これまでのあらすじ
11月に結婚を控えている弓香さん(仮名・28歳ネイリスト)。婚約者の英明さん(仮名・30歳美容機器メーカー)とは、知人の紹介で知り合った。
長身でクールな美青年の彼は礼儀正しく誠実な人柄で、2人の交際は順調に進む。とりわけセックスの相性は抜群だった。
実は弓香さんには3年にわたって交際していた医師の恋人がいた。しかし、彼の両親から猛反対を受け、交際は終了。失恋を乗り越えての恋だった。
ただ、優しく誠実な英明さんは、時おり「霊感がある」としか思えない言動をし、弓香さんをたびたびドキッとさせた。
少々の不安はあったものの、交際は順調に進んでいく。
ある日、玄関先で濃厚なクンニリングスからのセックスを体験し、立ったまま、絶頂を迎える。
あまりの快楽に、改めて英明さんとは離れられないと決意。そんな折、銀座で友人とランチをしていた弓香さんは、帰り際、医師である元カレと遭遇して――。
元カレとの遭遇に心が揺れて
――濃厚なセックスを味わい、婚約者の英明さんとは改めて離れられないと思った。そんなタイミングで元カレとの遭遇。その後をお聞かせください。
「驚きました。スーツ越しでもわかる筋肉質な体、知性と野性を持ち合わせた濃い目の顔立ち……。昔となんら変わっていない彼・敬一(仮名・32歳)がいたのですから……。
結婚を夢見ていたのに、彼の両親が『結婚相手は女医か医療関係者』と猛反対し、彼もそれに従った……。彼にフラれた悲しみから食事もとれず、ネイルサロンの仕事を10日間も休んだことを思い出しました。
懐かしさと同時に苦い思いもこみ上げてきて、私はその場から動けずにいたんです。ランチをしていた女友達と別れた銀座の一角です。
なぜ、このタイミングで再会? と思いましたね。
敬一は私に歩み寄り、
――こんなところで会うなんて……。
懐かしそうに目を細めました。
――ひ……久しぶり、元気そうね。
私は困惑しながらも、ぎこちなく笑みを浮かべました。懐かしい彼の香りが漂ってきます。
叶えられなかった未来を思う
3年も付き合い、結婚まで考えていた敬一……。彼の両親の反対がなければ私たちはきっと結婚していたはずと、叶えられえなかった未来をぼんやりと考えていましたね。
――弓香……前からキレイだったけど、さらに洗練されたね。
敬一は照れたように言いました。その時の私は、白のワンピースに英明さんから贈られたパールのピアスをしていました。揺れるピアスが映えるよう、ロングヘアをアップにして。
『弓香』と呼ぶ声がわずかに震えていて、彼も幾分か緊張しているのかとひそかに心弾ませる自分がいて……。胸が熱くなったのが正直なところです。
――ありがとう。敬一は変わらないね。あ……誉め言葉よ。
――……婚約したって聞いたよ。
――えっ?
一瞬の間がありました。反射的に『どうして知ってるの?』と少々取り乱した声で聞いてしまって……。
――いや、風の噂さ。おめでとう。
敬一は言葉を濁しました。私と敬一には共通の知人も多かったので、誰かが伝えてもおかしくありません。そんなことを思っていると、彼が思いがけないことを告げてきたんです。
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