介護士が伝授します! 誰でも簡単に30代からできる介護予防

東城ゆず ライター・エディター
更新日:2019-07-24 06:00
投稿日:2019-07-24 06:00

 介護士をしていると、高齢者の方々は「こんな状態になるなんて思ってもみなかった」と言います。日本の平均寿命は、確実に伸びています。しかし、寿命が長くなれば、かかる病や介護状態になる可能性も必然的に確率が高くなります。

 どこかで「自分は大丈夫」と思っている人こそ、私は危険だと思っています。一昔前とは違い、延命措置は積極的に行いますし、医療も確実に進歩しています。結論から述べれば、病で倒れた時、元の身体に戻れないこともあります。それでも、救われた命を全うするということは、それに伴って生じたハンディキャップを受け入れる必要もあります。

 若い今のうちから介護を想定しておくことは、悪いことではありません。今から健康を意識して、習慣にしてしまえば、未来の自分の生活が変わるかもしれませんよ。

自分は「介護状態にならない」と思っているなら危険!

 なぜ介護のことを若いうちから考える必要があるのか。その理由を、ご紹介しましょう。

40代でなる人も? “若年性認知症”

 ショッキングな結論を先にお伝えしますと、“若年性認知症”になる人は多くいます。若年性認知症とは、名前の通り“若くしてなる認知症”です。65歳以下の人がなる若年性認知症ですが、この原因は生活習慣にあると一説では言われています。「40~50代でも、認知症になる可能性がある」と分かれば、そう遠くない未来だと誰もが思うのではないでしょうか。

介護が必要になる可能性は誰しも否定できない

 介護を必要とする高齢者は、年々増加しています。特に近ごろの医療の発展は素晴らしいもので、近い将来に「人生100年時代」を迎えるともいわれています。聞こえはいいですが、これに伴って医療を必要とする機会も増えますし、介護状態になる可能性も高くなります。

 人は歳を重ねるほど、免疫力がどうしても低下してしまい、傷の治りは遅くなります。長年かけて形成された生活習慣が、まさか高齢者になった途端に改善されることはありません。いくら治療や手術でその場をしのいでも、これまで骨や内臓にかけてきた負担は症状となって表れるでしょう。

30代から介護を意識し予防することはできる

 介護予防と聞くと、毎日の運動にストレッチや、過剰なまでの健康への気配りをするように聞こえてしまいます。筆者が提案したい介護予防は、そのような大げさなことではありません。それでは、30代の今から簡単にできる介護予防をご紹介します。

認知症に対する知識を深める

 ありきたりですが、認知症の知識を深める必要があります。できることなら、若いうちに認知症についてや介護制度への理解を行っておく必要があるでしょう。認知症の症状や原因を知っておくことで、自ずと危機感を抱くと思います。それに伴い、介護の予防方法を考えることができるのもメリットでしょう。認知症と言えども、たくさんの種類があることを知らない人は多くいます。それぞれ認知症の種類によっても、原因や発症率は大きく変わってきます。自分の健康診断の結果を気にかけておくことも、立派な介護予防になりますよ。

交友関係を増やす

 筆者は近所のお年寄りに「どうすれば介護予防できますか?」と尋ねられます。あまり関係ないようですが、交友関係を増やすことは立派な介護予防になると筆者は考えます。アクティブに外に出る回数が多い高齢者は、それだけで“健脚”を維持することもできます。また、友人がいることで旅行に行く回数も増えるようで、「いつまでも足の健康を維持したい」と考える高齢者は少なくありません。これは例えですが、足の健康のために「今日は30分歩く」と言っても、何の目的もなく30分歩くことを習慣にするのは、とても難しいことです。

 交友関係では、このほかにも介護予防のメリットがあります。私たちが普段、何げなく行っている会話。これは多くのことを瞬時に判断し、伝える言葉も選ぶことになります。その結果、会話を行うことは脳のトレーニングにベストなのです。相手のことを思いやる気持ちや、共感する気持ちも、脳の活性化に大事なことです。深い仲である必要もないので、できる限りかかわる人を多く作っておくべきでしょう。趣味は若い時からどんな些細なことでも見つけておくべきです。何事にも好奇心を持つ姿勢こそ、「健康を維持しつつ、長生きしたい」という自意識を高めます。

生活習慣を整える力を持つこと

 生活習慣を整える力を持つことも大事になります。無理して夜更かしをして、翌朝起きれないなんてことはないようにしたいものです。決まった生活リズムを作ります。それができなくなった時には、対処法を取り入れましょう。例えば、「夜遅くまで眠れない」というトラブルが起きた場合は、無理してでも朝早く起きるべきですし、それが不可能ならば運動を取り入れるべきでしょう。

 規範となる生活リズムを作ることで、自分の健康の異変に気づくことができます。筆者のように介護士をしていると、高齢者の中には生活が不規則な人も多くいます。同じ時間に血圧や体温を測ること自体が困難なことも。データは同じ条件でないと、比べても無意味なものです。しかし、生活リズムを整えることで、昨日の自分と今日の自分を比べることが容易になります。こういった異変に早く気づけると、初期症状で病院を受診することに繋がるでしょう。

介護予防を今のうちに始めませんか?

 一回の受診で医師に生活改善を勧められたからといって、直すことができる人は多くありません。長年培われてきた生活リズムや習慣を止めることは、それほど難しいのです。人生100年を基準にしたら、30代や40代はこの先の未来が半分以上あることになります。また健康に難が見つかるのも、この時期です。介護予防に早めに向き合いつつ、自分の習慣を変えることができる年代ともいえそうです。

東城ゆず
記事一覧
ライター・エディター
1994年生まれ。11歳の頃からブログを運営。ライターやエディターとして、女性誌メディアや地元新聞のコラム枠まで幅広く活躍中。恋愛やママ友問題、介護士であった経験からリアルな介護問題まで幅広い知見がある。年子兄弟を連れ離婚の経験があり、現在は再婚に至る。

関連キーワード

ライフスタイル 新着一覧


クリスマスを「自分へのご褒美」の口実にしてもいいかしら?
 北海道で暮らす、まん丸で真っ白な小さな鳥「シマエナガちゃん」。動物写真家の小原玲さんが撮影した可愛くて凛々しいシマエナ...
ギャラ飲みとラウンジで荒稼ぎも…まともな恋愛ができない29歳港区女子
 経営者や著名人、人気のインフルエンサーも利用する「ギャラ飲み」なるサービスって知っていますか? 東京都内のみならず、全...
再婚しても元夫・家族に子どもを会わせる?本音は「面白くない」だけど…
 ステップファミリー6年目になる占い師ライターtumugiです。私は10代でデキ婚→子ども2人連れて離婚→シングルマザー...
「こっちに付いてきて」広島で“たまたま”が秘密基地にご案内
「にゃんたま」とは、猫の陰嚢のこと。神の作った最高傑作! 去勢前のもふもふ・カワイイ・ちょっとはずかしな“たまたま”を見...
枕元にプレゼントがなくても…満天の星空に心奪われる特別な夜
 出雲の国の満天の星空を眺めていた。  日付が変わった頃、天の川を切り裂くように飛行機が音もなく飛んでいった。 ...
ほっこり読み切り漫画/第64回「みんな揃って、メリークリスマス」
【連載第64回】  ベストセラー『ねことじいちゃん』の作者が描く話題作が、突然「コクハク」に登場! 「しっぽ...
「不倫」と「浮気」の違い、知ったかぶりしてませんか?
 知っているようで意外と知らない「ことば」ってたくさんありますよね。「女ことば」では、女性にまつわる漢字や熟語、表現、地...
愉快な酔っ払い友達「どこ?寝室に辿り着けない」 私「あんたんち、1R」
 お酒の飲み方は人それぞれです。楽しく飲める人もいれば、酔っ払って記憶を無くす人も…。今回は酔っ払い状態の友達から届いた...
ドライアイ解消にも 目もと専用「アイシャンプー」の効果
 数カ月前、眼科で右目の上まぶたにあった霰粒腫(さんりゅうしゅ)の切除手術をしました。その際、医師に「できやすい体質って...
セクハラに時間が解決?責任を負わない事なかれ主義者の無責任LINE3選
 波風を立てず、責任を負わず、誰かがどうにかしてくれると見てみぬフリばかりする「事なかれ主義」。  一見、平和主義...
見た目とキャラが合わないのは当然!悩んだときの考え方
「見た目の印象とキャラがだいぶ違うよね」と言われて、悩んだことはありませんか?  自分が周りに与える印象と実際の自分と...
SNSや現実でも…他人の容姿批判がやめられない人は2種類いる
 みなさんの周りに、他人の容姿(ビジュアル)についてうるさい人、いませんか?  私はそういう人を見るたびに「かわいそう...
夜明けとともに起きだしたコハクチョウの胸の内
「あ~! 眠いけど、きょうも1日がんばるかあ!」  なんて言ってたりして。今朝の自分のことだけど(笑)。  ...
バカにしてる、よね? 部下になめられる理由と上司が改めたい悪癖3つ
 キャリアアップはうれしいけれど、部下ができると「なんだかなめられている気がする…上司としての威厳がないのかな?」と新し...
そのあえぎ声、どこまでが本当ですか?
 素朴な疑問、と頭に付ければ何を聞いても許されるとは思っていないのだが、失礼を承知で、どうしても聞きたいことがある。 ...
いつだって癒しを提供…成長が楽しみな“たまたま”を愛でる
「にゃんたま」とは、猫の陰嚢のこと。神の作った最高傑作! 去勢前のもふもふ・カワイイ・ちょっとはずかしな“たまたま”を見...