茨田りつ子がまさかの前座!? 「大空の弟」を歌いこなす趣里の表現力

桧山珠美 TVコラムニスト
更新日:2023-12-07 14:30
投稿日:2023-12-07 14:30

NHK朝ドラ「ブギウギ」~第10週「大空の弟」#49

 羽鳥善一(草彅剛)が企画した合同コンサートは、ブルースの女王・茨田りつ子(菊地凛子)とスウィングの女王・福来スズ子(趣里)の共演が評判を呼び、客席は満員。梅吉(柳葉敏郎)もカメを連れて客席にいた。

 いよいよ開演、りつ子の渾身のスピーチ、そして「雨のブルース」が響き渡る。迎えたスズ子の出番。六郎(黒崎煌代)を思うスズ子のために羽鳥が描き下ろした「大空の弟」をたずさえ、スズ子はステージへと歩みを進める。

【本日のツボ】

茨田りつ子、まさかの前座!?

 ※※以下、ネタバレあります※※

 またもや神回でした。客席にはカメ2匹の入った大きなかごを抱いた梅吉の姿が。入口で止められなくてよかったです。

 いよいよ合同コンサートがスタート。驚くべきは、茨田りつ子が先に歌うこと。歌手としての格からいえば、まずはスズ子、そして、りつ子がトリをつとめるはずです。

 プライドの高いりつ子が、スズ子の前座を快く引き受けたとは思えないのですが……。

 そんな些細なことにこだわっている場合ではありません。幻の名曲「大空の弟」、歌詞の中に「六郎」が何度も出てきました。

 戦争で大切な家族を奪われた遺族たちのやりきれない怒りと悲しみが「〇〇〇(まるまるまる)」に込められていたように思います。それを歌いこなす趣里の表現力にも感服いたしました。

 歌い終わったあと泣き崩れるスズ子に「福来くん、しっかりしなさい」と羽鳥。いつも優しい羽鳥にしては厳しめの声でしたが、そのおかげでスズ子は立ち上がり、「ラッパと娘」を吹っ切れたかのように熱唱します。

 そこにプロの姿を見ました。客席の通路には六郎の姿も……。スズ子を心配して、廊下でその歌声を聴くりつ子。なかなかのツンデレです。

桧山珠美
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大阪府大阪市生まれ。出版社、編集プロダクションを経て、フリーライターに。現在はTVコラムニストとして、ラジオ・テレビを中心としたコラムを執筆。読売新聞「アンテナ」、放送批評誌「GALAC」、日刊ゲンダイ「あれもこれも言わせて」などで連載中。

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