「センスが悪い」ってモラハラじゃないの? かつての「センスがいい人」はどこに…

山口明 プロ童貞・現代アーティスト
更新日:2024-11-09 06:00
投稿日:2024-11-09 06:00

「センスが悪い」はモラハラ?

 世の中が成熟して、さまざまな価値観や美意識が混在するダイバーシティなんて呼ばれるこの時代、センスという言葉自体が個人の趣味嗜好、形骸化していると思うんだ。

「センスがいい」「センスが悪い」とか、もともと明確な基準があるワケじゃないし、個人の感性や“好き嫌い”の間題だよね。

 だとしたら、他人に向けられる「センスが悪い」なんて発言は、紅茶が好きだという人に「オレは紅茶よりコーヒーが好きなんだから、おまえもコーヒーを好きになりやがれ!」と乱暴なことを言っているのと同じ。モラハラの類なんじゃないの?

 だから、もし人から何か言われても「この人とは好みが合わないのだなぁ」と受け取ればいいし、不愉快に感じたら「それってモラハラですよ!」と言い返せばいいと思うんだ。

――実際に言い返すかどうかは別として…そう考えると心を強く持てそうです。

 額面的にでもすべての人が「自分の価値観で好きに生きていいですよ」とされる世界は確かに素晴らしいけれど、当然のように混沌とするし分断も起こる。そんな空気が政治や社会情勢だけでなく、流行や美意識に影響を及ぼしていてもおかしくないよね。

 だけど、すべての人が方向を同じくする全体主義的な世界も危うい感じがするから、ある意味では“分断された世界”こそが健全で正しいのかもね。皆さんDOなのYO!! 次回もお楽しみに。

(聞き手・箕浦恵理/コクハク編集部)

【童貞のつぶやき(おまけトーク)】

 センスが単なる趣味嗜好ならば「趣味が悪い=センスが悪いとはならないのか?」なんて声が聞こえてきそうだね。

 それについては、1964年にカリスマ批評家のスーザン・ソンタグが当時のヒップな若者たちを虜にした論著「<キャンプ>についてのノート」で「悪趣味という趣味の良さ、なるものも存在するのである…趣味が悪いからこそ趣味が良い、といったこの発見は、きわめて解放的なものになりうるだろう」と語っている。

 まさに多様な感性や美的感覚が並列に存在する“何でもあり”な時代を予見していたといえるよね。死後20年を経たいま、スーザン・ソンタグが再注目され、クリステン・スチュワート主演でその生涯が映画になるみたいよ。公開されたら観に行こうかな。

山口明
記事一覧
プロ童貞・現代アーティスト
1960年生まれ。プロ童貞しかし、あるときは現代アーティスト。そしてまたあるときはオナニストにして予言者。しかし、その実体は無職のオシャベリ・クソジジイ。毎日、地元MAD CITY(松戸市)の平和を守る為、猫背&早歩きでパトロール。本日も童貞戦線異状なし!!
著書の「ワイルドチェリーライフ山口明 童貞力で一億総クリエーター時代を生きる」が発売中。代理人による公式Xも更新中。

ライフスタイル 新着一覧


辻希美は第5子妊娠の衝撃度。長女希空とは18歳差に…年の差きょうだいの良さと熟考すべきこと
 元モーニング娘。の辻希美(37)と夫の俳優・杉浦太陽(43)が3日、第5子妊娠を発表した。  2007年6月に結...
一気に距離が縮まる会話術! 社長も平社員も、みんな笑顔になる「あの話」は鉄板エピソード
 例えば今目の前に距離を縮めたい相手がいたら、みなさんは何をしますか? 私なら、その人の子供時代の話を聞きます。 ...
「子持ち様」認定されないように…非常識な親バカママ友あるあると3つの対処法
 子供がいると避けて通れないのが、ママ友とのお付き合い。  今回は、思わずイラッとしたママ友の親バカ行動をご紹介。周...
職場の「1on1ミーティング」を苦痛に感じる3つの原因。今すぐ取り入れたい対策方法は?
 近年、企業で取り入れられている「1on1ミーティング」をご存知ですか? 新しい手法を取り入れるのは良いことですが、蓋を...
堤防の上は“たまたま”のランウェイならぬ、ニャンウェイ♡ 見せ場のターンの瞬間をパチリ
「にゃんたま」とは、猫の陰嚢のこと。神の作った最高傑作! 去勢前のもふもふ・カワイイ・ちょっとはずかしな“たまたま”を見...
意外に難しい「ミモザの鉢植え」を成功させたい! ほっぽらかし園芸好きの花屋が教える5つの失敗と対策
 暦の上では3月、ポカポカを通り越して半袖脇汗が止まらない日中があれば、突然寒くなり雪が降る…これは本当に三寒四温なのか...
想定外しかない商店会ワーク。文句ばかり言うおっさんにブチ切れ寸前、寅さんの名台詞で堪えました
 本コラムは、地元の“幽霊商店会”から「相談がある」と言われ、再始動の先導役を担う会長職を拝命することになったバツイチ女...
ぎっくり腰再発かも…? 運動不足解消のため、水泳を始めた中年おばさんの“まさか”
 女性なら誰でも通る茨の道、更年期。今、まさに更年期障害進行形の小林久乃さんが、自らの身に起きた症状や、40代から始まっ...
“春ピンク”は女性ホルモンを刺激!【調香師が解説】指先から幸せになるピンクフラワー香り術
 色とりどりの花が咲く春は、気分も明るくなって幸せな気分になりますね。花の色に多いピンクですが、女性ホルモンを刺激する色...
40代の同窓会はどこで差がつく? モテる人とモテない人それぞれの共通点
 若かりし時代を一緒に過ごしたクラスメイトと、定期的に同窓会を開いている人は多いですよね。でも、40代にもなってくると見...
ダイニングテーブル上の「キレイのコツ」5選 すぐに物が散らかり、ぐちゃあ~とするのなんで?
 家族みんなが団欒する時に欠かせないダイニングテーブル。食事をしたり、コーヒーを飲んだり、宿題をしたりと大活躍ですよね!...
「かかってこいや!」攻撃待ちの“たまたま”が余裕の挑発? プロレス開幕の予感にワクワク
「にゃんたま」とは、猫の陰嚢のこと。神の作った最高傑作! 去勢前のもふもふ・カワイイ・ちょっとはずかしな“たまたま”を見...
第一印象が悪いという悩み。好印象に近づく「メラビアンの法則」を知っていますか?
 ビジネスでも恋愛でも、第一印象は大切。第一印象が悪いとビジネスでは取引や契約に悪影響を与え、恋愛では恋人候補から外され...
変わらない、変われない。
 街は変われど、変わらない変われない一本松。  一体、何を視つづけてゆくのだろう。
【漢字一字探し】悔の中に梅はどこ?(難易度★★★☆☆)
 知っているようで意外と知らない「ことば」ってたくさんありますよね。「校閲婦人と学ぶ!意外と知らない女ことば」では、女性...