あれ…ホームパーティーに誰も来ない?
パーティーのメインに出そうと仕込んだ丸鶏をオーブンに入れると、少し手持ち無沙汰になった。なんとなくストーリーズを更新してみる。
ウォールナットの家具で揃えたウッディなインテリア。キャンドルやドライ南天をところどころに配置した暖かみあるテーブルコーディネートが鮮やかに映えるスマホの中の世界。
宴の主役は、フランス名門ワイナリーのビンテージワインだ。もちろん、すぐに友人たちのイイネがいくつか届く。
そうこうしている間に、家族も帰宅してきて、あとは友人たちを待つだけの時間になった。
「あれ…遅いな」
振り子時計が6つ、時を打つ。
少し待っても、誰も家を訪れる気配がなかった。
「ごめんね、駐車場を探すのに時間がかかっちゃって…」
30分ほどして、横浜に暮らす友人・亜紀がやってきた。
今回の参加者はこれで以上。開催のたびに、参加者は減ってきていることは感じていた。
参加予定の友人は他に5人いたはず。世田谷に住む元同僚一家と、港区在住の友人カップルが「行けたら行く」と誘いに返してくれていた。
「仕方ないよ。遠いから、都内の人がサクッと来られるような場所じゃないからね」
虚しさを最小限にとどめるため、先回りの言い訳を亜紀につぶやく。彼女のひきつった笑みが胸に焦げ付いた。
結局、来てくれたのは友人1人だけ
夫と2人の子供は、話し込む2人におかまいなしでボードゲームをしている。たくさんの手作り料理は女性と子供が中心の5人には多すぎて、だいぶ残された。3日前から仕込んでいたのだが…。
「はい、チーズ」
家族も呼び、とりあえずInstagramにあげる用の写真を撮影して、すぐにホームパーティーはお開きの流れになった。
亜紀は車で来ているためお酒が飲めない。コルクを抜くこともなかった、名ばかりのホームパーティーだった。
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