更新日:2023-11-26 06:00
投稿日:2023-11-26 06:00
 知っているようで意外と知らない「ことば」ってたくさんありますよね。「女ことば」では、女性にまつわる漢字や熟語、表現、地名などをピックアップ。
 毎日頑張るあなたがちょっぴり得した気分になれますように……。

【今回の女ことば】嬲ると嫐る

 嫐ると嬲る、いずれも「なぶる」と読みます。

 早稲田大学教授(国語学)笹原宏之さんのご著書「謎の漢字」(中公新書)を参考にしながら、紐解いていくと――。

「嬲」は中国の六朝時代に生まれた漢字で、それよりずーっと後の唐の時代までに、派生語として「嫐」が生まれたと解説されています。

 編集部校閲見習いであるワタクシ、やす子のPCで「なぶる」と打つと、「嬲」のみが変換候補として出てくるのは“本家”だからかも……?

「なぶる」の意味は

 七代目市川團十郎(現在の團十郎は十三代目)が、お家芸である歌舞伎十八番のひとつとして選んだお芝居「うわなり」の“当て字”は「嫐」。うわなりは一説によると、光源氏が愛した藤壺の宮(光源氏パパの後妻)の怨霊による嫉妬を指すのだとか。

 光源氏と藤壺の関係を考えれば、この2人の恋愛事情だけでもややこしや~ですが、お芝居では後妻ではなく、の嫉妬をテーマに描いているそう。

 いずれにせよ「嫐」は男女の修羅場。とりわけ「男1人を巡る女2人の壮絶なバトル&嫉妬」を表現するのにこれ以上ない一文字のような気がしませんか。

「男」を「女」でサンドイッチしているので、ある意味、見たまんま。翻って、“本家”の「嬲」は女1人を巡る男2人の壮絶なバトル&嫉妬……。

女男女どころではなく、女女男女女?

 ちなみに、前出の七代目市川團十郎さん。市川團十郎家の屋号である「成田屋」の公式HPに記載された家系図を見ると、後妻・すみ、妾・さと、ため、と、同家系図の中で唯一、お妾さんの名前まで記されています。

 女男女どころではなく、「女女男女女」という波乱万丈なモテ人生を送ったのかもしれませんね。

(コクハク編集部校閲見習い・やす子)

参考資料:笹原宏之著「謎の漢字」は、漢字にまつわる豆知識、へぇ~な内容が盛りだくさんで読み応えたっぷりです。

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