「M-1」2位! バッテリィズ・エースの愛され力。“アホ”が殺伐とした現代に必要とされるワケ

小政りょう ライター
更新日:2024-12-25 06:00
投稿日:2024-12-25 06:00

令和ロマンに敗れるも、大注目のバッテリィズ

 もはや年末の風物詩となった『M-1グランプリ』(ABC・テレビ朝日系/以下M-1)が今年も12月22日に開催され、チャンピオンに昨年と同様・令和ロマンが輝きました。前人未到の2連覇の偉業を達成する一方で、2位になったのは、全国的にはまだまだ無名のバッテリィズ。

 大阪予選から勝ち上がってきた彼らの漫才、特にボケのエースさんのキャラクターは、「何も考えずに笑える」「新しいバカがやってきた」と、初見の視聴者のハートを鷲づかみにしました。早くも仕事のオファーが殺到しているといいます。

【関連記事】なぜ令和ロマンは賞レースに出続ける?3冠制しヘイトも無視する戦闘力

実はイケメン! 純粋無垢なエースの愛され力

 バッテリィズは大阪のよしもと漫才劇場を中心に活躍する、エースさん(30歳)と寺家さん(34歳)からなるコンビ。純粋で無知なエースさんに、寺家さんが様々なことを解説し、それに対し無垢でアホな反応をするしゃべくり漫才を得意としています。

 今回のM-1ファーストラウンドでは7番手で登場し、「名前書いたら受かる高校に名前書き忘れて落ちた」などおバカエピソードで観客の心を掴んだ後は、「細そうすぎる」「自転と公転さえわかれば」などというフレーズもはまり、4分間でエースさんの愛らしさが全て詰め込まれた漫才でした。

 華やかな見た目のエースさんについて、視聴者からは俳優の「渡辺大知さんにそっくり」「笑顔が佐藤隆太さんを思わせる」「峯田和伸?」という声もあるほど。身長も182cmと高く、芸風同様、陽のオーラをまとった彼に、心を奪われる視聴者が男女問わず大量発生したようです。

息子のように見守りたくなる

 エースさんは、大阪の西成区出身。所属している草野球チームではその名の通り“エース”であり、本名は角 拳都(かど けんと)というのもまるで少年漫画の主人公のよう。漫画・ワンピースが好きということですが、そのキャラが名前の由来ということを否定しています。

 決勝進出者発表でも少年のような無邪気さは変わらず。重々しい雰囲気の中でコンビ名が次々発表され、みな他に配慮して静かに嬉しさを噛みしめる中、エースさんだけは「おおお、やったあ!」と声をあげ、その喜びを爆発させていました。

 また、決勝進出会見でも優勝賞金の使い道として「親にあげますよ。親にあげたらよろこぶんで!」とまっすぐに即答。親世代の心を打ちぬいたのは言うまでもありません。

 その明るさや純粋さは、多くの先輩たちも気にかけているようで、マヂカルラブリーの村上さんは、件の決勝進出会見で「かわいい♡」と目を細め、決勝後に行われた打ち上げ配信でも「悲しい思いはしてほしくない。嫌な仕事は断って」などと親のような心配をしていました。

 その横にいた渋谷凪咲さんも「(バッテリィズのネタ中)審査員の方が子供を見るような目になっていた」と評するなど、M-1の4分間で見ていた全ての人の息子にエースさんがなっていたような気がします。

小政りょう
記事一覧
ライター
映画・テレビの制作会社等に出入りもするライター。趣味は陸上競技観戦

関連キーワード

エンタメ 新着一覧


岡田将生「ラストマイル」沼にハマる人続出!「虎に翼」との共通項も考察
この投稿をInstagramで見る 映画『ラストマイル』公式【大ヒット上映中】(@...
朝ドラ史上、いやテレビ史上に残る名判決シーン。「政治の貧困」の言葉が胸に突き刺さる
 昭和38年6月、桂場(松山ケンイチ)は最高裁判事のひとりに任命される。  竹もとで修業に励む梅子(平岩紙)、そし...
桧山珠美 2024-09-07 06:00 エンタメ
夕飯のカレーで描いた星家の“遠慮のない家族”への変化。入山法子の名場面を振り返り
 昭和37年1月、「原爆裁判」の原告のひとり、吉田ミキ(入山法子)が法廷に立つことを承諾。広島から上京してきたミキを、原...
桧山珠美 2024-09-05 17:30 エンタメ
虎に翼の脚本は朝ドラ特有の“中だるみ”なし!塚地出演「あさイチ」との連携プレイにも救われた
 昭和34年、優未(毎田暖乃)は高校1年生に。直明(三山凌輝)と玲美(菊池和澄)の間に子供が産まれ、猪爪家はますますにぎ...
桧山珠美 2024-09-02 17:30 エンタメ
東出昌大“狩猟系イケメン”面目躍如。通り過ぎていった女性たちは何を思う
 期待に応える男、東出昌大(36)がまたまたやってくれました。今度は“デキ婚”ですって。いつかやってくれるだろうとは思っ...
第110回感動のラストシーン! 余貴美子演じる百合さんの“ある台詞”がとっても可愛かった
 寅子(伊藤沙莉)たちとの同居がつらいと本心を語り、家を出ようとするのどか(尾碕真花)。そんな彼女に、優未(毎田暖乃)は...
桧山珠美 2024-08-31 06:00 エンタメ
【写真特集】10年前の初々しい東出昌大。オールバック、ナチュラル、横流し…髪型3変化
【この写真の本文に戻る⇒】杏との離婚から4年、東出昌大“デキ再婚”で話題の養育費問題。子のために前妻が即やるべき事【弁護...
虎に翼108回目でお見事だった2つのシーン。世の中の“普通人”の理不尽な思いを代弁させた
 稲垣(松川尚瑠輝)と小橋(名村辰)にも手伝ってもらい、裁判所で中学生向けの法律の勉強会を開いた寅子(伊藤沙莉)。だが話...
桧山珠美 2024-08-28 17:15 エンタメ
松本人志はいまや「憧れの芸人」ではない。若手芸人が話す3つの理由
「生きるお笑い界の伝説」ことダウンタウン松本。還暦を迎えた今も大人気の冠番組を複数抱え、お笑い界で最も大きな発言権を誇る...
帽子田 2024-08-28 09:38 エンタメ
なんて賢い子!“星家イチのオトナ”が優未だった件。27日あさイチに“料理男子”井上祐貴が降臨
 寅子(伊藤沙莉)と優未(毎田暖乃)は星家で暮らし始めるが、航一(岡田将生)の長男・朋一(井上祐貴)、長女・のどか(尾碕...
桧山珠美 2024-08-26 17:35 エンタメ
木戸大聖が世間に見つかってしまった!月9「海のはじまり」スピンオフでファン急増中
 めめ(目黒蓮)の体調不良が心配でなりません。現在、フジテレビ系月9「海のはじまり」に主演していますが、Snow Man...
寅子の「心が躍るような」結婚式。放送残り1カ月ちょっと、NHKにスピンオフで描いてほしいこと
 お互いそれぞれの名字を名乗ったうえで、「夫婦のようなもの」になることを決めた寅子(伊藤沙莉)と航一(岡田将生)。猪爪家...
桧山珠美 2024-08-24 06:00 エンタメ
平手友梨奈がHYBEと契約終了、2度目の退所で訪れる転機。神童が“本物”に返り咲く日
 平手友梨奈(23)が今月8日、韓国の大手芸能事務所「HYBE」日本本社のレーベル「NAECO」との専属契約を終了した。...
こじらぶ 2024-08-24 06:00 エンタメ
【写真特集】女子アナ時代、初々しい浴衣姿の田中みな実
【この写真の本文に戻る⇒】 なぜ田中みな実は「いらん一言」を放つのか。女優ヅラ発言の真意を考察
なぜ田中みな実は「いらん一言」を放つのか。女優ヅラ発言の真意を考察
 放送中のドラマ『ギークス〜警察署の変人たち〜』(フジテレビ系)にて、3人の主要キャラのうちの1人に抜擢されている田中み...
堺屋大地 2024-08-23 06:00 エンタメ
航一は本当に明治生まれなのか?「夫のようなもの」を許容できる男に疑惑
 航一(岡田将生)から、そこまで悩むのなら結婚をやめようと告げられた寅子(伊藤沙莉)。それは婚姻届を出す結婚をやめようと...
桧山珠美 2024-08-24 00:23 エンタメ