「オレ忙しいアピール」って何様よ? 昭和オヤジの怠慢さに怒りの沸点越え

フィッシュバーン真也子 コラムニスト
更新日:2024-11-27 14:55
投稿日:2024-11-13 06:00
 本コラムは、地元の“幽霊商店会”から「相談がある」と言われ、再始動の先導役を担う会長職を拝命することになったバツイチ女一匹の“ほぼリアタイ”ドタバタルポです。
 商店会は末端社会の縮図。次から次へと巻き起こるトラブルや人間関係は、どこぞの職場や家庭で見たような光景ばかり…。

財政破綻を逃れた途端、怠慢オヤジに変身の2人

 入会してくださった新規会員の方々、近隣商店街の会長さん方や区議さんなど、皆様のおかげで財政破綻はギリギリ免れた我がポンコツ商店会です。

 やれやれとほっと一息ついたものの、お金を集めたということは、きちんと商店会を運営していかなければならないわけで「街路灯をLED化しておしまい」という話ではない。

 過去には餅つきイベントや子供のための行事など、それなりのイベントを行っていたらしいが、

「いやー、昔のイベントとか覚えてないっすねー」と床屋の角さん。

「ずっと昔にやってたけど、今は人がいないからねー」と元酒屋の助さん。

 2人とも、お金が集まったら危機感がなくなり、てんでやる気なし。

【コトの発端は▶▶】“幽霊商店会”から「相談がある」と突然言われ、会合に出てみると…何!ナニ!!なにー!!!

ご老公一行、解散の危機? もしくは喧嘩上等か?

「ま、ゆっくりでいいじゃないですか。別にやらなきゃいけないわけじゃないし、もうすぐ祭の準備も始まるんで、オレ忙しいんですよ」と角さん。

 かっちーん。

 忙しいのは皆同じだし、「ポンコツ商店会がんばれ!」と応援してくれて、入会してくれた人たちの気持ちに応えたいと思わないんかー! アンタは金もらったら終わりなわけ?

「会費だけ集めて何にもやらないのはダメでしょ。詐欺じゃん。そういう態度じゃ、さんざん悪口言ってる昔の商店会の会長さんたちと同じだよね」と腹立ち紛れに切り込む私。

「はぁ? なんすかそれ?」

 私に突っ込まれ、不愉快そうに答える角さん。助さんは沈黙。ピリピリとした、一触即発な緊迫シーン@床屋の店先。あぁ、ご老公一行もこれで解散か…。

喧嘩回避のため、勢いで人材発掘宣言を叫ぶ

「会費っていうのは寄付じゃないんで、それなりの対価が求められるんですよ。だから、商店会として会員の人の事業に役立つことを考えないといけないんです。昔とは違うんで、ちゃんと運営しないとだめなんですよ」

 沈黙を破ったのは私。正論で沈黙を撃破。しかし、角さんはまだ沈黙。

 そして、助さんが口をひらく。

「皆さんのためにやらないといけないけど、現実的にオレら3人しかいないから、色々やるっていってもできないよね。人がいないからー」

 もー、助さんは、人がいないって話しかしない。

「わかりました、皆さんがそうなら、私、会員の中から運営に参加してくれる人を探します!」と、新たな人材発掘宣言。角さんへの腹立ちから、勢いで言ったものの、今後のために商店会運営者を増やさないと実際やっていけない。

「いいねいいね、そうそう、誰かぜひやって欲しい!」と喜ぶ助さん。

 角さんは相変わらずふてくされて沈黙。あー、めんどくさー。

揉めてもほっておく…地元民の独特なお付き合いの仕方

 帰る道々、助さんに、「はっきり言うとふてくされるし、ネガティブなことばっかり言うし、床屋さんてやりにくくないですか?」と今まで思っていたことをぶちまける。すると、

「みんな子供の頃から知ってるからねー、どっか許しちゃうんだよね。彼は不器用な男だからあんな態度するけど、ああいう時はしばらくほっとけばいいんだよ」

「ほっといたら、話が進まないじゃないですかー、気まずいし」

「いや、時間置いたらまた戻るし、文句言いながらも結局やる人だから、ほっとけば大丈夫。一巡して頭冷やして戻ってくるから」と助さん談。

 どうやら超地元民な彼らは、喧嘩したり揉めたりしても、その時は解決せず怒ったまま解散。そのままどちらも謝らずに時を過ごし、一巡してなんとなく元に戻ることを何十年も繰り返している様子。

「もし秋の祭で揉めても、次の祭のときは戻ってるからね、そんなもんよ」

 え、助さん、一巡って1年なの? それって一度喧嘩すると終了するまで1年かかるってこと?

 どちらも謝らず、時に身を委ねる作戦なのかー。この商店会、ポンコツな理由がわかる。

「ダメなら解消、はい次!」という私にとって、商店会は修行の場

 気の長いというか、頑なというか、彼らの流派は、生き急いでいる私には理解不能。とはいえ、なかなかに興味深く、この流派、結構学んでみたいかも。もはや商店会は昭和おばさまの修行の場。

「地元の方って気長ですね。私なんて、夫ともさっさと別れてしまって、喧嘩して一巡するまで待つなんて無理ですよー。それもお互い謝らないなんて」と私。

「あ、おれはね、腹立つことあっても一巡どころか数分で忘れちゃうからね! それに、すぐ謝っちゃう」

 あー、それはまた違う意味で問題だと思うけど、まぁ、助さんと角さんはいいコンビなのだろう。

 とりあえず、次回角さんと会うまでは冷戦状態だが、今回の角さんのぷんぷんは、助さんの予測では次のミーティングまでには直ってるだろうとのこと。

 ご機嫌が直ることを祈りつつ…(拝)。

 次回(#8)へ続く。

フィッシュバーン真也子
記事一覧
コラムニスト
養生茶カフェ店主。とある都心商店会会長。ちょこっと大家業。

出版社でインテリア誌やファッション誌の編集者として長らく勤務したのち、フリーランスのエディター、インテリアスタイリスト、デコレーターとして活動。現在はメディカルハーブのスペシャリスト、ハーバルプラクティショナーの資格を活かし、養生茶と手作りおやつのカフェ『だんで茶屋』を経営。その他、著述業、不動産賃貸業などを少々営む。

外国人との結婚と離婚、シングルマザーでの子育てなど、タフな経験を栄養にして生きる50代。いい『気』を求めて神社脇に移住。住まいや暮らしを自分流にカスタマイズしながら「空間から得る幸福感」を実践研究している。54歳から建築系大学に再入学、現在大学院にて空間によるコミュニケーションデザインを研究中。

著書に食と旅のエッセイ『笑顔になれる美味しいプロヴァンス』(スタンダードマガジン)、住まいのエッセイ『女ひとり・借金アリ・貯金ゼロからのトーキョー大家さんLIFE』(主婦の友社)

関連キーワード

ライフスタイル 新着一覧


にゃんたま島に春が来た♡ 桃の花の“玉座”に降臨する「たまたま」様
「にゃんたま」とは、猫の陰嚢のこと。神の作った最高傑作! 去勢前のもふもふ・カワイイ・ちょっとはずかしな“たまたま”を見...
ドン引きした卒業式での非常識エピ5選。赤ちゃんが終始ギャン泣きで…感動シーンが台無しに
 卒業式は門出。本来なら感動シーンですが、非常識な人の言動によってぶち壊された卒業式もあるようです。いったいなにが起きた...
「マーガレット」はズボラ初心者でも簡単! 元気な花を見ると不思議な力が…認知症の母もお世話になった
 合格祝いと卒業祝い、加えてお彼岸と、お花の需要が爆上がりシーズンは仕入れ価格も爆上がりw。身体もお金も忙しいお花屋の3...
デキる系おじ様vsキャリア系女子、我が街のポンコツ商店会にも今どきな人間模様が…!
 本コラムは、地元の“幽霊商店会”から「相談がある」と言われ、再始動の先導役を担う会長職を拝命することになったバツイチ女...
「カリカリしちゃダメよぅ」と絡まれた中年男に再び遭遇。男性の“更年期障害”ってどんな感じ?
 女性なら誰でも通る茨の道、更年期。今、まさに更年期障害進行形の小林久乃さんが、自らの身に起きた症状や、40代から始まっ...
いい加減、夫に卒業してほしいこと5選。妻たちの切実な叫びを聞いてくれ
 幼稚園や学校を卒業する我が子の姿に、頼もしさや達成感、そしてちょっと寂しさを感じている女性は多いのではないでしょうか。...
女性が営業職を続けるのは無理かもしれない…。がっつりフルで働いて痛感する“令和の働き方”とは?
 セックスレスやセルフプレジャー、夫婦の在り方をテーマにブログやコラムを執筆している豆木メイです。  今回は仕事の話。...
気を遣いすぎる人の特徴と疲れたときの対処法4つ。自分の心のケアと雑さも大事に
 必要以上に周りの人の顔色をうかがってしまったり、気を遣いすぎて八方美人になってしまったりして、ぐったりしてしまうという...
素敵な女性はいい香りがする!【調香師が解説】フェロモンジャッジで分かる“パワーアロマ”は何?
 年度末を迎えるこの時期は、生活をリセットして新たな気持ちでスタートしている人も多いのではないでしょうか。  今回...
高い所にマーキングするニャン! “たまたま”の二足歩行にドキッ
「にゃんたま」とは、猫の陰嚢のこと。神の作った最高傑作! 去勢前のもふもふ・カワイイ・ちょっとはずかしな“たまたま”を見...
「保育園の洗礼」の乗り越え方5つ。しんどい働くママ、職場復帰したけど全然仕事に行けないよ~!
 本格的な春が近づき、「いよいよ育休を終えて職場復帰!」と気合いを入れる40代も多い時期ですよね。でも、復帰直後に襲って...
ホトケノザのカーペット
 一冬越した畑は紫色の染まっていた。  春の七草のひとつ「ホトケノザ」が一面に咲き誇り、ピリッと冷えた空気に春を告...
【女偏漢字探し】「暖」の中に隠れた一文字は?(難易度★★★☆☆)
 知っているようで意外と知らない「ことば」ってたくさんありますよね。「校閲婦人と学ぶ!意外と知らない女ことば」では、女性...
心が折れた無神経LINE3選 遅刻常習犯がデフォ主張「そろそろ慣れて」ってひどすぎん?
 一生懸命努力していたのに、小さなきっかけで心が折れた経験は誰しもあるはず。とくにLINEで軽やかに送られてくる空気を読...
“察してちゃん”LINEは今日もめんどい…「言わないと分からない?」不機嫌女王にどこまで付き合う?
 あなたの周りに“察してちゃん”はいませんか? 自分の思っていること、してほしいことを遠まわしに伝えて、相手にくみ取って...
千原せいじの溜飲下がる「ぶつかりおじさん」批判動画がバズり。体当たりする人の狙いと舐められない態度は?
 お笑いタレントの千原せいじ(55)が12日、自身のYouTubeチャンネルのショート動画を更新し、駅に出没する“ぶつか...