夜のベッドで足がつる!【専門家監修】改善→安眠するにはどうする?

コクハク編集部
更新日:2024-04-10 14:08
投稿日:2024-03-28 06:00
 彼女の名は、えりの。女性の心を癒すためにはじめたサロン「コクハク」のオーナーで、界隈では「えりのボス」の愛称で知られ、ちょっとした有名人。でもって、タヌキか妖怪の噂も囁かれるなか、健康に関する知識はズバ抜けている――。
 そんなえりのボスのもとにはウワサを聞きつけ、今日も悩みを抱えた女性が、ふらりと立ち寄ったようですよ。

1. 毎晩パートナーが足がつっていてつらそう

 今回のご相談は、真奈さん(28歳女性/仮名)からです。

「私ではなくて、同棲中の彼のことで相談なんですけれど。彼、夜中によく足をつってしまうんです」

 真奈さんは、心配そうな表情で話し続けています。

「一緒に寝ていると急に『イタタタ』と彼が騒ぎ出すから、私もびっくりして目が覚めてしまって。

 よく眠れなくて正直言うと私も困りますし、彼も毎日のように痛がっているから、かわいそうだし…」

「なるほどね。足のつりって、つらいわよね。私も睡眠中や運動をしたとき、たまになるわ」

 えりのボスは、眉を寄せてうなずきます。

「えりのさん。足がよくつるのは、なにか原因があるんですか? 悪い病気が隠れている場合も、ありますか?」

「たいていの場合は心配いらないわ。まずは足のつりの原因を知って、正しい対処法・予防法を実践することが大切よ。

 それでも改善せず頻繁に足がつるような場合は、整形外科や循環器科に相談することをおすすめするわ。まれに、下肢静脈瘤や甲状腺機能低下症などの病気が隠れている場合があるから」

「わかりました」

「それじゃあ今日は、足のつりについて一緒にお勉強しましょうね」

「よろしくお願いします!」

 真剣な表情で聞き入っている真奈さん。これは放っておけません!

2. 足がつるのはそもそもなんで?

「足のつりというのは、ふくらはぎなどの足の筋肉が痙攣(けいれん)することを示すの。ふくらはぎがつった場合には、『こむら返り』とも言うわね」

「ふくらはぎ以外の部分にも起こるんですか?」

「ええ。足の裏や太もも、手指など、他の部分もつることがあるわ。筋肉の痙攣というのは、いわば筋肉の異常収縮のこと。

 筋肉の収縮にかかわるマグネシウム、カルシウム、カリウムなどのミネラルのバランスが崩れると、足などがつりやすくなるのよ。体内の水分不足も、ミネラルのバランスを崩す一因になるわ」

「そうなんですね。彼はちょっと偏食気味だし、ふだんあまり水分を摂っていないかもしれません…」

「あとは、体内で脂肪燃焼などを助ける『カルニチン』という物質が不足していると、つりやすくなるともいわれているわ。カルニチンに関しては医療機関で検査する必要があって、欠乏していた場合にはカルニチンを補う治療を受けることができるの」

 メモをとりながら話を聞いている真奈さんに、えりのボスは言いました。

「次は足がつったときのストレッチや、予防法について解説するわね」

3. 足がつったときの対処法とおすすめ予防法

 足がつったらすぐに行ってほしいストレッチと、おすすめの予防法を紹介します。

3-1. 足がつったら、筋肉を伸ばす ストレッチを

 足がつったら、ふくらはぎの筋肉をゆっくり伸ばすストレッチをしましょう。

<足がつったときのストレッチ>

(1)つった足のひざを伸ばして座る
(2)つま先をつかんで、自分のほうにゆっくりと引っ張って反らせていく
(手が届かない場合はフェイスタオルを足の裏(つま先付近)に引っ掻けてゆっくり引っ張る)

 収縮した筋肉を、優しく伸ばしていくのがポイントです。

3-2. ツボ押しで対策

 足の筋肉の張りをやわらげ、足のつりにも効果的といわれるツボ「承山(しょうざん)」を押してみましょう。

 承山はふくらはぎの中央付近、アキレス腱を下方向から撫であげていくと左右の筋肉に分かれて指が止まる部分にあるツボです。イタ気持ちいいくらいの強さで、5秒ほど押すことを習慣づけるといいでしょう。

3-3. ミネラル・水分補給 で足のつりを予防

 ミネラルバランスが崩れたり水分が不足したりすると、足のつりが起こりやすくなります。予防のためにも、ミネラルと水分は日頃からきちんと摂りましょう。

 マグネシウム豊富な海藻類、カリウム豊富なバナナなどを食べたり、寝る前や運動中にコップ1杯の水を飲んだりするのも効果的です。

 なお、カフェインを摂取すると利尿作用で体内の水分が失われ、ミネラルバランスが崩れやすくなって足のつりにつながる可能性があるため、カフェインの摂り過ぎには注意しましょう。

4. 足のつりは漢方薬での対策もおすすめ

 足のつりの予防には、バランスのとれた食生活や筋肉のこりをほぐすストレッチなどが大切ですが、「忙しくて毎日続けるのは大変」という人も少なくありません。

 そこで、足のつり対策として漢方薬をとり入れてはいかがでしょうか。漢方薬なら自分の症状や体質に合うものを毎日飲むだけなので、無理なく続けることができますよ。

 足のつりはふくらはぎの筋肉の働きの低下や、筋肉への栄養・水分の不足、からだの冷えなどが背景となり筋肉に痙攣が起こることが原因と考えられます。

 そのため、足のつりの改善には「血流や水分の循環をよくして筋肉の働きを回復する」「筋肉に酸素や栄養を届け、疲労を軽減する」「からだを温めて筋肉をゆるめる」「胃腸の働きをよくしてミネラルバランスを整える」などの働きがある漢方薬を選びます。

<足のつりにおすすめの漢方薬>

・芍薬甘草湯(しゃくやくかんぞうとう):鎮痛作用と血管拡張作用を持つ芍薬(しゃくやく)、抗炎症作用と抗けいれん作用を持つ甘草(かんぞう)の2つの成分からできている漢方薬です。筋肉のつりなどに用いられます。

・疎経活血湯(そけいかっけつとう):血行を改善して、痛みやしびれを取り除くことで、足のつりに働きかけます。筋肉痛や関節痛、神経痛などにも用いられます。

 足のつりに効く漢方薬は他にもありますが、服用の際には自分の症状や体質に適したものを選ぶ必要があります。

 不適切な漢方薬を飲み続けても効果を引き出すことができず、副作用のリスクが高まることも。漢方の専門家に相談して適した漢方薬を見極めてもらいましょう。

 最近話題の、漢方のオンライン個別指導サービスを利用するのもおすすめです。スマホひとつで気になることを気軽に相談でき、自分にぴったりの漢方薬を自宅に届けてくれるのでとても便利ですよ。

 気軽にチェックしてみてくださいね。

5. 足のつり対策の第一歩は、生活習慣から

「えりのさん、今日は足のつりについて詳しく教えてくれてありがとうございました。食事や水分のことも、帰ったらさっそく彼に伝えます!」

 晴れやかな様子の真奈さんを見て、えりのボスも自然と笑顔になりました。

「彼の足のつりが解消されるといいわね。あなたも彼も、ぐっすり眠れるように祈っているわ」

「はい。ツボ押しはリラックスできそうですし、寝る前の水分補給は私も一緒にやってみようかな。漢方薬のことも教えてあげようと思います。服用するだけなら無理なく続けられそうですし」

「それもいいわね! 漢方薬にはいろいろな種類があるから、漢方薬に詳しい医師や薬剤師に相談すると安心よ。また気になることがあったら、いつでもサロンへいらっしゃい」

 優しい表情でサロンを去っていく真奈さんを、えりのボスは笑顔で送り出しました。

★サロン「コクハク」のオーナー えりの

 顔と口調は若いものの、年齢不詳。タヌキか妖怪の噂も囁かれる謎めいた主人だが、ココロやカラダ、健康に関する知識はズバ抜けており、何気にハイスペック。ムスメ時代に苦労してるため、自分より“後輩”の女にはしあわせになって欲しいと願っている。愛称は、えりのボス。

(漫画/腹肉ツヤ子

  ◇  ◇  ◇

<この記事の監修者>

あんしん漢方薬剤師 中田 早苗(なかだ・さなえ)

 デトックス体質改善・腸活・膣ケアサポート薬剤師・認定運動支援薬剤師。病院薬剤師を経て漢方薬局にて従事。症状を根本改善するための漢方の啓発やアドバイスを行う。健康・美容情報を発信するMedical Health -メディヘルス-youtubeチャンネルでは、お薬最適化薬剤師として「無駄な服薬はお財布と体の敵!」をモットーに薬の最適な選び方を解説する動画を公開中。症状・体質に合ったパーソナルな漢方をスマホ一つで相談、症状緩和と根本改善を目指すオンラインAI漢方「あんしん漢方」でも薬剤師としてサポートを行う。

「あんしん漢方」を詳しく見てみる

コクハク編集部
記事一覧
コクハクの記事を日々更新するアラサー&アラフォー男女。XInstagram のフォローよろしくお願いします!

ビューティー 新着一覧


今夜もぐっしょり…寝室温度をめぐって夫と大喧嘩!【医療専門者監修】寝汗は更年期だけじゃない?
 彼女の名は、えりの。女性の心を癒すためにはじめたサロン「コクハク」のオーナーで、界隈では「えりのボス」の愛称で知られ、...
40代が「垢抜け顔」になれないワケは?【美容家が使って実感】激推し最新コスメ3品
“垢抜け顔”になりたいけど、思いどおりの仕上がりにならない…。そんなお悩みは、選ぶコスメで解決!  40代の時短美容家...
生理前に限らず些細なことでイライラ!【医療従事者監修】アラフォーが注意したいPMSではない意外な理由
 彼女の名は、えりの。女性の心を癒すためにはじめたサロン「コクハク」のオーナーで、界隈では「えりのボス」の愛称で知られ、...
春先の紫外線も乾燥も怖くない!【美容家厳選】アラフォーに激推ししたい“二刀流”UV対策
 春の陽気を感じる日も増えてきましたね。日差しが強くなってくると気になるのは、UV対策です。春夏は特に紫外線量が増えるた...
加齢で増えがちな「ほくろ」はシミと何が違う?【美容外科医が解説】電気メスで削ると? 保険適用の条件は?
 この連載では美容医療“若葉マーク”の方々に向けて、テッパンの不安や疑問を分かりやすく“一発回答”。今回はお悩みの多い「...
うさぎ舌リップってなんぞ? 40代でも挑戦できる作り方と色選びのコツ
 純欲メイクや白湯メイク、地雷メイクなど、これまでいろいろなメイクがトレンドに上がってきましたが、もっかSNSで話題なの...
寒暖差疲労の原因と対処法【医療従事者監修】季節の変わり目はイベントてんこ盛りで休めない…どうする?
 寒暖差が激しい季節は、いつもと同じように睡眠時間を確保したつもりでも、なんだか疲れてしまいがち。そんな「寒暖差疲労」を...
40代がやりがちなNGメイクとインナーカラー全8選。痛いおばさんは回避したい…
 アラサー・アラフォー女子は、メイクやヘアカラーというパーソナルなことですら、常に厳しい目線を向けられてしまうから大変で...
長財布はダサい&時代遅れとされる3つの理由。令和におすすめの財布は?
 最近、長財布を使っている人をあまり見かけなくなってきましたね。今でも長財布を愛用しているものの、「もしかしてダサい? ...
女性は30代以降、筋肉量が年間1%ずつ減!?【医療従事者監修】今すぐ試せる“ぽっこり下腹”引き締め術3選
 彼女の名は、えりの。女性の心を癒すためにはじめたサロン「コクハク」のオーナーで、界隈では「えりのボス」の愛称で知られ、...
【検証】メイクしたまま寝ると汚肌一直線?20代美容ライターが3日間オフなしで過ごしたら意外な結果に…
「メイクを落とさないと肌が荒れる」とはよくいったもの。メイクをしたまま寝ると毛穴に詰まった汚れや皮脂が酸化して、肌荒れや...
「美容医療」反対派と賛成派の意見。トライする前の参考にしたい
 いつの時代も、女性は美しくなりたいと思うもの。そして、今の時代、美容医療や美容整形がより手軽になり、挑戦する人も増えて...
更年期の“意外と知らない”基礎知識/更年期症状は遺伝する? 出産経験の有無は影響する?【医療従事者監修】
 彼女の名は、えりの。女性の心を癒すためにはじめたサロン「コクハク」のオーナーで、界隈では「えりのボス」の愛称で知られ、...
熱狂する韓国コスメブームに違和感。顔につけるのに、低価格、パケ買い、なんとなく…だけで買って大丈夫?
 つい先日、資生堂の最終赤字が100億円超との報道がありました。主な理由は中国での事業不振にあるそうですが、実際のところ...
急に夜が淡白になり、枯れてしまった彼氏…【薬剤師監修】浮気以外で考えられる原因は?
 彼女の名は、えりの。女性の心を癒すためにはじめたサロン「コクハク」のオーナーで、界隈では「えりのボス」の愛称で知られ、...
40代で「実年齢+5歳老け見え」は絶対回避したい!【美容家激推し】お助けアイテム3選
 40代を迎えると、ちょっとした老け見えにも落ち込みますよね。「43歳なのに、48歳くらいに見られた…」なんてしょんぼり...