【おむすびにモヤっと】“不揃い”な春キャベでロールキャベツ? 平成のバカップルにこうのとりが…

桧山珠美 TVコラムニスト
更新日:2025-01-13 18:30
投稿日:2025-01-13 18:30

第15週「これがうちの生きる道」#71

 2010年春、結(橋本環奈)と翔也(佐野勇斗)は大阪のアパートで新婚生活を始める。家事を分担しながら共働きをして公私ともに充実した日々を送っていた。

 そんななか、ある時から結は体調が悪くなるが、翔也や社員食堂の原口(萩原利久)に心配かけないように隠しながら働く。やがて食欲も落ちる結。異変に気付いた翔也は、何か食べさせようと思案する。


【こちらもどうぞ】【おむすびにモヤっと】当日いきなりスコッチエッグの無謀。鶏ひき肉と卵、大量に仕入れていた?

【本日のモヤっと】


志村けん&石野陽子コントのデジャブ?

 ※※以下、ネタバレあります※※

 結と翔也の新婚生活がスタートしました。翔也は掃除・洗濯・ゴミ出しを担当、結は料理を担当と役割分担もきっちりと決められているようです。「うんめえ」と結の作った料理を食べる翔也。

「世界一!」「世界一」

「翔也~、ついとったよ」

 そう言いながら翔也の口元についたご飯粒をとって食べる結。見つめ合って「フフフ」。「そういえば谷岡部長に俺たち“平成のバカップル”って言われたぞ」「いいやん」。いかにもの新婚生活の描写は、ドリフの志村けんと石野陽子がやっていたコントの新婚夫婦を見ているようです。

「いい春キャベツが入ってくると思うので、来週の日替わりの主菜はロールキャベツでいきたいと思います」という結の提案に、「そんな手間がかかる料理、作れるか!」と声を荒げるような立川(三宅弘城)はもういません。

「ほう。ロールキャベツか。ええやんかヨネちゃん」すっかり好々爺です。地元野菜を使うにあたって、形の悪いものは刻めばいいとかなんとか言っていたように記憶するのですが、キャベツを丸ごと使うロールキャベツを提案するとはねえ…。ロールキャベツは加熱しても煮崩れしにくい冬キャベツで作るといいとされる料理でもありますし。

 翔也も総務部で居場所を見つけてなにより。それにしても、社内で手を繋いで歩くのはどうかと思いましたが…。そりゃ「バカップル」と言われても仕方がありませんね。

 ところが、新婚の幸せな描写はここまで。始まって4分ほどで結の体調に異変が見られ、病院へ。病名は「腎盂腎炎」でした。「じゃあ食欲が落ちたのも…」と結が医師に尋ねると、「それは妊娠してるからです」と。

 いままで長い間、朝ドラを見てきましたが、ヒロインに赤ちゃんができたというのに、こんなにテンションが低いのは初めてではないでしょうか。

「腎盂腎炎」のうえに「重症妊娠尾悪阻」まで重なって。世の妊婦さん、および出産を経験してきた女性たちは、大変な思いをして子どもを産んできたのですよ、とその理解を広めるために、結につらい経験をさせたのだとしたらまだしも、これが管理栄養士になりたいと思うきっかけに利用しているだけだとしたら、いただけません。

アメちゃんあげるわ、オバちゃん登場

 米田結という名前に、「あら~。おむすびみたいな名前やね」と言ってしまう管理栄養士・西条小百合役の藤原紀香は今後のキーパーソンになるのでしょうか。水素水の効能を謳うのではないか、とヒヤヒヤしています。

 そうそう。十三のアパートの住人、「ほなアメちゃんあげる」のおばちゃん。大阪のおばちゃんはいつもアメちゃんを持っていて誰彼構わずあげるというの、「ケンミンショー」あたりで得たネタでしょうか?

 残念ながらちっとも笑えませんでした。どうせやるなら、おばちゃんには全身ヒョウ柄の衣装を着せないと。

桧山珠美
記事一覧
TVコラムニスト
大阪府大阪市生まれ。出版社、編集プロダクションを経て、フリーライターに。現在はTVコラムニストとして、ラジオ・テレビを中心としたコラムを執筆。放送批評誌「GALAC」、日刊ゲンダイ「あれもこれも言わせて」などで連載中。

関連キーワード

エンタメ 新着一覧


「ニャニャニャニャニャ」寅子の必殺技!いずれ強い虎になる“伏線”か?
 判決の日。寅子(伊藤沙莉)たちの予想は外れ、妻が着物を取り戻すことが認められる。大喜びする女子部の面々だったが、よね(...
桧山珠美 2024-04-12 18:20 エンタメ
不祥事芸人・フジモンの賛否両論の復帰劇!実は吉本への貢献度が抜群?
 昨年10月に当て逃げ事故を起こして活動自粛していたフジモンことFUJIWARA・藤本敏史が、3月23日放送の『さんまの...
堺屋大地 2024-04-12 06:00 エンタメ
寅子「あきらめたらそこで終わり」はもしや…名作漫画のイズムにニヤリ
 傍聴した裁判について尋ねた寅子(伊藤沙莉)に対し、穂高(小林薫)は皆で議論してみるよう促す。  暴力を振るう夫か...
桧山珠美 2024-04-11 15:25 エンタメ
トラコ入学、伊藤沙莉は表情筋を自由に操る女優…男装の山田よねにも注目
 昭和7年。晴れて「明律大学女子部法科」に入学した寅子(伊藤沙莉)のクラスには女子の憧れの的の華族令嬢・桜川涼子(桜井ユ...
桧山珠美 2024-04-08 18:38 エンタメ
“お騒がせ”青井実アナが心機一転、なにわ男子の道枝駿佑と似てるって⁉
 世の中の人がNHKに持つイメージといいますと、「真面目」「お堅い」「地味」といったところでしょうか。  そんな中...
逃げ恥の百合ちゃん役が“頭のいい女は頭の悪いふりをするしかない”発言
 穂高(小林薫)に出くわしたことで女子部への出願が母・はる(石田ゆり子)にばれてしまった寅子(伊藤沙莉)。  娘に...
桧山珠美 2024-04-05 15:30 エンタメ
「虎に翼」語りは尾野真千子 NHKアナと俳優のナレーションの違いは?
 寅子(伊藤沙莉)がお見合いに苦戦する中、親友の花江(森田望智)は寅子の兄・直道(上川周作)との結婚準備を順調に進めてい...
桧山珠美 2024-04-05 15:14 エンタメ
「虎に翼」シン・朝ドラの予感!わずか1話、たった15分で心つかんだ描写
 昭和6年・東京。女学校に通う猪爪寅子(伊藤沙莉)は父・直言(岡部たかし)、母・はる(石田ゆり子)から次々とお見合いを勧...
桧山珠美 2024-04-01 22:28 エンタメ
僥倖!世界に挑む赤西仁ほど「サムライマック」のCM向きな俳優はいない
 マクドナルドのCMにイケメンあり!  そんな声をちらほら耳にするようになりました。たとえば4月2日から全国放送さ...
平野らTOBEがドーム公演大成功の一方、暗雲立ち込める旧ジャニの逆転は
 3月14日から17日にかけて、滝沢秀明氏創設のTOBE所属アーティストによる東京ドーム公演「to HEROes ~TO...
こじらぶ 2024-03-30 06:00 エンタメ
ブギウギ最終回、水を差すようでスンマセン! 残念すぎる4つの演出と描写
 スズ子(趣里)のさよならコンサートが始まる。客席には懐かしい多くの面々がかけつけている。茨田りつ子(菊地凛子)、愛子(...
桧山珠美 2024-03-30 11:41 エンタメ
スズ子引退会見、“天敵の文屋”鮫島の「シャッポを脱ぐ」演出を読む
 歌手・福来スズ子(趣里)の引退会見の当日。スズ子は結局、羽鳥善一(草彅剛)とは話ができないまま会見に臨むことになってし...
桧山珠美 2024-03-27 14:30 エンタメ
超鈍感力! 羽鳥の絶縁宣言を屁とも思わないスズ子とタケシは似た者同士
 歌手引退――。スズ子(趣里)はその決断を、愛子(このか)や大野(木野花)に伝えた。  羽鳥善一(草彅剛)に絶縁す...
桧山珠美 2024-03-26 15:40 エンタメ
「GTOリバイバル」注目の新人イケメンは?松嶋菜々子は本当に出るのか
 反町隆史主演「GTO」が26年ぶりに帰ってきます。反町演じる元ヤン教師・鬼塚英吉がさまざまな問題を解決する学園モノで、...
ドヤ顔のアユミとヘイヘイブギー歌唱シーン温存の理由がわかる回だった
 昭和31年、大みそか。第7回オールスター男女歌合戦当日。スズ子(趣里)は、楽しみに会場へと向かう。スズ子が楽屋で支度を...
桧山珠美 2024-03-22 14:30 エンタメ
最終回秒読み…スズ子はブレずにお人よし、NHKと沼袋勉の手腕いかに!?
 愛子(このか)は、翌日の体育の時間に足の早い転校生と競争することになっていた。しかし、勝てる見込みがなく、愛子は学校を...
桧山珠美 2024-03-21 16:07 エンタメ