更年期の治療は漢方薬やホルモン剤投与で万事OK? ちょこっと旅で脱・イライラカリカリの1年にしたい

小林久乃 コラムニスト・編集者
更新日:2025-01-08 06:00
投稿日:2025-01-08 06:00
 女性なら誰でも通る茨の道、更年期。今、まさに更年期障害進行形の小林久乃さんが、自らの身に起きた症状や、40代から始まった老化現象についてありのままに綴ります。第12話は「ちょこっと旅で脱・更年期」。

更年期よ、さよなら

 病は気からというのなら、更年期も気からかもしれない。

 そんな期待を込めたことを考えたのは、ガッチリと休暇を取って関西へ旅行に出かけた、昨年秋のこと。それまでもちょくちょく仕事で移動をしていたものの、旅行は温泉へ1泊で行く程度。何も考えずに休むということが少なかった。

 疲労もたまっていたし、現地の友人からの誘いもあったので、使っていなかったクレジットカードのマイルを使って関西へ。神戸、大阪、京都と巡った。

 神戸ではアーケードのある商店街を歩きながら、放送中の朝ドラ『おむすび』(NHK総合)を思い出したり、とあるアーティストのライブにも参戦。粉もんをひたすら食べまくって、酒も好きなだけ飲む。

 明日のことは気にせずに、欲望のまま自分を大解放。普段、東京でもやっていることのはずなのに、いつもとは違う環境が欲望を膨らませる。ああ、気持ちがいい。

食う、飲む、買うの脳内ループ

「次はここに行こう」

「朝ごはんはこれを食べよう」

「お土産に出汁を買うか」

 食う、飲む、買う。この3つが常に脳内を駆け巡っていた。毎日、2万歩近く歩いていたので、さすがに筋肉痛にはなった。でもまとめると…楽しかった。

 そして帰りの飛行機で気づいたのは、出かける前に悩んでいた更年期症状のことをすっかり忘れていたことだ。


【こちらもどうぞ】「う、うまい…」京都で“当たりだけ”グルメ! コッペパン天国から地元民太鼓判の街中華・餃子まで

単調な生活の代償とは

 自分の生活を振り返ると「あ、まずい」と思うのが、高齢者並みに家から外出をしなくなること。2日間、一歩も自宅から出ないことがざらにある。物書き、編集、プロモーションと、いただける仕事はすべて頑張っているけれど、1カ月のうち半分は自宅にこもって作業をする。

 原稿、企画書とパソコンさえあれば何とか収入を得られる、まるで風来坊のような生活。最近この連載も含めて“書く”仕事が増えているせいか、引きこもり具合は日々増幅。

 以前はシェアオフィスやカフェで仕事をすることも多かったけれど、なんだかそれも億劫になってしまった。それだけ自宅を居心地良くしたというのもあるが、出かけないというのは人してどうにもまずい。

 運動量もそうだけど、鬱っぽくなることは間違いない。

 この劣化した生活リズムに加えて、更年期が襲ってきた。だるい、しんどいの繰り返し。

「散歩をしたり、マッサージを受けたり。ヨガもいいですね。こまめな気分転換が更年期には必要です」

 ありきたりの文言が書かれた婦人科のホームページを見て、辟易していた。そんなことでこの未病状態を打破できるのなら、いくらでもやるわ…と思ったけれど、散歩すら面倒がって眼球を酷使して仕事をしているじゃないか、私。

 こんな生活だからこそ、旅行で何も考えていなかった日々がリラックスしすぎて、更年期症状が出なかったのかもしれない。

 先日、会社員で絶賛更年期中の友人がこんなことも言っていた。

「オフィスでの仕事はもう慣れちゃったから…通勤時間もなにも気分転換にはならないかなあ。結局、ずっとイライラカリカリしてるよ。女優でもないんだからドラマティックな生活は送れない」

 傍目には充実していそうに見えるけれど、単調な生活。それが仕事。たぶん、皆同じで、皆ちょっとずつ苦しい。

小林久乃
記事一覧
コラムニスト・編集者
出版社勤務後、独立。2019年「結婚してもしなくてもうるわしきかな人生」にてデビュー。最新刊はドラマオタクの知識を活かした「ベスト・オブ・平成ドラマ!」(青春出版社刊)。現在はエッセイ、コラムの執筆、各メディアの構成と編集、プロモーション業が主な仕事。正々堂々の独身。最新情報は公式HP

関連キーワード

ライフスタイル 新着一覧


ロボット掃除機より優秀!? “激落ちくん”のお掃除スリッパが突き付けた我が家の床の現実
 話題のコスメや、広告でよく見かける化粧品や日用品。「webでよく見るあの商品、本当にイイの?」「買ってみたいけれど、口...
私の心が狭いのか? 甥っ子が放った「お金持ちだから好き」発言にモヤモヤした話
 あっという間に、9月ですね。早い! 夏休みの帰省で姪っ子や甥っ子に会った方も多いのでは。  筆者にも、5歳の甥っ子が...
テーブル下でこっそり放熱中…ステンレスで涼をとる賢い“たまたま”君
「にゃんたま」とは、猫の陰嚢のこと。神の作った最高傑作! 去勢前のもふもふ・カワイイ・ちょっとはずかしな“たまたま”を見...
子どものいない祭り
 都会の喧騒の中で見つけた祭り。  そこにははしゃぐ子どもの姿はなかった。  たまにはいいかな、自分のためだ...
ほっこり癒し漫画/第81回「センセッ ジカンデスヨッ」
【連載第81回】  ベストセラー『ねことじいちゃん』の作者が描く話題作が、「コクハク」に登場! 「しっぽのお...
「鉄漿」って読める? ヒント:最古のメイク
 知っているようで意外と知らない「ことば」ってたくさんありますよね。「女ことば」では、女性にまつわる漢字や熟語、表現、地...
子ども同士のLINEにもドラマが!将来の夢はスパイに忍者…ピュアな感じがたまらん
 最近では、小学生でもスマホを持っている子が増えていますよね。連絡ツールとして友達とLINEを使いこなし、時代は変わった...
女はお嫁さん要員? 年収800万でも「行き遅れ」と見下される田舎の地獄
 西新宿の高層ビル内にある大手食品会社のデザイン室に勤務し、初台に暮らす咲子。実家とはほぼ縁を切ってはいるものの、悠々自...
毒親の介護をしたくない 実家から逃げた女が「決別」のため払った金額は
 西新宿のビル内にある大手食品会社のデザイン室に勤務し、初台に暮らす咲子。実家とはほぼ縁を切ってはいるものの、おひとりさ...
田舎を捨てた「独身女」は不幸ですか 絶縁した家族が来て…今さら何の用?
 いまだ残暑が残る9月の初め。月曜日のAM7:30。  すでに汗ばむ陽気に包まれながら、西村咲子は新宿西口の高層ビ...
職場で飛び交う「大人のちくちく言葉」4選。無意識に同僚・後輩のモチベを下げてない?
 人の気持ちを不快にさせる、ちくちく言葉。子どものちくちく言葉は「アホ」「バカ」「マヌケ」などストレートですが、大人にな...
“たまたま”に見覚えあり!尾道市立美術館の「ケンちゃん」ではないかぃ?
「にゃんたま」とは、猫の陰嚢のこと。神の作った最高傑作! 去勢前のもふもふ・カワイイ・ちょっとはずかしな“たまたま”を見...
大優勝!秋から元気な“開運最強”花5選。一輪挿しでも存在感たっぷりで映える1本を紹介
 台風10号の遠隔豪雨は、神奈川にあります猫店長「さぶ」率いる我がお花屋にも様々な影響を及ぼしました。大雨を睨みなが...
みんなどうしてる? 大地震の経験者が語る我が家のリアルな地震対策7選
 南海トラフ地震の危機感が高まる中、「我が家も地震対策を見直さないと」と思っている人は増えているようです。ただ、実際に被...
バツイチ女一匹「昭和の意地」を捨てたおじさまから商店会会長を任されましたよ…!
 前回、ポンコツ商店会再起動という渦に巻き込まれた私。とりあえず、様々な問題解決のため、床屋さんと元酒屋さんとの密なミー...
猫飼う40独女が準備する「防災グッズ」元カレのアレと被災した親の経験談が沁みる…
 9月1日は「防災の日」でした。地震や台風などに対する不安が高まっている今、災害に備えていますか? 私は、しなきゃしなき...