更新日:2024-09-03 13:54
投稿日:2023-11-03 06:00
意中の人の視線は友人の元に
――続けてください。
「私の言葉に涼介さんは『ユリさんと再会できたし、美女2人とLINE交換できて、今日は参加してよかったな』なんて言っていましたが、視線はユリさんに釘付け。私はおまけのようなものです。
ユリさんはスリムですが、ニットワンピースごしにも豊かな胸がセクシーな色香漂う女性。派手顔の美女のうえ、話術にも長けていて、完全に負けたと思いましたね。
それでも、初めての既婚者合コンを楽しもうと、皆の話に耳を傾け、笑い、お酒とトークを楽しみました。
さりげなくスマホを見ると、時刻はもうすぐ20時。涼介さんは別のテーブルに移動して女性たちとにこやかに歓談していました。私たちの前には別の男性陣が、ユリさんとバイクの話で盛り上がっていたんです。
(元ヤンキーのユリさんだから、バイクにも詳しいのかしら)
そう思いつつ、私は2次会のことが気になりました。
(20時に終わって、1時間くらいなら2次会に参加できるかも。涼介さんと一緒に飲めたら嬉しいんだけど……)
友人に抱いた敗北感
ユリさんと一緒なら2次会への参加は大丈夫かしら? と思っていたら、
――沙雪さん、ちょっと失礼するわね。
ユリさんが化粧室に立ったんです。
その間、男性陣は会話が途切れないよう、あれこれ話しかけてくれて……。ただ、その表情が明らかにバイクの話で盛り上がっていた時とは違うんです。
ユリさん不在のテーブルは、無理やり沈黙を埋める義務感のようなものが存在していて、どうにも居心地悪くて……。
(私がもっとトーク上手で美人だったら、こうはならないはず)
普段は思いもしない、敗北感を抱かずにはいられませんでした。
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