ピルは避妊薬だけではない。まだまだ誤解ばかりのピルの効能と「ホルモンバランスの乱れ」

コクハク編集部
更新日:2024-08-15 06:00
投稿日:2024-08-15 06:00

3. ホルモンバランスが乱れる原因

 ホルモンバランスが乱れる主な原因は、ストレスや睡眠不足、無理なダイエットなどです。とくに、ストレスはホルモン分泌の指令を出す脳への影響が大きく、代表的なホルモンバランスが乱れる原因といわれています。

 また、睡眠とホルモンも深く関係しています。睡眠不足になるとホルモンの分泌量が減り、ホルモンバランスが乱れると睡眠の質が低下するという負のスパイラルに。

 ダイエットで急激に体重を落とすことも、生理の周期を崩してホルモンバランスを乱す原因のひとつです。

4. ピルを卒業してホルモンバランスを整える方法

 以下は、ピル以外のホルモンバランスを整える効果が期待できる方法4つです。

4-1. ストレスをためない

 30歳前後の女性は、仕事やプライベートの問題でストレスが増えやすい時期。それがホルモンバランスの乱れに影響していることがあります。

 ホルモンバランスを整えるには、可能ならストレスの原因を避ける、ストレスを感じたら深呼吸をしたりアロマをかいだりする、自分なりのストレス解消法を見つけるなどの方法でストレスをためないようにしましょう。

4-2. 睡眠をしっかりとる

 睡眠と女性ホルモンは深く関係しています。ホルモンバランスを整えるためには十分な睡眠時間を確保し、さらに、睡眠の質の向上にもアプローチして深い睡眠を目指しましょう。

「健康づくりのための睡眠ガイド2023」では、成人の適正な睡眠時間はおおよそ6~8時間と考えられています。

 睡眠の質を上げるには、夜は暖色系の光に切り替える、湯船に浸かる、就寝前にスマホを見ないなどの生活習慣をおくるのがおすすめです。

4-3. 食事を見直す

 さまざまな栄養素をバランスよく摂ると、女性ホルモンの正常な分泌を促してホルモンバランスが整いやすくなります。

 現代人は魚や野菜の摂取量が減っており、ビタミンAやビタミンD、カルシウム、鉄などのビタミンやミネラルが不足しやすい傾向にあります。ビタミンやミネラルが豊富な青魚や青菜、きのこなどを積極的に摂りましょう。

4-4. 漢方薬を飲む

 ホルモンバランスの不調には、毎日飲むだけで効果が期待できる漢方薬もおすすめです。

 ホルモンバランスの不調に対しては、「冷えやストレス、疲労によるホルモンバランスや自律神経の乱れを整える」「消化・吸収機能を回復させてからだの内側から元気にする」「イライラや気分の落ちこみを改善する」などの作用を含む漢方薬を選びます。

 漢方薬は根本的な体質改善によって、ホルモンバランスの乱れが生じにくいからだを目指せるのがメリットです。

・当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん):冷えやすく、貧血気味で疲れやすい方の不調に働きかけます。血行を促進し、水分代謝を整えることで、さまざまな月経トラブルや更年期障害の改善に役立つ漢方薬です。

・加味逍遙散(かみしょうようさん):女性ホルモンの変動に伴う気分の落ち込みやイライラなどの精神的な症状に用いられます。エネルギーや血液の循環を改善して、精神を安定させる漢方薬です。

 スマホで気軽に専門家に相談できるオンライン個別相談も話題です。スマホで完結できるので、対面では話しづらいことも気軽に相談が可能。お手頃価格で不調を改善したい方は、医薬品の漢方をチェックしてみましょう。

5. ピルを正しく理解してホルモンバランスの不調を乗り越えよう

「彼にピルについてうまく説明できそうです。ありがとうございます」

 栄子さんはメモを大事そうに持ちながら、えりのボスにお礼を言いました。

「ピルはホルモンバランスの不調に悩む女性には必要なものだと彼が理解してくれると嬉しいわね」

「そうですね。今回教えてもらったほかの方法も試していきたいです」

「また気になることがあったら、いつでもサロンへいらっしゃい」

 優しい表情でサロンを去っていく栄子さんを、えりのボスは笑顔で送り出しました。

★サロン「コクハク」のオーナー えりの

 顔と口調は若いものの、年齢不詳。タヌキか妖怪の噂も囁かれる謎めいた主人だが、ココロやカラダ、健康に関する知識はズバ抜けており、何気にハイスペック。ムスメ時代に苦労してるため、自分より“後輩”の女にはしあわせになって欲しいと願っている。愛称は、えりのボス。

(漫画/腹肉ツヤ子

  ◇  ◇  ◇

<この記事の監修者>

あんしん漢方ライター 円山 真由佳(えんやま・まゆか)

 医薬品登録販売者。ドラッグストアでの医薬品・化粧品販売を経て、市販薬の使い分け方を広めるべく執筆・情報発信を行う。美容薬学・アロマテラピーの資格を保持し、インナーケアや女性の不調ケアにも精通している。表面的な悩みの奥にある潜在的な悩みをくみとり、対症療法ではなく根本改善を目的としたアドバイスを得意とする。症状・体質に合ったパーソナルな漢方をスマホ一つで相談、症状緩和と根本改善を目指すオンラインAI漢方「あんしん漢方」でもサポートを行っている。

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