体の相性を盾にされても
理奈さんがふたりの体の相性について不安を覚えていることについては、カズトさんも承知しています。しかしそれを盾に結婚を先延ばしにする理奈さんの姿勢に、カズトさんは大きな疑問を抱いていると話します。
「体の相性がどうのこうのって理奈さんは言いますけど、そんなの大した問題じゃないですよ。
世の中にはセックスレスの夫婦だってたくさんいるんだし、僕らは人並みに夜の頻度もあるので、子作りにも支障があるわけじゃありません。
理奈さんが言っているのは理想論で、僕からすると、だから何? って感じなんです」
プロポーズを受けなければいいのに
理奈さんが、夜の相性をそこまで重視するタイプだとは思いもしなかったと言うカズトさん。「相性が悪い」と一方的に告げられても、解決策があるわけでもなく、どうすればいいのかまったくわからないと困惑気味です。
「プロポーズをOKしてもらったあとから体の相性が悪いって言われても、じゃあどうすればいいんですか?
そんなに不安だったなら、プロポーズを受けなければいいのに。
だって頻度を増やせば相性が良くなるって話でもないでしょうし、何かふたりで工夫を取り入れたら良くなるって話でもないでしょう? それに、夜の関係を良くするための提案だって、理奈さんからひとつも出てきていないんですよ。彼女は一方的に、ただ不満を口にするだけです。
僕は、結婚生活においてもちろん夜の相性も無視はできないとは思いますけど、共同生活を送っていくうえで夜の相性よりももっと大事なことがあるんじゃないのって考え方です。
結婚を先延ばしにしたいだけなのでは
だから理奈さんが体の相性のことばかり言うのには、正直うんざりしているんですよ。言葉はきついですけど、なんだかズルいなぁって……。
何かしら理由をつけて、ただ結婚を先延ばしにしたいだけなんじゃないのか? という疑いも持っています。でも、そうならば向こうから早めに婚約破棄を申し出るのが礼儀でしょう?
いつまでも待たされているこちらの立場にもなってもらいたいですよね」
◇ ◇ ◇
恋人同士であれ、夫婦であれ、100%同じ価値観を有する男女は稀です。ましてや交際前の男女となれば、なおのことです。少しのすれ違いが、大きな溝に発展することも少なくないのが異性間における現実でしょう。
まさにこれこそが、男女関係における醍醐味にもなれば致命傷にもなる“冷酷と激情”のはざまなのかもしれません。
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