「秋波を送る」は、もはや美人だけの特権ではない。

コクハク編集部
更新日:2024-05-19 06:00
投稿日:2024-05-19 06:00
 知っているようで意外と知らない「ことば」ってたくさんありますよね。「女ことば」では、女性にまつわる漢字や熟語、表現、地名などをピックアップ。
 毎日頑張るあなたがちょっぴり得した気分になれますように…。

【今回の女ことば】秋波を送る

 本来の意味から“脱線”した表現でも、一般的に使われている言葉があります。「秋波(しゅうは)を送る」もそのひとつでしょう。

 秋波(を送る)の意味は、

・色っぽい、誘う目つき。色目、そこから「秋波を送る」は誘う目つきをする(三省堂国語辞典 第8版)

・秋の澄みきった波の意から、美人の清らかに澄んだ目もと(明鏡国語辞典 第3版)

・気のあるような目つきをして、異性の関心をひく(用例でわかる 慣用句辞典 第1版)

あちこちで送られまくっている

 もともとは色目をつかって、異性の関心をひく表現のはずですが、どうやらそれだけではないようです。

 たとえば、夕刊紙「日刊ゲンダイ」では、次のように使われています。

 早くもユーチューバーのヒカル(32)が松本(人志)に秋波を送っている。(日刊ゲンダイ/1月27日号)

 内閣支持率も求心力もダダ下がりの岸田首相に、思わぬところから“朗報”が届いた。北朝鮮の金正恩朝鮮労働党総書記の妹の金与正副部長が「首相が平壌を訪問する日が来るかも」とする談話を発表。秋波を送ってきたのだ。(日刊ゲンダイ/2月19日号)

 疑惑のド真ん中にいる元会長の森喜朗元首相の関与についても、誰ひとり本人に問いたださない。偽証罪に問われる証人喚問を野党が要求するのは当然だ。秋波を送られる公明党がこれほど存在感を高めている時はない。(日刊ゲンダイ/3月22日号)

 異性間だけでなく、同性同士、政治団体、外国からとあらゆるところで「秋波」が送られまくっています。

「下心をもって、誘いをかける」の意も

 このような表現は他紙誌でも見られるため、三省堂国語辞典では「下心をもって、誘いをかける」とも表記しています。

 異性の関心をひくはずの言葉が、対象はなんでもアリとなり、あわよくばと下心丸出しの“お誘い”表現へ。いまや「清らかに澄んだ目もと」よりも、浸透&馴染んでいるかもしれませんね。

(日刊現代校閲/タダ美)

コクハク編集部
記事一覧
コクハクの記事を日々更新するアラサー&アラフォー男女。XInstagram のフォローよろしくお願いします!

関連キーワード

ライフスタイル 新着一覧


金木犀の香りが空前のブーム!甘く懐かしくアンチエイジングに運気UPも
 とある量販店に行った時のことです。入り口付近に黄金色の商品ばかりが並び、遠巻きに見ると店舗全体が黄金色に輝いてみえる。...
リュウジ氏と港区女子の相容れぬ価値観「男子全奢り論争」諸悪の根源は?
 諸悪の根源はリュウジさんでも港区女子でもなく、ズバリ“あの人物”でしょう。 「バズレシピ」でお馴染みの人気料理研...
タイパ? なにそれ。映画館で初対面の作品と出会う胸のときめき
 北海道で暮らす、まん丸で真っ白な小さな鳥「シマエナガちゃん」。動物写真家の小原玲さんが撮影した可愛くて凛々しいシマエナ...
まるでリヴァー・フェニックス!美少年“たまたま”にうっとり
「にゃんたま」とは、猫の陰嚢のこと。神の作った最高傑作! 去勢前のもふもふ・カワイイ・ちょっとはずかしな“たまたま”を見...
街が茜色に染まり始めた頃…ほんの1カ月前がすでに懐かしい
 夕暮れ前、ぼんやりしていたら辺りは真っ暗。少し前はそんなことなかったのに。  湿度を含んだ空気や強すぎる日差しが...
今どきの「良妻+賢母」ってどんな人?
 知っているようで意外と知らない「ことば」ってたくさんありますよね。「女ことば」では、女性にまつわる漢字や熟語、表現、地...
会社の飲み会「欠席LINE」の正解は? 感謝と断る理由では詰めが甘い
 何かをお願いされたり、誘われたりした時、断るのってとても気を使いますよね。  人によっては、本意ではないのにOK...
村上春樹氏、今年もノーベル文学賞ならず…「村上レシピ」で一人残念会
 スウェーデン・アカデミーは5日、2023年のノーベル文学賞をノルウェーを代表する劇作家ヨン・フォッセ氏(64)に授与す...
“女LINE”は秋の空!嫌味、派閥、狂乱…げに恐ろしき女だらけの職場
 女だらけの職場に勤めた経験はありますか? 学生時代から多くの人が感じるように、さっぱりしている男性に比べて、女性の人間...
2023-10-07 06:00 ライフスタイル
部屋が汚いときはどうすれば? 手始めにやる3つのこと&綺麗を保つコツ
 ちょっと気を抜くとすぐに散らかってしまう部屋。部屋が汚くなったとき、「とりあえず何から片付ければいいんだ?」と途方に暮...
MEGUMIの夫・降谷建志は不倫相手に息子を会わせた…ってどんな心理?
 タレントのMEGUMI(42)の夫で、「Dragon Ash」のボーカル・降谷建志(44)の不倫騒動が9月27日に「文...
無理して笑うの、やめない?「ポジティブシンキング推し」に物申したい
 ここ数年でメンタルに関する情報は、SNSにも本にもたくさん出ています。それは良い傾向なのですが、やたらとポジティブに考...
田舎の秋の景色 この気持ちいい季節がずっと続いてほしい
 気づけば10月に突入。1年の後半のこのスピーディーな感じ、なんだか焦るなあ。  ずっとこの気持ちいい季節が続けば...
40代“ぼっち”になった…友達が減った理由3つ&新しく無理なく作る方法
 40代を過ぎてから「友達が減った」と感じていませんか? 学生時代に親友と呼べるほど仲の良かった友達でも、気がつけば年賀...
40女も大満足な雑誌付録2選「高級ファンデ×激レアポーチ」は大正解!
 使い勝手が良さそうなスヌーピーの3段ポケットポーチや、試さずに購入するには勇気のいる値段のファンデーションが手軽な値段...
まず財布が痩せる! ランニング沼にハマった40女あるある4選
 10月に入りすっかり秋めいてきましたね。「スポーツの秋」とはよく言ったもので、身体を動かすのにピッタリなシーズンになり...