不倫を詫びる気持ちはない
ピーマンが嫌いだったアンナも、お肉と一緒なら食べられるようになって、『アンナはピーマン食べられるようになったのか。偉いぞ』と褒める夫に、ニコニコでしたね。
夫婦の会話も、普段はアンナの教育の話が多かったのですが、その日はアンナが好きなアンパンマンやお絵かきの話に花が咲いて……。久しぶりの一家団らんに私も居心地良くなりました。
でも、不思議なもので、ユウキとの不倫を夫に詫びる気持ちはありません。今日はたまたま夫婦仲が良いけれど、ここ半年はセックスレスで、夫婦らしい会話もありませんから。
私がどれほど寂しい思いをしたか……それを思うと、ヨウコ同様『シュウジも私を苦しめた罰を受けるべき』と、勝手に決めつけました。
ただ、今夜はどうしても夫とセックスをしなければいけません。もちろん、夫には膣外射精をしてもらい、昨日たっぷり放出してくれたユウキの子供を身ごもるよう念じていました。幸い、夫とユウキの血液型は同じA型。
私の人生をかけた復讐は、着々と進んでいました。
いよいよ夫とセックスを
20時にはアンナを寝かせました。ぐっすり寝てくれるよう、あえて昼寝をさせず、外遊びの時間を多めに取ったんです。
いよいよ夫のシュウジをセックスに誘う時が来ました。シャワーを浴びた私は、新しく買ったブラックレースのナイトスリップで、リビングのソファーでナイター中継を見る夫の横に座りました。
――ふふ、シュウジを邪魔しに来ちゃった。
私がいたずらっぽく笑うと、
――アンナは寝たのか?
夫はテレビから目を逸らさずに言いました。野球を見ている時はいつもこうです。でも今日は是が非でもセックスに導かなくてはなりません。私は努めて優しい声で、
――ええ、パパにピーマンを食べて褒められたことがよほど嬉しかったみたいで。寝る時も『アンナ、ピーマン食べたよ』と自慢げに言ってたわ。
――そうか……。
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