「一、二、三、四、五」揃った楽団員名、余計に六郎の不在が際立つ

桧山珠美 TVコラムニスト
更新日:2023-12-05 14:00
投稿日:2023-12-05 14:00

NHK朝ドラ「ブギウギ」~第10週「大空の弟」#47

 役場の職員が梅吉(柳葉敏郎)の元を訪れて届けた報せには、六郎(黒崎煌代)が戦死したと記載されていた。

 しばらくして、家に戻ったスズ子(趣里)もその報せを読み、六郎が戦死したことを知る。しかし、突然の出来事に、スズ子と梅吉は現実を全く受け入れられずに一晩を過ごす。

 翌朝、チズ(ふせえり)が心配したり、小夜(富田望生)がスズ子はしばらく休むだろうと団員に伝えたりする中、スズ子は楽団の事務所へ向かう。

【本日のツボ】

 ※※以下、ネタバレあります※※

 六郎の死で始まった今週。先週末に予告編が流れた時点でつらいストーリーになることは承知しておりましたが、さすがに応えます。

 梅吉の憔悴、気丈に振る舞うスズ子、もう見ていられません。

「始まったぞ」

 開戦を告げる臨時ニュースのラジオよりも早く、日米開戦を知る一井、この放送は何度も何度も繰り返して放送されるものなのでしょうか。

 そうでなければ、いったいどこでその情報を知ったのか、少し疑問が残りました。

一、二、三、四、五

 そんななか、「福来スズ子とその楽団」が始動しました。集まったメンバーは、一井(陰山泰)以下、二村(えなりかずき)、三谷(国木田かっぱ)、四条(伊藤えん魔)、そして、マネージャーの五木ひろき(村上新悟)の一、二、三、四、五が見事に揃いました。

 さすがに安直すぎやしませんかと思いつつも仲間感があって素敵なネーミングです。

 そういえば、昔のドラマに出てくる女中さんがお松、お竹、お梅だったり、アニメ「魔法使いサリー」のよっちゃんの弟が、トン吉、チン平、カン太だったり、ホップステップジャンプ的なネーミング、ベタだけど好きです。

 一、二、三、四、五、激動の時代に、スズ子を支える力強い仲間になってくれることでしょう。

 一、二、三、四、五が揃ったことで、余計に六(郎)の不在が際立ちました。ラスト、街中ではおとなもこどもも「万歳、万歳、万歳」。

 その声に押し潰されそうになりながら、自身を鼓舞し、誰よりも大きな声で「万歳」するスズ子。その胸中はどんな想いだったのでしょうか。

桧山珠美
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TVコラムニスト
大阪府大阪市生まれ。出版社、編集プロダクションを経て、フリーライターに。現在はTVコラムニストとして、ラジオ・テレビを中心としたコラムを執筆。読売新聞「アンテナ」、放送批評誌「GALAC」、日刊ゲンダイ「あれもこれも言わせて」などで連載中。

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