航一の秘密、明かされる。久々の回想シーンでも発揮した直道の顔芸パワー

桧山珠美 TVコラムニスト
更新日:2024-08-02 16:00
投稿日:2024-08-02 16:00

第18週「七人の子は生すとも女に心許すな?」#90

 判決後、涼子(桜井ユキ)の店で寅子(伊藤沙莉)らと杉田(高橋克実)たちは偶然顔を合わせる。

 戦争で娘と孫を亡くした杉田の「戦争を止めることはできなかった」という言葉をきっかけに、航一(岡田将生)は戦争中に経験したことにまつわる「ある秘密」を語り始める。


【読まれています】『虎に翼』脚本家、アニメ界でなぜ高評価?

【本日のツボ】

「思ってることは、口に出したほうがいい。そのほうがいい」(寅子)

 ※※以下、ネタバレあります※※

 航一の「ごめんなさい」の理由が明かされました。それは、昭和15年、日米開戦前に設置された内閣総理大臣直轄の「総力戦研究所」に所属していたことでした。そこでは、日米戦争を想定した総力戦の机上演習を行っていました。

 その結果、「日本敗戦」という予測が立てられ、航一らは「日米開戦は避けるべき」と提言したものの、上層部は耳を貸さず、日本は戦争に突き進み、敗戦しました。航一は戦争を止められず、多くの命が犠牲になったことに責任を感じ、後悔に苛まれていたのでした。

「その罪を僕は誰からも裁かれることなく生きている。僕はそんな自分という人間をなにも信じていない。そんな人間が何かを変えられるとは思わない。だから、謝るしかできないんです」と。

 自分は信じられなくても、法律は信じられる。子どもを育てきるために裁判官としての務めは果たします。それ以外は距離を置いてきたのに…、と涙する航一。

 航一の背中を押したのは、寅子の兄・直道(上川周作)の言葉でした。「思ってることは、口に出したほうがいい。そのほうがいい」。

 母はる(石田ゆり子)と妻・花江(森田望智)の関係がギクシャクしているところに、直道がこんなことを言ったのでした。久々に回想シーンで登場した直道の顔芸に重苦しい空気が和みました。

寄り添って、一緒にもがきたい

「外で頭を冷やしてきます」と言う航一。あとを追うように出て来た寅子が、

「航一さんの立場だったら、周りが何と言おうと、私も、自分のせいじゃないとは言えない。“ごめんなさい”と謝ることしかできない。そう思いました。でも、だからこそ、少し分けてくれませんか。航一さんが抱えているもの、私に。あなたが抱えているものは。私たち誰しもに何かしらの責任があることだから。だから、馬鹿の一つ覚えですが、寄り添って、一緒にもがきたい。少しでも楽になるなら」

 泣いている航一の背中をさすり続ける寅子。

 それにしても、気になるのは、入倉(岡部ひろき)はランチを食べることができたのか、ということ。たしか、「奢るから、一緒に行きましょう」と寅子に誘われたはずなのに…。

桧山珠美
記事一覧
TVコラムニスト
大阪府大阪市生まれ。出版社、編集プロダクションを経て、フリーライターに。現在はTVコラムニストとして、ラジオ・テレビを中心としたコラムを執筆。放送批評誌「GALAC」、日刊ゲンダイ「あれもこれも言わせて」などで連載中。

関連キーワード

エンタメ 新着一覧


中居正広氏“女性トラブル”で「SMAP再結成」消滅の一方…「光GENJI」50代で再始動機運に不安要素も
 今年1月23日、ファンクラブ向けサイトで引退を電撃発表したのが、元SMAPの中居正広氏(52)。昨年12月、週刊誌に報...
2025-06-04 17:03 エンタメ
「あんぱん」のぶの“愛国キャラ”と頑固さにウンザリする視聴者続出…“ヤムおじさんロス”の追い撃ちも
 演出と分かっていても、NHK連続テレビ小説「あんぱん」のヒロイン・のぶの強烈な愛国キャラに辟易する視聴者が出始めている...
2025-06-04 17:03 エンタメ
亡き長嶋茂雄さんの長男一茂は「相続放棄」発言の過去…身内トラブルと《10年以上顔を合わせていない》家族関係
「ミスタープロ野球」巨人軍終身名誉監督の長嶋茂雄さんが3日、肺炎のため亡くなった。89歳。長嶋さんの棺を乗せた車は同日午...
2025-06-04 17:03 エンタメ
国宝級・吉沢亮が帰ってきた! 孤高→柔和なイケメンにチェンジ。手越祐也ら“やらかし男子”たちのその後
 国宝級イケメンの吉沢亮(31)が、ようやく私たちの元に帰ってきました。さかのぼること5ヶ月。年明け早々、「吉沢亮、住居...
「あんぱん」健ちゃん役・高橋文哉のカレーを作る“手つき”に注目。実は調理師免許を持つ腕前
 戦争が激化し、太平洋戦争が開戦。小麦粉が配給になり、朝田パンは休業に追い込まれる。嵩(北村匠海)は東京の製薬会社に勤め...
桧山珠美 2025-06-03 17:35 エンタメ
NHK朝ドラ「あんぱん」絶好調の裏に“元ヒロイン”の存在 戸田菜穂と松嶋菜々子のバトルにファン歓喜
 回を重ねるごとに、その演技力の高さが評価されている。今田美桜(28)主演のNHK朝ドラ「あんぱん」に出演中の戸田菜穂(...
2025-06-03 17:03 エンタメ
「性暴力認定」中居正広氏と「家庭人」キムタク…元SMAP“因縁の2人”の明暗クッキリ
 中居正広氏(52)の女性トラブルをめぐり、フジテレビが設置した第三者委員会が発表した調査結果に対する中居氏の“反論”が...
2025-06-03 17:03 エンタメ
錦鯉・渡辺隆さん「夢グループの社長と女性のコンビみたいな通販番組に憧れる」理由
【死ぬまでにやりたいこれだけのこと】  「錦鯉」渡辺隆さん(47)  M-1グランプリ2021でコンビ最高齢の優勝以...
2025-06-02 17:38 エンタメ
「フジテレビの件は放送業界全体の問題」野田聖子議員の発言に民放各局がトバッチリで大困惑
 中居正広氏(52)のフジテレビが設置した第三者委員会への“反撃“が話題となる中、各民放キー局が頭を抱えているという。...
2025-06-02 17:03 エンタメ
「別居婚」から6年…壇蜜がバッシングや離婚危機を乗り越え貫く新しい「夫婦のカタチ」への矜持
 タレントの壇蜜(44)が2日放送のテレビ朝日系「徹子の部屋」で夫の漫画家、清野とおる氏(45)との結婚生活や暮らしぶり...
2025-06-02 17:03 エンタメ
『バチェラー・ジャパン』シーズン6、尾﨑真衣・竹下理恵・鈴木光が思う“最後に選ばれる女性”は? 3人の意外な一面も…
 尾﨑真衣さん、竹下理恵さん、鈴木光さんが『バチェラー・ジャパン』シーズン6の配信前に、6代目バチェラーとガールズたちの...
中村未来 2025-06-02 12:02 エンタメ
梅宮アンナ“10日再婚”を叶えた3つの理由は「大病」「夫主導」 「トロフィーワイフ」
 先月23日、出会って10日で再婚した、モデルでタレントの梅宮アンナ(52)。芸能界ではフリーアナウンサー有働由美子(5...
2025-06-02 10:58 エンタメ
水卜ちゃんはやっぱり強い! 情報番組の視聴率は女性アナ人気ランキングで決まる
 水卜ちゃん人気は不動だった。写真誌「FRIDAY」(6月6.13日合併号)が読者1000人を対象に、「民放キー局の好き...
2025-06-01 17:03 エンタメ
パワハラ報道の橋本環奈"人気凋落"が春ドラマで鮮明に…一方で好感度上げたのは多部未華子
 民放の4月期連続ドラマはこれから佳境を迎える。現在までの世帯視聴率で1位となっているのは、阿部寛(60)主演の「キャス...
2025-06-01 17:03 エンタメ
秋篠宮家の初孫、慶事なのに…眞子さんの出産をテレビ・新聞は当初スルー、宮内庁発表が遅れたミステリー
【週刊誌からみた「ニッポンの後退」】 「小室眞子さんが出産した」という待ちに待った朗報が五月晴れの日本中を駆け巡った。...
2025-06-01 17:03 エンタメ
松本潤"初の医療ドラマ"で二宮和也にライバル心 切磋琢磨してきた「嵐」の2人がついに激突
 来年春頃のコンサート・ツアーをもって活動終了する嵐のメンバー・松本潤(41)が、2023年のNHK大河ドラマ「どうする...
2025-05-31 17:03 エンタメ