ピストル持たずに台湾入りした万太郎、なにやら凄い経歴の朝井大智!

桧山珠美 TVコラムニスト
更新日:2023-08-30 16:13
投稿日:2023-08-30 16:00

NHK朝ドラ「らんまん」~第22週「オーギョーチ」#108

 里中(いとうせいこう)や岩崎(皆川猿時)からの推薦で、万太郎(神木隆之介)は学術調査団の研究員として台湾に派遣されることに。

 恩田(近藤公園)からは護衛用にピストルの購入を命じられる。いろいろと納得のいかない万太郎だが、里中の言葉に台湾行きを決意する。

 徳永(田中哲司)からも「軍人には盾つくな。お前はもう個人じゃない。帝国大学、国家の機関に属する人間なんだ」と忠告を受ける。

 夜、台湾行きと、ピストルを持っていけと言われたことを寿恵子(浜辺美波)に伝える万太郎。が、自分は軍の命令に背くことになるが、ピストルは持っていかない、と。

 寿恵子はピストルの代わりに、お守りとして「日本植物志図譜」を持たせて、万太郎を見送った。

【本日のツボ】

(C)NHK
(C)NHK

「国が力をつけて初めて、俺たちの立場も変わるんだ」(byドイツ留学帰りの細田晃助)

 ※※以下、ネタバレあります※※

 台湾行きの命を受けた万太郎ですが、なんとも納得のいかない様子でした。台湾に行くためには、まず現地の言葉からというのがいかにも万太郎らしく……。

 台湾は日本の統治下にあり、現地では“日本語を使え”という軍部の命令。万太郎が素直に聞くとは思えません。

 そんな万太郎に細田(渋谷謙人)は、「お前は知らないんだ。留学先で日本人がどれだけ惨めか」と怒りをぶつけます。

 一瞬、画面に映った徳永も表情を曇らせたような。当時の留学生あるあるなのかもしれません。そして、「国が力をつけて初めて、俺たちの立場も変わるんだ」と続けました。

 徳永も渋谷も、ただ国のご機嫌を伺っているのではなく、留学先での惨めな経験から国力を強くする必要がある、と考えているということがわかる場面でした。

【おまけのツボ】

陳志明役の朝井大智(写真右奥)の存在が気になる…(C)NHK
陳志明役の朝井大智(写真右奥)の存在が気になる… (C)NHK

朝井大智(陳志明役)

 あれほど言われたのに、ピストルは持たないわ、台湾語はしゃべるわ、どこまでも自由人の万太郎が心配になります。

 それにしても、当時の日本はピストルがお手軽に入手できたのか、気になります。入手できたとしても、お高いでしょうから、気軽に買ってこい、などというのはいかがなものか。軍のピストルを配給していただけるならわかりますが……。

 話は変わって、終了間際、不敵な笑みを浮かべた台湾の案内人、珍志明役の朝井大智。

 ウィキペディアによると、「台湾で著名な清朝時代からの富豪だった台湾五大家族霧峰林家の家系で、霧峰林家の十代目子孫」だそうです。

 なにやら凄い経歴ですが、2019年からは日本で活動しています。あの「最愛」(TBS系)で吉高由里子に薬を飲ませて強姦しようとした大学生・渡辺康介を演じていました。

 万太郎に一服盛らないか、心配です。

桧山珠美
記事一覧
TVコラムニスト
大阪府大阪市生まれ。出版社、編集プロダクションを経て、フリーライターに。現在はTVコラムニストとして、ラジオ・テレビを中心としたコラムを執筆。読売新聞「アンテナ」、放送批評誌「GALAC」、日刊ゲンダイ「あれもこれも言わせて」などで連載中。

関連キーワード

エンタメ 新着一覧


元モー娘。加護亜依様の“セクシー女優匂わせ”が冗談に聞こえないワケ
 モーニング娘。黄金期の人気メンバーだったものの、現在はお騒がせタレント化してしまっている加護亜依。昨年も週刊誌やネット...
堺屋大地 2024-01-20 11:16 エンタメ
シン・スズ子誕生!タナケンに「面白いね」と言わしめたヒロインの魅力
 喜劇「舞台よ! 踊れ!」の幕が上がる。タナケン(生瀬勝久)に稽古ですべてを受け止めると言われたとおり、スズ子(趣里)は...
桧山珠美 2024-01-19 14:45 エンタメ
タナケン(生瀬勝久)の決め言葉、「どうだろうね」に込められた真意
 スズ子(趣里)は、不安を抱えたまま喜劇王・タナケン(生瀬勝久)との舞台稽古を続けていた。  なんとかしようと、ス...
桧山珠美 2024-01-22 15:16 エンタメ
ブギウギ新章、タナケン役生瀬勝久の“顔芸”と「3枚の張り紙」が見もの
 小夜(富田望生)が付き人をやめると言って姿を消してから3カ月、愛助(水上恒司)は大学を卒業し、村山興業で働き始める。 ...
桧山珠美 2024-01-17 15:49 エンタメ
5年ぶり「おっさんずラブ」にコレジャナイ感?それでもいいと思うところ
 あの「おっさんずラブ」が5年ぶりに帰ってきました。2018年4月期にスタートした同作は、ピュア過ぎるおっさんたちの恋愛...
小夜(富田望生)の食い意地は国境を越えた!愛か、餌付けされただけか
 復学した愛助(水上恒司)は、スズ子の公演に触発され、いっそう勉学に励んでいた。  そして、公演が再開して以来、ス...
桧山珠美 2024-01-12 16:05 エンタメ
任侠ドラマ出演の高岡蒼佑様…小栗旬&芸能界批判に“かわいいチワワ”か!
 アウトローな役柄などで人気を博していた元俳優の高岡蒼佑。役者引退宣言をしていたものの、今年2月にリリースされる任侠ドラ...
堺屋大地 2024-01-11 06:00 エンタメ
朝ドラ名物の闇市、小夜の食い意地はタダモノじゃねえ!
 戦争が終わって3カ月、世の中の混乱は続き、スズ子(趣里)たちは未だ公演ができずにいた。  愛助(水上恒司)の病状...
桧山珠美 2024-01-09 14:50 エンタメ
歯に衣着せぬ小夜のキャラを生かしたブギウギ流「玉音放送」シーン
 終戦の日。スズ子(趣里)たちは巡業先の富山で玉音放送を聞く。りつ子(菊地凛子)は慰問先の鹿児島で敗戦を知る。  ...
桧山珠美 2024-01-08 15:50 エンタメ
原作は4コマ漫画! 名作“ぎぼむす”のイケメントリオを味わい尽くそう
 新年あけましておめでとうございます。  例年であれば、大晦日は「ジャニーズカウントダウンライブ」で年越しするので...
特攻隊の前で「別れのブルース」、過去の“淡谷のり子物語”と異なる描き方
 1945年、日本の戦況はますます悪くなっていた。富山に慰問に来ているスズ子(趣里)は、女中の静枝(曽我廼家いろは)の話...
桧山珠美 2024-01-05 14:00 エンタメ
制作費の都合?「夜来香ラプソディ」音楽会シーンなしは残念すぎる
 上海の羽鳥善一(草彅剛)は、音楽会の準備を進めていた。羽鳥は、黎錦光(浩歌)が作曲した「夜来香」にブギを取り入れた音楽...
桧山珠美 2024-01-04 17:50 エンタメ
【2023年人気記事】マッチ様は逃げ上手と無責任のプロだった
【「残念プロフェッショナル」の流儀】  2023年も「コクハク」をご覧いただき、誠にありがとうございました。反響の大き...
堺屋大地 2024-01-02 11:44 エンタメ
辻希美&杉浦太陽はニベアのCM…仲良しラブラブ芸能人夫婦はお金を生む
 元モーニング娘。のなかで1番の勝ち組は、やっぱり辻ちゃん(辻希美)でしょう。  先日も元モー娘。の中澤裕子、保田...
スズ子と愛助の無償の愛、平和ボケの今とは違って生きるも愛するも命がけ
 東京に戻ったスズ子(趣里)は、空襲で一面ががれきになっている惨状を目の当たりにする。  スズ子が三鷹の家に戻ると...
桧山珠美 2023-12-28 14:10 エンタメ