不倫は悪なのか。作家・鈴木涼美氏が提起する日本の結婚制度の限界…それでもなぜ結婚する?

ミクニシオリ フリーライター
更新日:2024-10-06 17:31
投稿日:2024-10-05 06:00

「結婚と不倫」に向き合い続けた鈴木涼美の結婚観

 しかし実際、3月に結婚したばかりの鈴木氏も、パートナーとあまり深い話し合いをしないままに結婚に至った。

「私の場合は先に妊娠したことが分かって、自分は子育てが得意じゃないだろうし、手伝ってくれる人を見つけないとと思って付き合ってすぐに結婚しました。こんな本を書いているわりに、自分の結婚観が醸成されないままに籍を入れてしまったんですよね」

 妊娠が発覚する前は結婚に興味がなかったという。妊娠が先だったとはいえ、結婚に対して不安や迷いはなかったのだろうか。

「35歳くらいまでは、結婚にかなり抵抗感がありました。1人の人生で自分を満たせているのに、結婚したら自由を制限することになるし、子育てにも興味がありませんでした」

独身の醍醐味も味わい尽くした

 とはいえ100%独身でいい、とも決めきれていなかったとも話す。選択的未婚のつもりで独身を貫いていても、法的な制度があるわけではなく、時と場合によっていつでも結婚することができる。だからこそ、タイミング次第で気持ちは揺らぐものだ。

「38歳を過ぎた頃あたりから、制限のない生活に飽き始めた自分もいました。10年後はクラブで遊んでいないかもしれないし、独身の醍醐味も味わい尽くした感覚があったんです。だからまあ、妊娠が分かった時にチャレンジしてみてもいいのかな、とポジティブに考えられましたね。

 それにもし結婚生活がうまくいかなかったとしても、40歳未婚よりは40歳バツイチの方がいいんじゃないかという思いもありました。正直、どんな結婚生活を送りたいとか、具体的なことはあまり考えないままに結婚してしまいましたが、生まれてくる子どものために服を選ぶのも、案外楽しかったり。若い頃、自分のためにギャル服を選んでいた時と同じくらい楽しめるとは思ってもいませんでした」

未婚既婚問わず、未来は分からない

『不倫論』の中で現代の結婚制度の限界に言及しながらも、出版前に結婚を発表することになった自らの人生について「数奇なものですよね」と笑う鈴木氏。改めて、不倫や離婚と隣合わせではありながらも、この時代に結婚する意義を聞いてみた。

「日本は海外と比べてもシングルマザー手当が手厚いとは言えないので、子どもを持ちたいのであればやはり、結婚ってアリだよねと考える人は多いのではないでしょうか。私自身、結婚してみて、何でも相談できる相手がすぐそばにいてくれるのは心強いなと感じています。

 今の日本の結婚制度に、歪みやたわみがあるのは確かなのだろう。それでも、結婚する未来を選択し、子どもを生んでいく夫婦もたくさんいる。不倫や離婚のない結婚生活は、夫婦がお互いの価値観をすり合わせたり、時に諦めたりしないと成り立たないものなのかもしれない。

「未婚だろうが既婚だろうが、未来がどうなるのか分からないのは同じ。結婚して不倫せずに済んでも、パートナーと早めに死別するかもしれない。未婚のまま過ごしても、いつか既婚男性を好きになるかもしれない。それなら今が楽しい方がいい。そのぐらいラフな考えでもいいのではないでしょうか」

ミクニシオリ
記事一覧
フリーライター
フリーランスの取材ライター・コラムニスト。ファッション誌や週刊誌、WEBSITEメディアなどで幅広く活動。女性向けのインタビュー取材や、等身大なコラム執筆を積極的に行う。いくつになってもキュンとしたい、恋愛ドラマと恋バナ大好き人間。
XInstagram

関連キーワード

ラブ 新着一覧


夫の育成に失敗した女たちの悲劇。「門限0時」に設定したら帰ってこなくなっちゃった!
「夫にはこうであってほしい」と、夫の育成を試みる女性もいるのではないでしょうか? でも育成方法を間違えると、自分で自分の...
恋バナ調査隊 2025-04-16 06:00 ラブ
「もう向き合う気力もない」夫婦のセックスレスに疲れました。自分を守るたったひとつの方法は?
 セックスレスやセルフプレジャー、夫婦の在り方をテーマにブログやコラムを執筆している豆木メイです。  セックスレスや夫...
豆木メイ 2025-04-15 06:00 ラブ
「GPSアプリ入れて」と要求されたらどう思う? アラサーアラフォー世代の男性のホンネ
 相手がどこにいるのかリアルタイムで把握できるGPSアプリ。若いカップルの間では利用している人が少なくないようです。 ...
恋バナ調査隊 2025-04-15 06:00 ラブ
「ドキドキしてる」にテンション爆上がり!デート前日のLNEは女からが吉
 意中の彼とのデートが間近に迫っている女性は必見! 今回は、男性が喜ぶデート前日のLINEをご紹介します。いったい男性は...
恋バナ調査隊 2025-04-13 06:00 ラブ
「俺もいいトシのおじさんですから」燃える恋愛より穏やかな関係を求める52歳男性の達観
「冷酷と激情のあいだvol.241〜女性編〜」では、カツノリさん(52歳・仮名)との交際を検討している瞳さん(47歳・仮...
並木まき 2025-04-12 06:00 ラブ
「寂しいアラフィフ女認定は嫌!」自分のブランディングに翻弄される47歳女性の見栄
 男女の関係では、交際相手や配偶者の態度に悩む人も少なくありません。愛し合っている男女間でも、価値観や物事の判断には個人...
並木まき 2025-04-12 06:00 ラブ
「色白のお肌がいっそう映えますね」呉服屋・イケメン若旦那は熱海の旅館でマクラ営業? #2
 静香さん(35歳・茶道講師/既婚子供アリ)は、祖母、母と3代にわたり、都内の邸宅で茶道教室を開いている女性だ。彼女は懇...
蒼井凜花 2025-04-11 06:00 ラブ
年親を安心させたい。でも、30代で付き合った不倫相手が忘れられません(44歳女性、IT勤務)
 都内のIT企業で働く44歳女性です。年収は1000万円弱で、経済的には自立していますし、年齢的にも子供も望んでいません...
植草美幸 2025-04-11 06:00 ラブ
どんな“優良物件”も劣化させちゃう悲しきモンスター! 男をダメにする女の5つの特徴
「男を見る目がない」「ろくな男がいない」と嘆いている女性の中には、男をダメにする女が含まれているのも事実。あなたもそんな...
恋バナ調査隊 2025-04-11 06:00 ラブ
アラフォー妻が実践するセックスレス解消の秘技。夫と再び燃え上がった3つのステップ
「ダンナがしてくれなくて…」とセックスレスに嘆く女性は少なくありません。  近頃は女性用風俗や恋人レンタルに癒やしを求...
内藤みか 2025-04-10 06:00 ラブ
「気になる人」と「好きになる人」の違いとは? 自分の恋愛感情を6つの判断軸で考えてみよう
「気になる男性がいるけど、恋愛感情として好きになっているかはわからない…」と自分の気持ちに疑問を抱いている女性、必見。今...
恋バナ調査隊 2025-04-10 06:00 ラブ
「浮気してね?」男性の怪しい言動5選。意外でも深掘りしてみる価値あり
 今回は、男性の浮気を見破ったきっかけについて女性に話をうかがいました。中には意外な言動から見抜いた女性も! ちょっとで...
恋バナ調査隊 2025-04-09 06:00 ラブ
お花見デートの失敗談5選。飲みすぎ→リバースで大ヒンシュク! 桜とともに恋が散った…
 お花見デートのシーズン到来! 「気になる彼と約束してる」なんて女性もいるのではないでしょうか?  そこで今回は、お花...
恋バナ調査隊 2025-04-08 06:00 ラブ
マッチングアプリの意外な成功談4選。まさかの恋愛成就、“加工詐欺”は悪い話とは限らない?
 今回は、マッチングアプリでの意外な成功談を紹介します。マッチングアプリには下心しかないヤリモク男が溢れている印象ですが...
恋バナ調査隊 2025-04-08 06:00 ラブ
彼が萎える彼女の言動7選。遅刻、スマホチェック以外にクチャラー、口ヒゲもドン引きの対象に…
 彼にドン引きされた経験はありませんか? 今回は男性が「マジで萎えるからやめて」とドン引きする彼女の行動をご紹介します...
恋バナ調査隊 2025-04-07 06:00 ラブ
既読スルーをくらって連絡が途絶えた…ラリーが続くやり取りとは? 思わず返したくなるLINEテク3選
 気になる男性からのLINEが途絶えると、「脈なしなのかな?」「また送ったら迷惑かな…」と考えてしまうでしょう。  そ...
恋バナ調査隊 2025-04-07 06:00 ラブ