航一も明治生まれの男。娘に手を上げるのか!? と一瞬緊張が走ったシーン

桧山珠美 TVコラムニスト
更新日:2024-09-12 17:15
投稿日:2024-09-12 17:15

第24週「女三人あれば身代が潰れる?」#119

 のどか(尾碕真花)の婚約者・誠也(松澤匠)が星家にやってくる。しかし、星家では航一(岡田将生)と優未(川床明日香)が優未の進路をめぐって口論をしていた。

 大学院で寄生虫の研究をしていた優未は研究職を目指すことをやめ、大学院も中退すると言いだす。

 そして昭和44年、日米安保改定を翌年に控え、全国で若者たちによる騒乱事件が多発。少年法を改正して厳罰化すべきだという声が、ますます高まっていく。

【こちらもどうぞ】岡田将生「ラストマイル」沼にハマる人続出!「虎に翼」との共通項も考察

【本日のツボ】

「あなたの進む道は地獄かもしれない。それでも進む覚悟はあるのね?」

 ※※以下、ネタバレあります※※

 研究者としての将来に限界を感じ、大学院をやめたいと航一に訴える優未。寅子に話そうとしたらお腹がギュルギュルしちゃった、ということは、寅子より航一のほうが緊張しないわけで、優未が航一に懐いていることがわかります。

「博士課程を終えた先の椅子は男女関係がなく、とても少ないの」と言う優未に、「厳しい戦いかもしれないけれど、男女関係なく機会が訪れるはずです」となんとか説得しようとする航一。

「この先、自分の目がキラキラしてる姿が想像つかない」「きっぱりやめたい」と言う優未、「やめてどうするんですか?」と航一に聞かれて「それはまだわからない」と。

 思わず立ち上がった航一、右手が少し動いたような気がしました。殴る? 航一も明治生まれの男ですから。「カーネーション」で自分のやりたいことを主張する糸子(尾野真千子)を殴った父(小林薫)のように、ついに航一も手が出てしまうのか、と緊張しましたが、ジャケットを脱いで昂ぶる気持ちを抑え、どうやら理性が勝ったようです。

 気を取り直して、「今、弱気になっているだけなんじゃ。諦めずもがいて、それでも進む先には必ず希望が…」と優未を諭していると、玄関で立ち聞きしていた寅子が「航一さん、黙って!」と割って入り、「優未の道を閉ざそうとしないで!」と訴えます。

「どの道をどの地獄を進もうと優未の自由です」と寅子。この9年間が無駄になるという航一に、「はて? 無駄? 手にするものがなければこれまで熱中して学んできたことは無駄になるの?」「私は努力した末に何も手に入らなかったとしても、立派に生きている人たちを知っています」。

 寅子も負けてはいません、というか、論争になった時の寅子は最強ですから。

「この年齢で何者でもない彼女に社会は優しくない」と紘一は父として優未が心配でたまらないのでしょう。「私は優未が自分で選んだ道を生きて欲しい」と寅子、優未に「優未、あなたの進む道は地獄かもしれない。それでも進む覚悟はあるのね?」とたずね、頷く優未と笑い合います。この言葉、寅子が母・はる(石田ゆり子)に言われた言葉でしたね。

感情をあらわにしなかった航一が…

 めでたしめでたし、かと思ったら、「駄目だ絶対に駄目だ。僕は可愛い娘が傷つくところを見たくないんだ」とダダをこねるかのような航一に「お父さん」と、一部始終を聞いていたもうひとりの娘、まどかが彼氏を連れて現れました…。

 いつも冷静沈着なのに娘のことになると感情が爆発し、オロオロしてしまう人間味あふれる航一がチャーミングでした。なかなか老けないのは謎ですが…。

桧山珠美
記事一覧
TVコラムニスト
大阪府大阪市生まれ。出版社、編集プロダクションを経て、フリーライターに。現在はTVコラムニストとして、ラジオ・テレビを中心としたコラムを執筆。読売新聞「アンテナ」、放送批評誌「GALAC」、日刊ゲンダイ「あれもこれも言わせて」などで連載中。

関連キーワード

エンタメ 新着一覧


魂のラインダンスに涙、涙…入浴シーンの「四季の宴」趣里、歌うまい!
 山寺でのストライキは団員たちの要求が全面的に受け入れられ、幕を閉じる。  山を降り、ようやくいつも通りの練習を始...
桧山珠美 2023-10-25 16:30 エンタメ
梅丸少女歌劇団による山寺でのダンスシーンはニュースになった“アレ”
 山寺でのストライキが続く中で、大和礼子(蒼井優)はスズ子(趣里)に自分の過去の話をする。両親に反対されて、縁を切ってま...
桧山珠美 2023-10-24 17:03 エンタメ
道枝駿佑“マイハル”の無表情は拙い?いいえ、ラストの笑顔のためだった!
 秋の新ドラマがスタートしています。いくつかチェックしましたが、ミステリーや考察ドラマって疲れて帰ってきた頭と体にはなん...
色恋に敏感なリリー、昭和8年が舞台の朝ドラに「百合」の描写は必要?
 大和礼子(蒼井優)はストライキをするしかないと言い出す。一方、橘アオイ(翼和希)は、お客様が大切だと言い、また、礼子が...
桧山珠美 2023-10-20 16:20 エンタメ
直撃!俳優・藤原大祐の恋愛観「告白するなら年上、1回目のデートで」
 10月20日から全国公開となる新感覚ホラー映画「リゾートバイト」。小さな島の民宿でアルバイトする大学生たちに様々な怪奇...
2023-10-20 06:00 エンタメ
【写真特集】藤原大祐を直撃! ここでしか見られない本編&未公開カット含む全29枚!!
                                        ...
2023-10-20 06:00 エンタメ
労働争議で板挟み…“スズ子の恩人”林部長役・橋本じゅんの意外な一面
 世界恐慌の波が押し寄せ、USKの賃金削減と人員削減が告げられる。一部の楽団員と新人の劇団員は解雇されてしまった。 ...
桧山珠美 2023-10-19 15:40 エンタメ
大和礼子(蒼井優)さまの箴言…誰にも負けないスズ子の個性とは?
 昭和8年。デビューから6年が経ち、スズ子(趣里)は脇役ながら劇団の中心メンバーとして活躍し、新人の教育係にもなっていた...
桧山珠美 2023-10-16 14:30 エンタメ
タバコの逢引き場面にズキュン!“喫煙イケメン”柳俊太郎にやられます
 コンプライアンスなるもののせいで、昨今のドラマはなにかと不自然なことが多いようで。  犯人が車で逃げるシーンで「...
朝ドラ本編とは別にオリジナルの舞台演目フルver.も制作、手が込んでいる
 鈴子(澤井梨丘)は1週間で稽古に復帰し、同期3人で切磋琢磨して稽古を続けた。  単独公演まで1カ月となり、鈴子た...
桧山珠美 2023-10-14 13:30 エンタメ
宝塚からセクシー女優に転身、“芸能人の有名税”となぶっていいのか
 セクシー女優という職業は、昔と比べると女性にとっても身近に感じる職業となってきました。モデルやグラビア、アイドルなど、...
大和礼子(蒼井優)が手渡したトンボ柄の布は…主人公・鈴子そのもの
 公演で橘アオイ(翼和希)の衣装の羽を忘れたことをきっかけに鈴子(澤井梨丘)たち3人は仲違いをしてしまう。  そん...
桧山珠美 2023-10-11 16:15 エンタメ
物語が動き出した2週目、鈴子指導役は宝塚不合格の現役OSK男役スター
 鈴子(澤井梨丘)は梅丸少女歌劇団(USK)に研究生として入団する。鈴子たち新入生は、まず先輩の稽古を朝から見て覚えてい...
桧山珠美 2023-10-09 15:20 エンタメ
ご意見番GACKTがバカなフリしてジャニーズ問題連投の訳、「貝」も得意
GACKT様(歌手、実業家・50歳)  GACKT様はセルフブランディングに余念がなく、常に自身の好感度アップのた...
堺屋大地 2023-11-14 16:25 エンタメ
ジャニーズの看板消滅…北公次のバク転から始まったイケメンアイドルたち
 ジャニーズ事務所の名称が10月17日からSMILE-UP.(スマイルアップ)に変更されるそうですね。頭では理解している...
近藤真彦がジャニーズの長男坊と呼ばれた必然、逃げ上手と無責任のプロ
近藤真彦様(歌手・59歳)  近藤真彦さんことマッチ様と言えば、40年以上にわたりジャニーズ事務所のタレントとして...
堺屋大地 2023-11-14 16:26 エンタメ