苦しい言い訳
――続けてください。
「ベッドに崩れ落ちると、彼は結合を解き、私を優しく抱きしめてくれました。
――波子…すごく良かった。
彼はキスをしてくれましたが、これまで何人もの女性が甘いキスに酔いしれ、傷ついてきたのかと思うと複雑な気持ちになります。
――私も最高だった。
――さっきの話だけど、別名で顔も隠して、再び僕とマッチングしたのはなぜ?
彼はやはり気になるようでした。それに対し、
――実は…以前マッチングした相手が、ちょっとストーカーっぽくなって…だから、一度退会して別名で登録したの。もちろん、体の関係はないわ。
とっさの言い訳でしたが、マッチングアプリではよくあることなので、彼は納得してくれたようです。
もう二度と味わえない…愛しいペニスを清める
――ねえ、お掃除フェラさせて。
私は次の質問が来る前に、別な話題に持っていきました。起きあがって彼の股間に顔を寄せ、精を吐き出してだらんとなったペニスを口に含んだんです。
――気持ちいい…こんなことまでしてくれるなんて。
――あなたが好きだから。
ザーメンと私自身の愛液の入り混じった味は、正直、とてもおいしいとは言えません。でも、『これが最後』と思い、丹念に愛しいペニスを清めました。
汗交じりのすえた匂いも、塩気のある生臭い味も、もう二度と味わえないと思うと、思わず涙が出てしまって…。
――どうした?
彼は私の変化に気づいたようですが、
――…お掃除フェラなんて十年ぶりくらいだから、おかしくって(笑)。
あえて明るい声で返し、涙を見せないよう顔を傾けながら彼のモノをしゃぶったんです。
この後、達也さんに起こるであろう修羅場を思うと、せめて今だけは幸せを感じて欲しいと思ってしまって…。悪い男と分かっていても、情がうつるとダメですね」
マッチングアプリを退会
――波子さん自身もおつらかったですね。続けてください。
「その後は交互にシャワーを浴びました。
――波子、また会えるかな?
洋服を着た達也さんが、私を真正面から見据えました。
――ええ、『美波』の名前で登録しているから、いつでも連絡して。
――分かった。ありがとう。
そうして、私たちはホテルを出てそれぞれの帰路につきました。そして帰りの電車の中でスマホを取り出し、私はすぐにマッチングアプリを退会したんです。
探偵事務所の社長はもちろん、ナオミさんや奥さまに知れたら一大事です。
(また抱かれたい…でも、もうおしまい)
ふと、電車内のガラスを見ると、自分と目が合ったんです。切なくて、わびしくて…でもどこか満たされた自分が映っていました」
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