「ニャニャニャニャニャ」寅子の必殺技!いずれ強い虎になる“伏線”か?

桧山珠美 TVコラムニスト
更新日:2024-04-12 18:20
投稿日:2024-04-12 18:20

NHK朝ドラ「虎に翼」~第2週「女三人寄ればかしましい?」#10

 判決の日。寅子(伊藤沙莉)たちの予想は外れ、妻が着物を取り戻すことが認められる。大喜びする女子部の面々だったが、よね(土居志央梨)だけは「甘い」と怒りを隠さない。

 裁判には確かに勝ったが、あの女性の受ける扱いは変わらない、と言うよね。

 寅子は、着物を返還された妻・峰子(安川まり)の「離婚裁判は続くが、最後まで戦う」という言葉に「法律は盾のように人を守るためのもの」だと考えるようになる。

【本日のツボ】

「ちょっと待ったぁ」からの、寅子の必殺技「ニャニャニャニャニャ」

 ※※以下、ネタバレあります※※

 裁判は大半の予想に反し、形見の着物は妻の元へ返還されることに。「人間の権利は法で定められているが、それを乱用、悪用することがあってはならない。新しい視点に立った見事な判決だったね」と学生たちに語りかける穂高教授(小林薫)。

「こういった小さな積み重ねがゆくゆくは世の中を変えていくんじゃないかね」とまとめます。

 学生たちも頷き、めでたしめでたしムードの中、「甘過ぎます!」と声を上げたよね。「あの男は彼女への非道の償いをすることもない。何も反省しない。きっと彼女にしてきたことをまたほかの女に繰り返す」。

 さらには「本来、法律は、力を持たない私たちが、ああいうクズをぶん殴ることができる唯一の武器、そうであるはずなのに…」と怒りが収まらない。クールなよねが人のためにここまで感情をあらわにしたのは意外でした。

 法廷を出たところで、さきほどの夫婦がなにやら言い争っている様子。「おい! あれで俺を負かしたつもりか。俺は絶対お前と離婚しないからな」とすごむ夫(遠藤雄弥)。

「お願い、もう私に関わらないでください」と懇願する妻に、「なんだと~」と手を上げようとしたところ、今日イチの大声で「ちょっと待ったぁ」。

 階段を猛スピードで駆け下り、妻の大声で割り込む寅子。2人の間に入り、「ニャニャニャニャニャ」と夫の暴力を阻止します。

 寅子の必殺技「ニャニャニャニャニャ」、猫が引っかくような動きがコミカルで笑ってしまいました。

いずれ同じネコ科の強い虎になる?

 今は「ニャニャニャニャニャ」の猫ですが、いずれは同じネコ科で、さらに強い虎になるということでしょうか。

「法は武器」と言ったよねに対して、「法は弱い人を守るもの」と寅子。「お前とは分かり合えない」とよねに言われてもいっこうに動じず。「合わない相手と無理にご一緒しなくても」と放つ涼子(桜井ユキ)の言葉に「はて? それは違うでしょ」と寅子。

「一個の人格者として認められていない女のくせに、法律を学ぶ地獄の道をゆく同志よ。共に学び共に戦うの」と自説を述べます。

劇中で光る寅子のポジティブさ

 それにしても、拒絶されようが、邪険にされようが、「私、よねさんのことわりと好きよ」と言える寅子のポジティブさ、いいですね。

 名律大学女子部の団結が一気に増した回でした。

 帰宅後、台所仕事をする母(石田ゆり子)と花江(森田望智)に、「お母さん、花江、もしこの先、結婚に絶望しても、絶対に私が助けてあげる。私、盾なの。盾みたいな弁護士になるの」と晴れやかに宣言する寅子。

 対照的に、上野カフェでボーイとして働くバーテンダーをするよねや華族のお嬢様・涼子と母(筒井真理子)の毒親ぶりなど、なにやら不穏な空気で終わり、来週が気になって仕方がありません。


桧山珠美
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TVコラムニスト
大阪府大阪市生まれ。出版社、編集プロダクションを経て、フリーライターに。現在はTVコラムニストとして、ラジオ・テレビを中心としたコラムを執筆。読売新聞「アンテナ」、放送批評誌「GALAC」、日刊ゲンダイ「あれもこれも言わせて」などで連載中。

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