万太郎のプロポーズに「並んで走る」と返した寿恵子の尊い覚悟

桧山珠美 TVコラムニスト
更新日:2023-06-19 14:50
投稿日:2023-06-19 14:50

NHK朝ドラ「らんまん」~第12週「マルバマンネングサ」#56

 ユウガオのお姫様、純白ドレスの寿恵子(浜辺美波)が十徳長屋の万太郎(神木隆之介)のもとにやってきて、ざわめく長屋の住人たち。そこへ竹雄(志尊淳)が帰って来た。

 標本やらなにやらで座る場所もない万太郎の部屋を目の当たりにした寿恵子。

 それでも、「日本中の植物を明らかにして図鑑を作る」「この仕事にはお金がかかる。あなたには苦労をかける。ほんじゃき、わしは寿恵子さんが好きやがです」「花が陽射しを待つように水を欲しがるように、わしという命にはあなたが必要です」と。

【本日のツボ】

「私、冒険に出たかったんです。あなたとなら、今日を生きるだけでひたすら大冒険なんです」(寿恵子の台詞)

 自分と寿恵子を、“花と陽射し”、“花と水”にたとえる万太郎らしいプロポーズも感動的でしたが、ただそれを受け入れるだけでなく、同じボリュームで寿美子が自分の想いを滔々(とうとう)と語るところが素晴らしい。

「あなたは草花の道をひたすら突き進んでいく。全速力で。そんなあなたと並んで走るなんて、大冒険です。あなたとなら、毎日、今日を生きるだけで、ひたすら大冒険なんです。私、あなたが好きなんです。だから私、性根を据えなきゃ。あなたと一緒に、大冒険を始めるんだから」と。

 研究者として歩く万太郎を“支える”ではなく、“並んで走る”というのもいいですね。

 先日の高藤夫人(梅舟惟永)もでしたが、「らんまん」は女性たちがみんないきいきとしていて、元気を貰えます。

 2人のプロポーズ合戦を見守る竹雄と、お隣りの東大文学青年・丈之助(山脇辰哉)。万太郎の勝手ないいぶんに、「それって、万ちゃんの都合だよね」と壁の穴から乱入して異を唱えたことで、寿恵子の決意を聞けたのはグッジョブでした。

丈之助、ソッコーで撃沈

 壁の中から這い出てくるさまは貞子チックでもあり……。滝沢馬琴「里見八犬伝」推しの寿恵子と、馬琴をめぐる論争などもスパイスとなりました。

 竹雄が寿恵子に「どうか万太郎をよろしゅうお頼もうします」と頭を下げ、寿恵子も「こちらこそ。末永くよろしくお願いいたします」とお互いに挨拶をした場面は、万太郎のお世話役引継ぎの儀式にも見えました。

 竹雄の肩の荷も少し楽になったかもしれません。いままで万太郎に尽くしてきた竹雄にも幸せが来ることを願います。

桧山珠美
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TVコラムニスト
大阪府大阪市生まれ。出版社、編集プロダクションを経て、フリーライターに。現在はTVコラムニストとして、ラジオ・テレビを中心としたコラムを執筆。放送批評誌「GALAC」、日刊ゲンダイ「あれもこれも言わせて」などで連載中。

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