「僕じゃ駄目かな」あすなろ白書のキムタクを想起、優三渾身のプロポーズ

桧山珠美 TVコラムニスト
更新日:2024-05-20 15:02
投稿日:2024-05-16 16:35

NHK朝ドラ「虎に翼」~第7週「女の心は猫の目?」#34

 寅子(伊藤沙莉)は、弁護士として社会的な信用を得るためにお見合いをさせて欲しいと直言(岡部たかし)とはる(石田ゆり子)に頭を下げる。

 一方、轟(戸塚純貴)とよね(土居志央梨)は花岡(岩田剛典)を呼び出し非難する。寅子の事情を理解したはるは、必ずいい人を見つける、と奔走するが、相手はなかなか見つからない。

 そんな中、気落ちする寅子を、ある人物が訪ねてくる。

【本日のツボ】

「僕じゃ駄目ですか」優三、渾身のプロポーズ

 ※※以下、ネタバレあります※※

 よねと轟が寅子のために花岡を糾弾。「一発殴ってやろうかと思って待っていたのだけど。どうせお前などあいつと到底釣り合わない」と憤慨するよねと、「本当にそれでいいのか。それで本当に幸せになれるのか?」と花岡のためを思って意見する轟。友情が眩しいです。

「あんなキザったらしいいけ好かない男より、もっともっといいお相手を見つけてみせますから」。はるったら花岡のこと、そんなふうに思ってたのか、とちょっと笑っちゃいました。

 ようやく見つかったお相手は、奥さんに先立たれて後添いを探していた年上のお医者さん。写真を見つめ、微妙な表情の寅子ですが、お見合いすると決断。洋菓子が好きな相手のために、はるに頼んでクッキーを焼くなんて、カワイイところがあります。

 ところが、「弁護士をするご婦人はなんだか怖そうだ」と。自分としてはかなり妥協をしたつもりだった相手に断られるとは、こんな屈辱はありません。

「これがおかあさんが言ってた地獄か…」

 寅子の心の声が切なく、玄関に座ってため息をひとつ。

しっくりくる寅子と優三のポジション

 そこに「おかえりなさい」の声。階段横の部屋にいたのは優三でした。

「寅ちゃん、お見合い相手を探してるんだって?」。階段に座り、以前のように話し込む2人。この2人の立ち位置、というか座り位置、ほんとうにしっくりきます。

 堰を切ったように話し出す寅子に、何か言いたげな優三。ようやく話そうとすると、例の「ぎゅるる」音が…。

 緊張するとお腹がゆるくなる優三、そこを頑張って堪えて、なんとか言えました「それ、僕じゃ駄目かな?」。

「あすなろ白書」のキムタクを想起させる渾身のプロポーズなのに、「はて?」。相変わらず鈍い寅子です。「社会的地位を得るための結婚相手、僕じゃ駄目でしょうか」。

「つまりそれは優三さんも社会的地位が欲しいと?」。さすが「俺にはわかる」の妹、なんだかとんちんかんですが、優三は「はい。です。はい。そうです。独り身への風当たりの強さは男女ともに同じですから」と。

「はい!」、握手を交わした2人。

 ここで再び「ぎゅるぎゅる」。最後は便所に駆け込む優三と、「この手があったか」と得心の寅子。

 緊張するとお腹がゆるくなる優三のキャラが活きました。寅子の一番の理解者。こんなに良いお相手はいません。

桧山珠美
記事一覧
TVコラムニスト
大阪府大阪市生まれ。出版社、編集プロダクションを経て、フリーライターに。現在はTVコラムニストとして、ラジオ・テレビを中心としたコラムを執筆。読売新聞「アンテナ」、放送批評誌「GALAC」、日刊ゲンダイ「あれもこれも言わせて」などで連載中。

エンタメ 新着一覧


すわ、嫁姑戦争勃発か!? 月のもので結束力まで描く脚本の妙
 実際の事件を調べるため、まんじゅうを作ってみることにした寅子(伊藤沙莉)たち。すると涼子(桜井ユキ)が急に謝罪したいと...
桧山珠美 2024-04-19 15:50 エンタメ
「お月のもの」ネタ再び、寅子らの生理談議にマスターのヘンな気遣い
 よね(土居志央梨)は貧しい生い立ちを明かし、涼子(桜井ユキ)や寅子(伊藤沙莉)など、同級生らが恵まれていることに憤りを...
桧山珠美 2024-04-18 16:50 エンタメ
森香澄は“嫌われる女”を演じてる説 「女子アナ」抹消計画を進行中!?
 元・テレビ東京の「女子アナ」で、昨年3月に退社してフリーに転身後、バラエティ番組を中心に引っ張りだことなっている森香澄...
堺屋大地 2024-04-17 06:00 エンタメ
朝ドラ史上初の快挙!ヒロインの月のもの(生理)事情が描かれた
 生徒数が減り、存続の危機に陥る明律大学女子部。宣伝のため2年生の寅子(伊藤沙莉)たちは先輩の久保田(小林涼子)・中山(...
桧山珠美 2024-04-15 15:48 エンタメ
平野、神宮寺、岸のNumber_i返り咲きの春! 欲いえばもっともっと…
 さくら満開の春、Number_iがテレビに帰ってきました平野紫耀(27)、神宮寺勇太(26)、岸優太(28)、お久しぶ...
「ニャニャニャニャニャ」寅子の必殺技!いずれ強い虎になる“伏線”か?
 判決の日。寅子(伊藤沙莉)たちの予想は外れ、妻が着物を取り戻すことが認められる。大喜びする女子部の面々だったが、よね(...
桧山珠美 2024-04-12 18:20 エンタメ
不祥事芸人・フジモンの賛否両論の復帰劇!実は吉本への貢献度が抜群?
 昨年10月に当て逃げ事故を起こして活動自粛していたフジモンことFUJIWARA・藤本敏史が、3月23日放送の『さんまの...
堺屋大地 2024-04-12 06:00 エンタメ
寅子「あきらめたらそこで終わり」はもしや…名作漫画のイズムにニヤリ
 傍聴した裁判について尋ねた寅子(伊藤沙莉)に対し、穂高(小林薫)は皆で議論してみるよう促す。  暴力を振るう夫か...
桧山珠美 2024-04-11 15:25 エンタメ
トラコ入学、伊藤沙莉は表情筋を自由に操る女優…男装の山田よねにも注目
 昭和7年。晴れて「明律大学女子部法科」に入学した寅子(伊藤沙莉)のクラスには女子の憧れの的の華族令嬢・桜川涼子(桜井ユ...
桧山珠美 2024-04-08 18:38 エンタメ
“お騒がせ”青井実アナが心機一転、なにわ男子の道枝駿佑と似てるって⁉
 世の中の人がNHKに持つイメージといいますと、「真面目」「お堅い」「地味」といったところでしょうか。  そんな中...
逃げ恥の百合ちゃん役が“頭のいい女は頭の悪いふりをするしかない”発言
 穂高(小林薫)に出くわしたことで女子部への出願が母・はる(石田ゆり子)にばれてしまった寅子(伊藤沙莉)。  娘に...
桧山珠美 2024-04-05 15:30 エンタメ
「虎に翼」語りは尾野真千子 NHKアナと俳優のナレーションの違いは?
 寅子(伊藤沙莉)がお見合いに苦戦する中、親友の花江(森田望智)は寅子の兄・直道(上川周作)との結婚準備を順調に進めてい...
桧山珠美 2024-04-05 15:14 エンタメ
「虎に翼」シン・朝ドラの予感!わずか1話、たった15分で心つかんだ描写
 昭和6年・東京。女学校に通う猪爪寅子(伊藤沙莉)は父・直言(岡部たかし)、母・はる(石田ゆり子)から次々とお見合いを勧...
桧山珠美 2024-04-01 22:28 エンタメ
僥倖!世界に挑む赤西仁ほど「サムライマック」のCM向きな俳優はいない
 マクドナルドのCMにイケメンあり!  そんな声をちらほら耳にするようになりました。たとえば4月2日から全国放送さ...
平野らTOBEがドーム公演大成功の一方、暗雲立ち込める旧ジャニの逆転は
 3月14日から17日にかけて、滝沢秀明氏創設のTOBE所属アーティストによる東京ドーム公演「to HEROes ~TO...
こじらぶ 2024-03-30 06:00 エンタメ
ブギウギ最終回、水を差すようでスンマセン! 残念すぎる4つの演出と描写
 スズ子(趣里)のさよならコンサートが始まる。客席には懐かしい多くの面々がかけつけている。茨田りつ子(菊地凛子)、愛子(...
桧山珠美 2024-03-30 11:41 エンタメ