社会は彼に試されている…
 2015年1月、朝ドラ『ごちそうさん』で夫婦役を演じた杏と結婚して3人の子を授かるも、映画『寝ても覚めても』で共演して...
堺屋大地 2024-09-11 06:00 エンタメ
夫婦水入らずの何気ないシーンが描いたもの。爆速で進む物語、子どもたちは誰が誰やら…
 8年にも及ぶ「原爆裁判」を終えた寅子(伊藤沙莉)たち。竹中(高橋努)は渾身の記事を書き、よね(土居志央梨)と轟(戸塚純...
桧山珠美 2024-09-12 16:53 エンタメ
【写真特集】若っ!金髪姿の岡田将生。浴衣、くるんくるんパーマヘアも…
【この写真の本文に戻る⇒】岡田将生「ラストマイル」沼にハマる人続出!「虎に翼」との共通項も考察
岡田将生「ラストマイル」沼にハマる人続出!「虎に翼」との共通項も考察
この投稿をInstagramで見る 映画『ラストマイル』公式【大ヒット上映中】(@...
朝ドラ史上、いやテレビ史上に残る名判決シーン。「政治の貧困」の言葉が胸に突き刺さる
 昭和38年6月、桂場(松山ケンイチ)は最高裁判事のひとりに任命される。  竹もとで修業に励む梅子(平岩紙)、そし...
桧山珠美 2024-09-07 06:00 エンタメ
夕飯のカレーで描いた星家の“遠慮のない家族”への変化。入山法子の名場面を振り返り
 昭和37年1月、「原爆裁判」の原告のひとり、吉田ミキ(入山法子)が法廷に立つことを承諾。広島から上京してきたミキを、原...
桧山珠美 2024-09-05 17:30 エンタメ
虎に翼の脚本は朝ドラ特有の“中だるみ”なし!塚地出演「あさイチ」との連携プレイにも救われた
 昭和34年、優未(毎田暖乃)は高校1年生に。直明(三山凌輝)と玲美(菊池和澄)の間に子供が産まれ、猪爪家はますますにぎ...
桧山珠美 2024-09-02 17:30 エンタメ