商店会は末端社会の縮図。次から次へと巻き起こるトラブルや人間関係は、どこぞの職場や家庭で見たような光景ばかり…。
財政破綻を逃れた途端、怠慢オヤジに変身の2人
入会してくださった新規会員の方々、近隣商店街の会長さん方や区議さんなど、皆様のおかげで財政破綻はギリギリ免れた我がポンコツ商店会です。
やれやれとほっと一息ついたものの、お金を集めたということは、きちんと商店会を運営していかなければならないわけで「街路灯をLED化しておしまい」という話ではない。
過去には餅つきイベントや子供のための行事など、それなりのイベントを行っていたらしいが、
「いやー、昔のイベントとか覚えてないっすねー」と床屋の角さん。
「ずっと昔にやってたけど、今は人がいないからねー」と元酒屋の助さん。
2人とも、お金が集まったら危機感がなくなり、てんでやる気なし。
ご老公一行、解散の危機? もしくは喧嘩上等か?
「ま、ゆっくりでいいじゃないですか。別にやらなきゃいけないわけじゃないし、もうすぐ祭の準備も始まるんで、オレ忙しいんですよ」と角さん。
かっちーん。
忙しいのは皆同じだし、「ポンコツ商店会がんばれ!」と応援してくれて、入会してくれた人たちの気持ちに応えたいと思わないんかー! アンタは金もらったら終わりなわけ?
「会費だけ集めて何にもやらないのはダメでしょ。詐欺じゃん。そういう態度じゃ、さんざん悪口言ってる昔の商店会の会長さんたちと同じだよね」と腹立ち紛れに切り込む私。
「はぁ? なんすかそれ?」
私に突っ込まれ、不愉快そうに答える角さん。助さんは沈黙。ピリピリとした、一触即発な緊迫シーン@床屋の店先。あぁ、ご老公一行もこれで解散か…。
喧嘩回避のため、勢いで人材発掘宣言を叫ぶ
「会費っていうのは寄付じゃないんで、それなりの対価が求められるんですよ。だから、商店会として会員の人の事業に役立つことを考えないといけないんです。昔とは違うんで、ちゃんと運営しないとだめなんですよ」
沈黙を破ったのは私。正論で沈黙を撃破。しかし、角さんはまだ沈黙。
そして、助さんが口をひらく。
「皆さんのためにやらないといけないけど、現実的にオレら3人しかいないから、色々やるっていってもできないよね。人がいないからー」
もー、助さんは、人がいないって話しかしない。
「わかりました、皆さんがそうなら、私、会員の中から運営に参加してくれる人を探します!」と、新たな人材発掘宣言。角さんへの腹立ちから、勢いで言ったものの、今後のために商店会運営者を増やさないと実際やっていけない。
「いいねいいね、そうそう、誰かぜひやって欲しい!」と喜ぶ助さん。
角さんは相変わらずふてくされて沈黙。あー、めんどくさー。
揉めてもほっておく…地元民の独特なお付き合いの仕方
帰る道々、助さんに、「はっきり言うとふてくされるし、ネガティブなことばっかり言うし、床屋さんてやりにくくないですか?」と今まで思っていたことをぶちまける。すると、
「みんな子供の頃から知ってるからねー、どっか許しちゃうんだよね。彼は不器用な男だからあんな態度するけど、ああいう時はしばらくほっとけばいいんだよ」
「ほっといたら、話が進まないじゃないですかー、気まずいし」
「いや、時間置いたらまた戻るし、文句言いながらも結局やる人だから、ほっとけば大丈夫。一巡して頭冷やして戻ってくるから」と助さん談。
どうやら超地元民な彼らは、喧嘩したり揉めたりしても、その時は解決せず怒ったまま解散。そのままどちらも謝らずに時を過ごし、一巡してなんとなく元に戻ることを何十年も繰り返している様子。
「もし秋の祭で揉めても、次の祭のときは戻ってるからね、そんなもんよ」
え、助さん、一巡って1年なの? それって一度喧嘩すると終了するまで1年かかるってこと?
どちらも謝らず、時に身を委ねる作戦なのかー。この商店会、ポンコツな理由がわかる。
「ダメなら解消、はい次!」という私にとって、商店会は修行の場
気の長いというか、頑なというか、彼らの流派は、生き急いでいる私には理解不能。とはいえ、なかなかに興味深く、この流派、結構学んでみたいかも。もはや商店会は昭和おばさまの修行の場。
「地元の方って気長ですね。私なんて、夫ともさっさと別れてしまって、喧嘩して一巡するまで待つなんて無理ですよー。それもお互い謝らないなんて」と私。
「あ、おれはね、腹立つことあっても一巡どころか数分で忘れちゃうからね! それに、すぐ謝っちゃう」
あー、それはまた違う意味で問題だと思うけど、まぁ、助さんと角さんはいいコンビなのだろう。
とりあえず、次回角さんと会うまでは冷戦状態だが、今回の角さんのぷんぷんは、助さんの予測では次のミーティングまでには直ってるだろうとのこと。
ご機嫌が直ることを祈りつつ…(拝)。
次回(#8)へ続く。
ライフスタイル 新着一覧