なぜ塚地武雅、藤井隆はドラマ出演が続く? 不人気芸人との決定的な違い

小政りょう ライター
更新日:2024-07-18 06:00
投稿日:2024-07-18 06:00

芸人役者、オファーが続くのはひと握り

 7月に入り、2024年夏の新ドラマが次々にスタートしています。なかでも話題になっているのが、宮藤官九郎脚本の『新宿野戦病院』(フジテレビ系)ではないでしょうか。この作品で好演を見せているのが、ドランクドラゴンの塚地武雅さん。

 しかしこの塚地さん、気がつけばドラマで毎クールのように見ていると思いませんか? 今年の上半期だけでも、『季節のない街』(テレビ東京系/ディズニー+で配信)、『花咲舞が黙っていない』(日本テレビ系)、NHK朝の連続テレビ小説『虎に翼』などの作品でその姿を見ています。

 また、『西園寺さんは家事をしない』(TBS系)には藤井隆さんが出演していますね。

 昨今、役者としても活動をする芸人が増えてきました。しかし、結局ドラマで頻繁に見るのは同じ芸人ばかりです。

 塚地さんの他によく見るのは、先述の藤井隆さん。そしてハナコの岡部大さん、元キングオブコメディの今野浩喜さん、東京03の角田晃広さん、ネプチューンの原田泰造さんなどでしょうか。

 芸人側の意向もあるでしょうが、その後もオファーが続く人と続かない人がいます。その違いはどこにあるのでしょうか。複数のドラマ関係者にその理由を聞いてみました。

【読まれています】 『新宿野戦病院』小池栄子の英語、海外はどう思う?「下手というより…」

キャラ立ちしながらも邪魔しない存在感

「キャラがありながら、インパクトがありすぎないことですかね」と語るのは、テレビドラマ等の制作会社に勤めるAさんです。プロデューサーや演出家らが中心になって行うキャスティングの現場にも立ち会うことがあるといいます。

「芸人さんは本人の個性が視聴者に浸透しているため、ドラマ中で特別な描写をせずとも立ち位置が伝わりやすいんです。さらにドラマの世界観にハマるような個性が望ましい。つまり、キャラ立ちしながらも日常に潜んでいそうな印象の方が重宝されます」

 確かに、ハナコの岡部さんは学校や会社の後輩にいそうな熱血キャラであり、藤井隆さんはなんでも相談できる優しい同僚、東京03の角田さんは、朝の電車に一人は乗っていそうなサラリーマンのような雰囲気があります。

「どこかにいそうであっても、金髪だとか見た目に癖のある芸人さんだと演じる役割も限られてしまう。その場合は『これぞ!』という役でないと起用が難しいですね」

ドラマの空気になじむかが鍵

 また、地上波の連続ドラマを執筆する脚本家のBさんは、過去の経験からこう言います。

「一般的にコントを主戦場とする芸人さんは演技がうまいと言われていますが、全員がそうではありません。コントは、ある程度の演技の誇張がある方が伝わりやすく、特徴ある喋り方や棒演技でも笑いの内容が伝われば良しとされますからね」

 以前、自身の作品に芸人が起用され期待したところ、演技力が低くガッカリしたことがあるそう。大御所でない限り、脚本家に強いキャスティング権はないそうですが、Bさんは今後自分のドラマで芸人が候補に挙がった場合、本職での立ち回りを見た上で助言したいそうです。

 オファーが続く芸人はそもそものコントの演技が自然か、あるいは「リアルなドラマ演技」と「デフォルメされたコント演技」との切り替えが巧みな人ということなのでしょう。

小政りょう
記事一覧
ライター
映画・テレビの制作会社等に出入りもするライター。趣味は陸上競技観戦

関連キーワード

エンタメ 新着一覧


寅子の同級生・崔香淑が「香子ちゃん」として出現!気になるのは…
 家事審判所と少年審判所の合併の話し合いはまったく進展しない。しかし多岐川(滝藤賢一)には今一つやる気が感じられない。 ...
桧山珠美 2024-06-12 16:00 エンタメ
渡部建を“腫れ物”扱いするテレビは古い! めちゃ美味しい“食材”なのに
 2020年6月に複数の女性との不倫スキャンダルが勃発し、活動自粛していたアンジャッシュ・渡部建。活動再開後、徐々にメデ...
堺屋大地 2024-06-12 06:00 エンタメ
太陽とシスコムーンとの共通点にザワッ Z世代に人気のIS:SUEがたまらん
 6月7日、太陽とシスコムーンの楽曲がサブスク解禁され、40代を中心としたお祭り状態になっていましたね。懐かしすぎて私も...
よねと轟の新「相棒」爆誕!男と女“くっつく思考”に冷や水を浴びせた
 花岡(岩田剛典)が違法である闇市の食べものを一切拒否して栄養失調で亡くなったと聞き、衝撃を受ける寅子(伊藤沙莉)。花岡...
桧山珠美 2024-06-10 16:20 エンタメ
“マッチ先輩”近藤真彦がうたコン降臨!ヤンチャ返上?謙虚な発言に驚き
 4日放送のNHK「うたコン」は「作曲家 筒美京平特集」。尾崎紀世彦「また逢う日まで」、太田裕美「木綿のハンカチーフ」、...
花岡死す「栄養失調で死亡」見出しの衝撃…“甘党男子”桂場は和洋イケる口
 穂高(小林薫)は法の道へ導いて不幸にしたと寅子(伊藤沙莉)に謝罪し、新しい仕事を紹介すると言い出す。しかし寅子はむしろ...
桧山珠美 2024-06-07 15:30 エンタメ
公園ランチの約束は叶うのか? 花岡の“しょんぼり言動”が不穏すぎる
 ホーナー(ブレイク・クロフォード)から子供たちにとチョコレートをもらった寅子(伊藤沙莉)は、公園で花岡(岩田剛典)に再...
桧山珠美 2024-06-06 17:00 エンタメ
いよいよ裁判官編。NHK制作陣の遊び心、8時14分過ぎに見たり
 昭和22年3月。新しい日本の憲法に希望を見出した寅子(伊藤沙莉)が向かったのは法曹会館。そこには空襲で被害を受けた司法...
桧山珠美 2024-06-03 16:05 エンタメ
「虎に翼」お宝物件!三山凌輝はピアスにアクセジャラジャラの“チャラ”男
 先週のNHK朝ドラ「虎に翼」第9週「男は度胸、女は愛嬌?」は、ヒロイン・寅子(伊藤沙莉)にとって、悲しみの連続でした。...
刮目!伊藤沙莉“静”の演技、「佐田優三 仲野太賀」表示も期待は泡沫に…
 これまでの後悔と秘密をすべて打ち明けて、直言(岡部たかし)は安らかに亡くなった。  寅子(伊藤沙莉)は何事もなか...
桧山珠美 2024-05-30 19:10 エンタメ
古谷徹は“あの役”降板?声優不倫騒動の後始末、カギは「キャラの私物化」
 レジェンド声優・古谷徹(70)の不倫報道が世間を騒がせている。 『文春オンライン』よって報じられた37歳年下女性...
優三も草葉の陰で苦笑い? 前代未聞な別れの“懺悔”は直言らしい名場面に
 直言(岡部たかし)は栄養失調と肺炎でもう長くはないと診断される。直言が大事なことを隠していたと知った寅子(伊藤沙莉)の...
桧山珠美 2024-05-30 18:50 エンタメ
「見るんじゃない」と直言。ダチョウ倶楽部の“押すなよ、押すなよ”を彷彿
 直言(岡部たかし)の体調が優れない。寅子(伊藤沙莉)と直明(三山凌輝)はマッチ製造の仕事を紹介してもらい、はる(石田ゆ...
桧山珠美 2024-05-28 15:30 エンタメ
視聴率苦戦だから失敗に物申す!山下智久と錦戸亮、5年ぶり民放作の意義
 山下智久(39)が主演を務める「ブルーモーメント」(フジテレビ系)、錦戸亮(39)がキーマンとして出演する「Re:リベ...
こじらぶ 2024-05-25 06:00 エンタメ
「おいしいものは一緒に」出征前の河原デート。はて?初回を思い出すと…
 寅子(伊藤沙莉)は訪ねてきた後輩の小泉(福室莉音)から、女子部が閉鎖されることになったと知らされる。  今年は高...
桧山珠美 2024-05-24 15:30 エンタメ
優三の優しさシャワー全開!寅子のゴロゴロ床入り作戦も大成功だった神回
 昭和17年3月。直言(岡部たかし)の工場は軍からの注文が途切れず、順調に稼働を続けていた。戦時下で食べ物が貴重になる中...
桧山珠美 2024-05-21 15:30 エンタメ