「買い物ブギ」圧巻のステージ!“キングカズ長男”覚醒、スズ子の虜に

桧山珠美 TVコラムニスト
更新日:2024-03-01 14:30
投稿日:2024-03-01 14:30

NHK朝ドラ「ブギウギ」~第22週「あ~しんど♪」#106

 ワンマンショーに向けて稽古や衣装合わせが続く中、スズ子(趣里)は新しいマネージャーのタケシ(三浦獠太)の様子を見て不安を感じていた。

 スズ子が大野(木野花)にタケシのことを相談すると…。

 そして迎えたショー当日、タケシは寝坊して遅刻してしまう。楽屋にやって来たタケシに、スズ子は自分のステージをよく見ておくようにと伝える。

 山下(近藤芳正)がそばにいない中で臨む舞台、新曲「買物ブギ」が会場を席巻する!

【本日のツボ】

ポンコツマネジャー、タケシ覚醒!

 ※※以下、ネタバレあります※※

 今週、マネジャーの山下が突然辞めると言い出し、自分の代わりにと甥のタケシを連れて来ました。

 このタケシがとんでもないポンコツで、やる気ない、能力ない、のないないづくし。演じる三浦獠太(26)はご存知、“キングカズ”三浦知良の長男。お父さんは56歳にしていまだ現役で頑張っているのに、なんなんだこのダメダメぶりは! とドラマと現実がごっちゃになるほどイライラしました。

 そもそも、山下もいままでスズ子のために尽くしてくれていたのに、最後の最後でこれはないでしょ、と山下に対する怒りまで沸いてきました。

 ズブの素人を自分の後釜に連れて来て、引継ぎもしないで「スズさんにおまかせ」ってあまりにも無責任過ぎやしませんか、と。

「アンタ、よう見ときや」

 そして、本日。「買物ブギ」お披露目の大事なステージの初日に、あろうことか寝坊をしてしまったタケシ。慌ててスズ子宅に駆け込むも、スズ子は1人で劇場へ。

「やってしまった」「いつもそう」「どうせクビだ」と落ち込むタケシに、「正直にぶつかれ。誤魔化しなく。正直にぶつかって、一生懸命働け」と助言する大野。「ほら立て! 福来さんが待ってる」と送り出します。

 一方のスズ子は、羽鳥(草彅剛)やタナケン(生瀬勝久)、そして、山下に言われた言葉を思い出していました。そこにタケシが到着。怒るかと思いきや、「来たんか。逃げたかと思ったわ」と優しく声を掛けるスズ子。

 遅刻と、音楽に詳しいというのも嘘だったと謝り、「けじめをつけなければと思って」と話すタケシに、「アンタ、よう見ときや」と言ってステージに向かうスズ子。

「買物ブギ」をユーモア交えた演出で楽しく歌い上げるスズ子と、それを見て喜ぶ観客を舞台袖から見つめるタケシ。スズ子に大きな拍手を贈ります。タケシ、覚醒の瞬間です。

 楽屋に戻って来たスズ子に、今までにない大きな声で「お疲れさまでした」とタケシ。

「どうや。見たか。お客さん、どんな顔してた?」

「最高の笑顔でした。福来さん、ほんとうにカッコ良かった」

「これが歌や。これがお客さんを楽しませるいうことや。それがどんなに素晴らしい仕事か、アンタにもっとちゃーんとわかって欲しい」

 自分がこれまで教わってきたことを、今度は若い人に伝える番だと、スズ子は語ります。

終わりよければすべてよし

 そして、「これからも一緒に頑張ろうな」とタケシに手を差し出します。その手を両手で掴んで、「はい。よろしくお願いします」と深々と頭を下げました。

 めでたしめでたし。終わりよければすべてよし。マネジャーの仕事は山下が教えた方がよかったんじゃ…と思いますが、「買物ブギ」の圧巻のステージに免じて許します。

 ラスト。スズ子、愛子、大野さん、タケシがちゃぶ台を囲んで食事するシーンにもほっこり。スズ子もますますたくましくなりました。

桧山珠美
記事一覧
TVコラムニスト
大阪府大阪市生まれ。出版社、編集プロダクションを経て、フリーライターに。現在はTVコラムニストとして、ラジオ・テレビを中心としたコラムを執筆。読売新聞「アンテナ」、放送批評誌「GALAC」、日刊ゲンダイ「あれもこれも言わせて」などで連載中。

関連キーワード

エンタメ 新着一覧


「僕じゃ駄目かな」あすなろ白書のキムタクを想起、優三渾身のプロポーズ
 寅子(伊藤沙莉)は、弁護士として社会的な信用を得るためにお見合いをさせて欲しいと直言(岡部たかし)とはる(石田ゆり子)...
桧山珠美 2024-05-20 15:02 エンタメ
事件はいつも「あの階段」で起こる! 岩ちゃん演じる花岡もう婚約
 晴れて弁護士になったが、女性であることを理由になかなか依頼をしてもらえない寅子(伊藤沙莉)。「女の幸せより大事なものか...
桧山珠美 2024-05-20 15:02 エンタメ
炎上芸人・粗品は松本人志にビビってない!キンプリへの暴言も計算済み?
 2018年にコンビとして『M-1グランプリ』(テレビ朝日系)のチャンピオンとなり、2019年にピン芸人として『R-1ぐ...
堺屋大地 2024-05-15 06:00 エンタメ
「握手」の演出に伏線?寅子と花岡は友情の証、優三のそれとは真逆だった
 寅子(伊藤沙莉)の1年先を行く花岡(岩田剛典)は司法修習後の試験に合格。どうしても早く伝えたいと寅子に電話をしてきたの...
桧山珠美 2024-05-14 16:00 エンタメ
あぶ刑事ヒットならドラマ化も?柴田恭兵の“枯れた老人”は世を忍ぶ仮の姿
 先月までNHK-BSで放送していた「舟を編む~私、辞書つくります~」はなかなか素敵なドラマでした。  三浦しをん...
映画『広末涼子』(仮)の鳥羽氏は中盤キャラ?スキャンダル史まだ続く説
 昨年6月、人気シェフ・鳥羽周作氏とのダブル不倫が報じられ、無期限の謹慎処分を受けていた広末涼子。その後、夫だったキャン...
堺屋大地 2024-05-11 06:00 エンタメ
花岡(岩ちゃん)、寅子に匂わせプロポーズ!?でも黄色いバラの花言葉は…
 とうとう合格した寅子(伊藤沙莉)、先輩の久保田(小林涼子)、中山(安藤輪子)。そして寅子と合格者が3人も出たことで、廃...
桧山珠美 2024-05-10 15:30 エンタメ
生田斗真“無痛おねだり”大炎上の後始末 羊水発言は“謹慎4カ月”だったが…
 俳優の生田斗真(39)が大炎上している。生田はインスタグラムのストーリーズで、ファンから質問に回答する企画で「今日で妊...
優三のいい人キャラさく裂!予告でヒヤリとした梅子の断崖絶壁シーンも〇
 涼子(桜井ユキ)と香淑(ハ・ヨンス)の思いを背負って、寅子(伊藤沙莉)たちは再び高等試験に挑むが、今度は梅子(平岩紙)...
桧山珠美 2024-05-09 16:30 エンタメ
『虎に翼』脚本家、アニメ界でなぜ高評価?朝ドラ人気の要因は公平な目線
 NHK連続テレビ小説『虎に翼』が好評だ。主人公は日本初の女性弁護士・三淵嘉子をモデルとした猪爪寅子。彼女が投げかける疑...
竹もとで勉強する寅子たちは今時のノマド?法律事務所の初仕事はお茶入れ
 昭和13年春、明律大学を卒業した寅子(伊藤沙莉)たち。寅子は雲野(塚地武雅)の法律事務所で働きながら高等試験合格を再び...
桧山珠美 2024-05-07 14:20 エンタメ
あさイチで光った令和の“料理男子”の新星、キスマイ横尾のライバル現る!?
 ゴールデンウィークといっても、どこかにお出掛けの予定になんの予定もなく、ただ漫然とテレビを見ていたら、神様から思わぬご...
直言ら16名全員無罪!憲法記念日に放送された寅子が語る「法」の解釈
 昭和11年12月。1年半に及んだ直言(岡部たかし)の「共亜事件」がいよいよ結審の日を迎えた。  寅子(伊藤沙莉)...
桧山珠美 2024-05-04 06:00 エンタメ
直言の判決いかに? 寅子の表情、優三腹くだり…テンポ絶妙な法廷シーン
 公判中に倒れた直言(岡部たかし)は、自分の無実を信じる寅子(伊藤沙莉)の気持ちに応え、取り調べで自白を強要されたことを...
桧山珠美 2024-05-02 17:13 エンタメ
『虎に翼』の週タイトルになぜ「?」はる記“主婦乃手帖”で一発逆転なるか
 直言(岡部たかし)は寝たきりでろくに食事も取ろうとしない。そんな様子をはる(石田ゆり子)は心配していた。  一方...
桧山珠美 2024-04-30 13:50 エンタメ
大谷結婚モロ被りの不穏も何のその!各世代イケメン網羅のキムタクドラマ
 木村拓哉(51)主演ドラマ「Believe-君にかける橋-」(木曜21時、テレビ朝日系)がスタートしました。待ちに待っ...