植物研究費に糸目をつけない万太郎、同じ草でも寿恵子の場合は質草まみれ

桧山珠美 TVコラムニスト
更新日:2023-08-11 15:00
投稿日:2023-08-11 15:00

NHK朝ドラ「らんまん」~第19週「ヤッコソウ」#95

 高知の山奥で出会った虎徹(寺田心)少年に「こんまいお遍路さんがおるがです」と案内されて、珍しい植物を発見した万太郎(神木隆之介)。東京に持ち帰り、早速、研究を始める。

 それから半年後、波多野(前原滉)、藤丸(前原瑞樹)が長屋へやってきて、完成した田邊教授(要潤)による東大版「大日本植物図解」を万太郎に手渡した。

 万太郎は研究中の植物を2人に見せ、彼らを巻き込んで、さらに研究を進めた結果、その植物が新種であると認定。「ヤッコソウ」と名付けることに。

 数カ月後、万太郎のもとへ虎鉄からたくさんの標本が送られてきた。

「ワシはひとりじゃない」。植物を通じて人と繋がれると元気になった万太郎に、寿恵子(浜辺美波)も安堵した。

【本日のツボ】

「寿恵ちゃん、申し訳ない、金が要る」(万太郎)

 ※※以下、ネタバレあります※※

 虎徹役の寺田心くん、たった2日ほどの登場でしたが、いい仕事をしました。万太郎役の神木くんとの新旧子役共演もドラマファンとしては胸アツです。10年後には心くんが朝ドラ主人公になるかも、と妄想してしまいました。

 それはともかく、ついに田邊教授の「大日本植物図鑑」が刊行しました。「気が重い」と言いながらも万太郎に持ってきた波多野と藤丸は、本当にいい友達です。

 ドイツ語が得意な波多野や藤丸の知恵を借り、万太郎は新種「ヤッコソウ」の認定にこぎつけました。持つべきものはやはり友。学名には発見者、虎徹の名前もちゃんと入れて。この気遣いがあれば、田邊教授のお怒りを買うこともなかったのでは、と思いましたが、それも万太郎成長の証しかもしれません。

 にしても、万太郎ったら、少しは人の心を考えられるようになったのはよしとして、お金の面ではまったくの成長が見られません。寿恵子にお願いするだけでお金がなんとかなると思っている万太郎、本当に困ったものです。

ブックオフもない時代に…

 それをまた、許してしまう寿恵子。「仕方ない。借りましょう。どうにかなります。いえ、どうにかします」と頼もしい限り。が、先日、寿恵子が内職のお金を貰ったからと、質草を受け取りに行くエピソードで、その金額は1円でした。

 万太郎の所望する外国の本は1冊、100円~200円って。同じ草でも寿恵子の場合は質草まみれ。数カ月後、家の中には外国の本がかなり増えていました。

 ブックオフもない時代、どうやって資金を工面したのか気になります。寿恵子の錬金術、番外編で希望します。

桧山珠美
記事一覧
TVコラムニスト
大阪府大阪市生まれ。出版社、編集プロダクションを経て、フリーライターに。現在はTVコラムニストとして、ラジオ・テレビを中心としたコラムを執筆。放送批評誌「GALAC」、日刊ゲンダイ「あれもこれも言わせて」などで連載中。

関連キーワード

エンタメ 新着一覧


「あんぱん」竹野内豊らが退場→津田健次郎と倉悠貴が新たに補充。イケメン好きにも優しい朝ドラに感謝したい
 闇市で渡された東海林(津田健次郎)の名刺を頼りに、高知新報にやってきたのぶ(今田美桜)。しかし、東海林は全く記憶にない...
桧山珠美 2025-07-01 17:39 エンタメ
さや香、バッテリィズ…意外と多い「不仲コンビ」にグッとくる理由。仲良し芸人だけが正解なのか?
 千鳥MC『相席食堂』(ABC/テレビ朝日系)の6月3日放送回にて、「カウンセリング相席」と称した、お笑いコンビ・流れ星...
『あんぱん』嵩(北村匠海)に“たっすいがー”の面影はない。のぶへの言葉が胸を打つ「正しい戦争なんか、あるわけがないんだ」
 空襲の焼け野原でひとり佇むのぶ(今田美桜)の前に、嵩(北村匠海)が現れて再会を果たす。釜次(吉田鋼太郎)から事情を聞い...
桧山珠美 2025-07-01 17:39 エンタメ
国分太一活動休止で消えた「TOKIO再集結」の光…木村拓哉に見せていた別の顔
 6月20日、複数のコンプライアンス違反があったとして、TOKIOの国分太一(50)が無期限の芸能活動休止を表明した。出...
こじらぶ 2025-06-25 07:50 エンタメ
大泉洋こそ“真のモテ男”じゃないか?「かくかくしかじか」の圧倒的な存在感に新たな一面を見た
  先日、いろんな意味で話題の映画「かくかくしかじか」を鑑賞してまいりました。「東京タラレバ娘」や「海月姫」などのヒット...
「あんぱん」のぶ、“落とし前”の付け方はそれでいいのか。次郎役の中島歩はあまりにも素晴らしかった
 終戦から5か月が経ち、国民学校ではGHQの指導のもと軍国主義教育からの転換が図られる。のぶ(今田美桜)は病気が一向に回...
桧山珠美 2025-07-01 17:39 エンタメ
『バチェラー6』第8話(最終話)を正直レビュー! ラスト予想、当たった人いるの? 制作サイドにまんまと騙されました
『バチェラー・ジャパン』シーズン6を、シリーズの大ファンである筆者が、正直にレビュー。今回は第8話。本編最終回です。小田...
中村未来 2025-07-25 15:23 エンタメ
曽田陵介、FANTASTICS佐藤大樹と“縁”に驚き「青春時代の人が隣にいた!」甘酸っぱい中学生の頃
 2019年に俳優デビューをきっかけにドラマ、映画、舞台とさまざまな作品に出演。そして先ごろ放送を終了した『いつか、ヒー...
望月ふみ 2025-06-23 07:00 エンタメ
【募集】2025春ドラマの感想は? 面白かった&ガッカリを教えて!『対岸の家事』『最後から二番目の恋』etc
 コクハクでは2025年春ドラマを対象としたアンケートを実施します。4月よりスタートした春ドラマ、「面白かった」作品や「...
72歳、ザ・ぼんち里見まさとに“若い女子”が熱狂。イケジジブームが来るか? 老害にならずモテる大人の魅力
 去る5月17日フジテレビ系で放送された結成16年以上の漫才師による大会『THE SECOND~漫才トーナメント~・グラ...
「あんぱん」ここがヘンだよ、戦争パート。のぶが夫に駆け寄らないのはなぜだ?
 次郎(中島歩)からの便りに顔を輝かせるのぶ(今田美桜)だったが、それは海軍病院からだった。のぶが不安な気持ちで病室に入...
桧山珠美 2025-06-21 12:55 エンタメ
『バチェラー6』第7話を正直レビュー!石森さんの“事実発覚”に全視聴者が驚いた…。辻󠄀本さんの高度な会話テクにも注目
『バチェラー・ジャパン』シーズン6を、シリーズの大ファンである筆者が、正直にレビュー。第7話は、クアラルンプールへ久次米...
中村未来 2025-06-21 06:00 エンタメ
『バチェラー6』第6話を正直レビュー!小田美夢の“あまりにあざとい”テクニック。キス連発は最初から決めてた?
『バチェラー・ジャパン』シーズン6を、シリーズの大ファンである筆者が、正直にレビュー。今回は第6話。前回のラストで、早朝...
中村未来 2025-06-20 06:00 エンタメ
「あんぱん」清(二宮和也)は出る出る詐欺じゃなくて一安心。岩男とリンはやっぱり“チリンの鈴”だった
 銃撃された岩男(濱尾ノリタカ)は、嵩(北村匠海)にリンはよくやったと言って息絶える。八木(妻夫木聡)は、リンは親のかた...
桧山珠美 2025-06-19 17:28 エンタメ
『バチェラー6』第5話を正直レビュー。自然体の笑顔をやっと見れた。で、なんで突然キスした?
『バチェラー・ジャパン』シーズン6を、シリーズの大ファンである筆者が、正直にレビュー。今回は第5話。もう折り返しなんて早...
中村未来 2025-06-19 06:00 エンタメ
令和ロマンくるま、吉本退所でも絶好調の今。もう一度「M-1」優勝を狙ってみてはどうか
 4月末で吉本興業との契約を終了した令和ロマン高比良くるま。一時期活動休止していたが、5月末には復帰。現在、精力的に活動...
帽子田 2025-06-19 06:00 エンタメ