「お月のもの」ネタ再び、寅子らの生理談議にマスターのヘンな気遣い

桧山珠美 TVコラムニスト
更新日:2024-04-18 16:50
投稿日:2024-04-18 16:50

NHK朝ドラ「虎に翼」~第3週「女は三界に家なし?」#14

 よね(土居志央梨)は貧しい生い立ちを明かし、涼子(桜井ユキ)や寅子(伊藤沙莉)など、同級生らが恵まれていることに憤りを感じると告白する。かける言葉が見つからない寅子は「毒まんじゅう事件」の実際の判例を再検証しようと提案する。

 はる(石田ゆり子)と花江(森田望智)の力も借り、実際にまんじゅうを作ってみることにする寅子たち。すると、意外な事実が判明して…。

【本日のツボ】

「カフェー燈台」マスターのヘンな気遣い

 ※※以下、ネタバレあります※※

 足を痛めたよねを「カフェー燈台」に送り届けた寅子たち。よねの口から苦難に満ちた壮絶な過去を聞き、しばしフリーズ状態となっていました。

「私とあんたらは違う。だからもう関わんな」と言われ、何か言葉をかけたいけれど、何と言ったらいいものか、と頭の中をフル回転させる寅子。あれこれ逡巡し、しかも、それがちゃんと見える化されているから可笑しくて…。

 最初のパターンでは、「ハァ。あんたあたしのこと可哀想扱いしてんの、うっとうしいんだよ」と凄まれ、違う違うと首を横に振る寅子。「駄目、こんなことを言われたくて、よねさんは話をしてくれたんじゃないはず」とナレーションが追いかけてきます。

 伊藤沙莉と尾野真千子の二人羽織のような見事なコラボレーション、もはやこのドラマの名物になりつつありますね。

 次のパターン、その次のパターンと畳みかけてくるからたまりません。

「何を言っても偉そうになってしまう」という情けなそうなナレーションの声とトホホ顔の寅子にやられました。

「ん? 僕、席を外そっか」

「私にはお付きの子もいない…」とほかの同級生らと自分は違うと訴えるよね。「…1日も大学も仕事も休まず、必死に食らいついている。だから余裕があって恵まれたやつに腹が立つんだ」と心の内をさらけ出します。

 その言葉に、「あの、お尋ねしたいのだけど。1日も大学を休んでいないと言ってたけど、お月のものがきた時はどうしてたの?」と寅子。その瞬間、マスターの増野(平山祐介)が、立ち上がり「ん? 僕、席を外そっか」とヘンな気遣いをみせます。

「お気になさらず~」と梅子(平岩紙)に言われ、そのままいますが、「別にどうもしない。血さえ漏れなきゃいいんだ」と言い放つよねの言葉に、「いや~、外したほうがいいよね~」と所在なさげ。

 一連のこのやりとりとマスターの「お月のもの」というワードに対する反射神経にツボりました。

【おまけのツボ】

「もう少しお砂糖入れて」で嫁姑戦争勃発!?

 寅子の家で「毒まんじゅう事件」を再検証することになり、実際にまんじゅうを作ることに。あんこ担当の花江、いつものように姑のはるに味見をお願いしたところ、「う~ん。もう少し、お砂糖を足して」と言われてしまいます。

 煮物もあんこも、いつももう少しお砂糖が足りず、合格点をもらえない花江。ついに爆発してしまいそうな予感…。

 オロオロする寅子の兄・直道(上川周作)の姿が目に浮かびます。

桧山珠美
記事一覧
TVコラムニスト
大阪府大阪市生まれ。出版社、編集プロダクションを経て、フリーライターに。現在はTVコラムニストとして、ラジオ・テレビを中心としたコラムを執筆。放送批評誌「GALAC」、日刊ゲンダイ「あれもこれも言わせて」などで連載中。

関連キーワード

エンタメ 新着一覧


「あんぱん」蘭子と豪の秘めたる恋に“過去の名作”を思い出す。河合優実は百恵ちゃんによく似ている
 縁談の返事をしに出掛けた蘭子(河合優実)を連れ戻したのぶ(今田美桜)に、蘭子は本心を明かす。季節は巡って秋になり、うさ...
桧山珠美 2025-05-01 19:16 エンタメ
なにわ男子・道枝駿佑は“肉食女子”から守られたのか?「キャスター」男性俳優陣が気になるよ
 芸能界広しといえども清純派と呼べるのは芦田愛菜だけ。長年、そう訴えてきましたが、今回の一件が図らずともそれを証明したの...
共亜事件は「虎に翼」のオマージュか。あんぱん、ブギウギの3人が同時代を生きている
 昭和11年、家族や嵩(北村匠海)に見送られ、のぶ(今田美桜)は女子師範学校の寮に入る。軍国主義の担任・黒井雪子(瀧内公...
桧山珠美 2025-04-28 18:40 エンタメ
「あんぱん」最後まで毒親だった登美子(松嶋菜々子)。去っていく彼女に問うてみたいこと
 受験したのぶ(今田美桜)と嵩(北村匠海)の明暗が分かれる。静まり返った柳井家で、寛(竹野内豊)たちに頭を下げる嵩。そこ...
桧山珠美 2025-04-26 12:50 エンタメ
春ドラマの評判を調査!『最後から二番目の恋』は令和の鬼渡?『あんぱん』『対岸の家事』の感想は
 2025年4月期も話題のドラマが続々スタート! 多すぎてどれを見るのか迷ってしまう…。そんな人のために忖度なしでドラマ...
「あんぱん」千尋(中沢元紀)は本当に良い子…史実どおりの展開なのか。しょくぱんまんのようなイケメンだ
 けんかした嵩(北村匠海)と千尋(中沢元紀)に、寛(竹野内豊)は改めて後継ぎはいらないと告げる。そして、何をしながら生き...
桧山珠美 2025-04-23 17:51 エンタメ
こうでなくちゃ! 志尊淳の正解を「恋は闇」で見た。いい人よりも“妖しい姿”に妄想が駆り立てられる
 新ドラマ「恋は闇」(日本テレビ系)の志尊淳が良きです。  前クールの「日本一の最低男 ※私の家族はニセモノだった...
「あんぱん」なんて贅沢!今が旬、河合優実の“目で語る”表現力と色気に驚く。俳優・ソニンのEE JUMP感を消した演技も見事
 なりたい夢を見つけたのぶ(今田美桜)は、女子師範学校合格に向けて猛勉強をし始めるが、成績が思わしくなく頭を抱える。同じ...
桧山珠美 2025-04-21 14:23 エンタメ
怪演・市原隼人に「ヤバい超大物」2人が熱烈ラブコール。迫真すぎる“ガンギマリ”の演技がモテる理由か
 大河ドラマ『べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~』(NHK)にて、盲目の大富豪にしてゾクッとする異様な雰囲気を放つ鳥山検校を怪演...
堺屋大地 2025-04-21 06:00 エンタメ
ラランド・サーヤは「名誉男性」なのか? お笑い界の“女すぎる”という悪口に思うこと
 ラランド・サーヤが参加するバンド「礼賛」が大阪で行ったライブで、痴漢行為が発生。被害女性がSNSで被害を訴えたことで発...
帽子田 2025-04-20 06:00 エンタメ
「あんぱん」松嶋菜々子の“毒”さえチャーミングにする厄介な美しさ。ドキンちゃんにも見えてしまった
 8年間音沙汰のなかった登美子(松嶋菜々子)が突然帰ってくる。登美子に対してわだかまりが残ってはいるものの、自分の漫画を...
桧山珠美 2025-04-19 06:00 エンタメ
「あんぱん」登美子(松嶋菜々子)の登場が不穏…色っぽいけど。貴島中尉(市川知宏)は“あのキャラ”を意識?
 新聞社に出した漫画で賞金をもらい、ご機嫌の嵩(北村匠海)。一方のぶ(今田美桜)は、パン食い競走で転びそうになったところ...
桧山珠美 2025-04-17 16:02 エンタメ
カトパンへの嫌味に物議…新井恵理那は承認欲求のカタマリか、悪役を演じる聖人か?
 昨年3月、8年間出演して総合司会も務めていたテレビ朝日系の朝の情報番組『グッド!モーニング』を降板したフリーアナウンサ...
堺屋大地 2025-04-17 06:00 エンタメ
【募集】春ドラマ何見る? 面白かった&ガッカリを教えて!『最後から二番目の恋』『あんぱん』etc
 コクハクでは2025年春ドラマを対象としたアンケートを実施します。4月よりスタートした春ドラマ、「期待している」「面白...
笠松将、柳楽優弥を超えなければと思っていた。俳優業の“わからなさ”は「自分自身にビビッている感覚」『ガンニバル』シーズン2インタビュー
“この村では、人が喰われているらしい……”    2022年の年末にディズニープラス スターにて独占配信がスタートす...
望月ふみ 2025-04-15 06:00 エンタメ