野暮な演出はナシ!万太郎と早川(宮野真守)感動の再会までテンポよく

桧山珠美 TVコラムニスト
更新日:2023-09-14 14:50
投稿日:2023-09-14 14:50

NHK朝ドラ「らんまん」~第24週「ツチトリモチ」#119

 徳永教授(田中哲司)から、国が推し進める神社合祀令を神狩りだと断じ、反対する南方熊楠には深入りするな、と釘を刺された万太郎(神木隆之介)。

 徳永はさらに、教員の妻が渋谷で水商売をしているのはいかがなものか、と大学本部から問い合わせがあったと言い、「だからもう目立つな。私もこれ以上はかばえない」と忠告する。

 帰宅した万太郎。野宮(亀田佳明)からの、「すべてが失われる前に、君に勝手な願いを託します」と神社の森の悲惨な現状を伝える手紙を読み返し、居ても立っても居られなくなる。

 一方、寿恵子(浜辺美波)の店には、相島(森岡龍)に連れられて、早川逸馬(宮野真守)がやってくる。

 その夜、寿恵子のはからいで、逸馬と万太郎は再会。さらに、逸馬は万太郎に資産家の青年・永守徹(中川大志)を紹介する。

【本日のツボ】

早川逸馬(宮野真守)再登場!

 ※※以下、ネタバレあります※※

 寿恵子の店「やまもも」に早川が現れてから、万太郎と再会するまでの早かったこと。

 ありがちなドラマであれば、ここで2、3話分、引っ張って、視聴者をハラハラさせるものですが、そんな野暮はしないのが、「らんまん」です。

 相島に資産家・永守から預かった質問として、「あなたが人生でひとつだけ選ぶものは何か?」をぶつける早川。それを聞いていた寿恵子が、帰り際、「面白いおたずねでございました。人の数だけ答えがあるような……」と早川に話しかけ、聞かれてもいないのに「私の夫でしたら、迷わず『植物』と答えますね」と寿恵子。

「この世に雑草という草はない」

「植物? そりゃ変わっちゅうのう。世の中は雑草じゃ言うて見向きもせんのに」と早川が応えると、「でもうちの夫はこの世に雑草という草はない、と」。

 寿恵子の言葉に早川の表情が変わりました。「どんな植物にも名前がある。人がその名を知らないだけだ、と」。

 ヤマモモの木に目をやり、「女将、義理の姉夫婦は土佐じゃと言いよったの。そう。御夫君のお名前は?」と早川が寿恵子に尋ね、画面は書斎の万太郎に切り替わります。

 そして、寿恵子に連れられて、感動の再会となるわけですが、なんと粋な展開でしょう。しかも、早川は万太郎に幸運をもたらしてくれる使者となります。

 人と人を繋ぐ“縁”の素晴らしさを感じました。

桧山珠美
記事一覧
TVコラムニスト
大阪府大阪市生まれ。出版社、編集プロダクションを経て、フリーライターに。現在はTVコラムニストとして、ラジオ・テレビを中心としたコラムを執筆。読売新聞「アンテナ」、放送批評誌「GALAC」、日刊ゲンダイ「あれもこれも言わせて」などで連載中。

関連キーワード

エンタメ 新着一覧


“お騒がせ”青井実アナが心機一転、なにわ男子の道枝駿佑と似てるって⁉
 世の中の人がNHKに持つイメージといいますと、「真面目」「お堅い」「地味」といったところでしょうか。  そんな中...
逃げ恥の百合ちゃん役が“頭のいい女は頭の悪いふりをするしかない”発言
 穂高(小林薫)に出くわしたことで女子部への出願が母・はる(石田ゆり子)にばれてしまった寅子(伊藤沙莉)。  娘に...
桧山珠美 2024-04-05 15:30 エンタメ
「虎に翼」語りは尾野真千子 NHKアナと俳優のナレーションの違いは?
 寅子(伊藤沙莉)がお見合いに苦戦する中、親友の花江(森田望智)は寅子の兄・直道(上川周作)との結婚準備を順調に進めてい...
桧山珠美 2024-04-05 15:14 エンタメ
「虎に翼」シン・朝ドラの予感!わずか1話、たった15分で心つかんだ描写
 昭和6年・東京。女学校に通う猪爪寅子(伊藤沙莉)は父・直言(岡部たかし)、母・はる(石田ゆり子)から次々とお見合いを勧...
桧山珠美 2024-04-01 22:28 エンタメ
僥倖!世界に挑む赤西仁ほど「サムライマック」のCM向きな俳優はいない
 マクドナルドのCMにイケメンあり!  そんな声をちらほら耳にするようになりました。たとえば4月2日から全国放送さ...
平野らTOBEがドーム公演大成功の一方、暗雲立ち込める旧ジャニの逆転は
 3月14日から17日にかけて、滝沢秀明氏創設のTOBE所属アーティストによる東京ドーム公演「to HEROes ~TO...
こじらぶ 2024-03-30 06:00 エンタメ
ブギウギ最終回、水を差すようでスンマセン! 残念すぎる4つの演出と描写
 スズ子(趣里)のさよならコンサートが始まる。客席には懐かしい多くの面々がかけつけている。茨田りつ子(菊地凛子)、愛子(...
桧山珠美 2024-03-30 11:41 エンタメ
スズ子引退会見、“天敵の文屋”鮫島の「シャッポを脱ぐ」演出を読む
 歌手・福来スズ子(趣里)の引退会見の当日。スズ子は結局、羽鳥善一(草彅剛)とは話ができないまま会見に臨むことになってし...
桧山珠美 2024-03-27 14:30 エンタメ
超鈍感力! 羽鳥の絶縁宣言を屁とも思わないスズ子とタケシは似た者同士
 歌手引退――。スズ子(趣里)はその決断を、愛子(このか)や大野(木野花)に伝えた。  羽鳥善一(草彅剛)に絶縁す...
桧山珠美 2024-03-26 15:40 エンタメ
「GTOリバイバル」注目の新人イケメンは?松嶋菜々子は本当に出るのか
 反町隆史主演「GTO」が26年ぶりに帰ってきます。反町演じる元ヤン教師・鬼塚英吉がさまざまな問題を解決する学園モノで、...
ドヤ顔のアユミとヘイヘイブギー歌唱シーン温存の理由がわかる回だった
 昭和31年、大みそか。第7回オールスター男女歌合戦当日。スズ子(趣里)は、楽しみに会場へと向かう。スズ子が楽屋で支度を...
桧山珠美 2024-03-22 14:30 エンタメ
最終回秒読み…スズ子はブレずにお人よし、NHKと沼袋勉の手腕いかに!?
 愛子(このか)は、翌日の体育の時間に足の早い転校生と競争することになっていた。しかし、勝てる見込みがなく、愛子は学校を...
桧山珠美 2024-03-21 16:07 エンタメ
和田勉が転生したら中村倫也に!? 強烈インパクトで霞んだ礼子娘の初登場
 東京ブギウギのヒットから9年、ブギブームも下火になってきつつある中、スズ子(趣里)や羽鳥善一(草彅剛)のブギは古いとい...
桧山珠美 2024-03-18 14:30 エンタメ
「光る君へ」主人公バージン喪失!大石静氏が描く平安エロ&バイオレンス
 NHK大河ドラマ「光る君へ」は、平安中期の貴族社会を舞台に、吉高由里子演じる主人公のまひろ(紫式部)の生涯を描くもので...
沢尻エリカ不死鳥の如く女優復帰!大衆は真似できぬ人生転落リアルショー
 2月25日、沢尻エリカの女優復帰作となった主演舞台『欲望という名の電車』が千秋楽を迎えました。  「『残念プロフ...
堺屋大地 2024-03-16 06:00 エンタメ
NHK大阪が誘拐未遂事件をぶち込んだのなぁぜなぁぜ? かつ丼コント?
 誘拐犯が捕まってから、愛子(このか)は3日間も学校を休んでいた。スズ子(趣里)は、学校に行くようにと言うが、愛子は友達...
桧山珠美 2024-03-15 14:30 エンタメ