「べっぴん」の由来は? 褒め言葉のつもりでもセクハラ認定の可能性が…

コクハク編集部
更新日:2024-01-20 19:17
投稿日:2023-11-12 06:00
 知っているようで意外と知らない「ことば」ってたくさんありますよね。「女ことば」では、女性にまつわる漢字や熟語、表現、地名などをピックアップ。毎日頑張るあなたがちょっぴり得した気分になれますように……。

【今回の女ことば】べっぴんさん

 美人を指す言葉に「奇麗」や「べっぴん」があります。

「奇麗」は姿、形、顔立ちなどが、花やかに美しいさま。(広辞苑 第7版)

 ちなみに「奇麗」「綺麗」はどちらが正解? どちらも正解でしょうか。

「綺」は常用漢字ではないため、記者ハンドブック(第14版)では『きれい・奇麗』。ただ「綺」は名前に使える人名用漢字なので、一般的に『綺麗』も使われているのかもしれませんね。

「べっぴん」の意は、

・「美人」のやや古めかしくてくだけた言いかた。(例解 新国語辞典 第10版)

・主として会話などに「美人の」意で使われた古めかしい漢語。(日本語 語感の辞典 第1版)

・その由来は「別品」で、特別にいい品物。(三省堂 国語辞書 第8版)

 芳根京子主演のNHK連続テレビ小説『べっぴんさん』(2016年度下半期)も、<心をこめて「べっぴん=別品」の子供服作りに邁進するヒロインの物語>がテーマでした。

「べっぴんさんだね」「いつも奇麗ですね」

 仮に誉め言葉や冗談として「きょうも、べっぴんさんだね~」「いつも奇麗ですね」と発言しても、セクシュアルハラスメントや外見至上主義のルッキズムにもとられかねない昨今。

 人事院の「これってセクシュアル・ハラスメント~理解度チェック」には、こんな設問があります。

《女性職員にはいつも「綺麗だね」と褒めている》

 でもって、その答えはセクハラに【なる場合も】と明記されています。

 解説文は【たとえ褒め言葉でも、言い方によっては女性を軽視していたり、性的な観賞の対象としてしかみていない場合があり、セクシュアル・ハラスメントになります】。

『声にならない声』

 この「なる場合」は、職場での人間関係や環境などによるのかもしれませんね。上司や先輩から言われるから笑ってごまかすなど、人によっては『声にならない声』もありそうですし。

 男女雇用機会均等法などの改正や、中小企業を含む全企業で労働施策総合推進法(パワハラ防止対策)が義務化され、ハラスメント相談窓口の設置や防止研修なども行われています。

 それでもいかんせん、ハラスメントをしている本人に自覚がなければ、すべて他人事のように聞き流されるだけ、という困った現状も……。

 ハラスメントは男女の性別関係なく起こり得ることで、自分が加害者になる場合だって考えられます。

 厚労省の「あかるい職場応援団」のサイトでは、<「男らしい」「女らしい」など、固定的な性別役割分担意識(男性は外で働き、女性は家庭を守るべきである、といった性別に基づく役割意識)に基づいた言動は、セクシュアル・ハラスメントの原因や背景になってしまう可能性があります>と注意喚起しています。

 前出の理解度チェックや、この「あかるい職場応援団」のサイトでいま一度、確認してみてはいかがでしょうか。

(日刊現代校閲/タダ美)

コクハク編集部
記事一覧
コクハクの記事を日々更新するアラサー&アラフォー男女。XInstagram のフォローよろしくお願いします!

関連キーワード

ライフスタイル 新着一覧


蛙化現象わかったフリしてない?恋愛中でもどこか冷静な若者のリスク管理
 コミックや書籍など数々の表紙デザインを手がけてきた元・装丁デザイナーの山口明さん(63)。多忙な現役時代を経て、56歳...
うんざりするけども!目上の人の苦労話は“秒”で遮断するのはもったいない
「今の人は恵まれてる、昔はさ~」から始まる目上の人の苦労話、みなさんもうんざりするほど聞いてますよね。  その苦労話で...
台湾最高!くまのプーさん気分も味わえる「40女激オシ台湾産ビール」3種
 仕事の後のビールは、全てを忘れさせてくれる大切な存在。そんな1日の終わりに飲む1杯にはこだわりたいですよね。  そこ...
2024-03-07 18:25 ライフスタイル
戦うべき相手は過去の自分 時には昇ってきた階段を振り返る
 時には昇ってきた階段を振り返る。ずいぶんと上がった、と誇りに思うこともあるし、まだこんなところか…と凹むことも。 ...
親を嫌いになってもええやん? 40女が手放せた“無理と我慢”
 早いものでもう2月。新年をきっかけに、今年こそは! と決意を新たにした方も多いのではないでしょうか。  筆者もそのう...
コミュ力ゼロ、ママ友関係が苦痛でしかない…テッパン切り口&対処法
 子育てをはじめるともれなくついてくるのが、たくさんの人間関係。保育園や学校、ママ友との交流の機会が多いので、コミュ力の...
愛しいおんにゃの子に猛アピール♡“たまたま”君の恋の行方は
「にゃんたま」とは、猫の陰嚢のこと。神の作った最高傑作! 去勢前のもふもふ・カワイイ・ちょっとはずかしな“たまたま”を見...
悔やまれる添い乳よ…子育てが落ち着いた40代ママが語る育児後悔エピ
 子育て期間中は、何が正解なのかわからないまま日々育児と向き合わなくてはなりません。しかも、子供によって成長の速さも性格...
世界的にフラワーバレンタインが来てる!愛の告白より感謝を伝える日に
 立春(2月4日)を迎え、暦の上では春。ですが、この記事を書いている最中にもテレビ画面には「本日関東地方は雪」ニュースが...
入籍お知らせで赤っ恥!させていただきますはダメ、巷でよく聞く変な敬語
 日本語って本当に難しいですよね! 中でも、日本人ですら間違えてしまうのが、敬語です。    案外、正解を知っている...
飛び立つのは怖いけど…いくつになっても思い切りって大事
 北海道で暮らす、まん丸で真っ白な小さな鳥「シマエナガちゃん」。動物写真家の小原玲さんが撮影した可愛くて凛々しいシマエナ...
“万年毛玉ジャージ”のママ友ん家がレベチ!良くも悪くもドン引きしたエピ
 人は見かけでは判断できません。特に、相手の本当の部分が垣間見えるのが「家の中」です。  いつも綺麗な人なのに家がすご...
朝寝坊にイチャイチャバレ…夫の実家に帰省した時の“珍”失敗談4つ
 結婚すると、長期休みや年末年始に夫の実家に帰省する人が多いですよね。そして、夫の実家への帰省中に、夫の家族から引かれる...
発達障害児の長男 児童精神科で勧められた「プレイセラピー」を受けたら
 ステップファミリー6年目になる占い師ライターtumugiです。私は10代でデキ婚→子ども2人連れて離婚→シングルマザー...
ちょいワルと見せかけて…実はおしゃべりな“たまたま”にキュン
「にゃんたま」とは、猫の陰嚢のこと。神の作った最高傑作! 去勢前のもふもふ・カワイイ・ちょっとはずかしな“たまたま”を見...
鉄橋の間をゴーゴーと風が通ってゆく…ここは夢と現実の境目
 鉄橋の間をゴーゴーと風が通ってゆく。眼を閉じて、橋と共に吹き飛ばされる自分を想像してビクッとする。  と思ったら...