芸人の「聖人化」に潜む危険性。バッテリィズ・エースに「いい人」を押し付ける風潮が心配だ

帽子田 芸人、ライター
更新日:2025-01-29 06:00
投稿日:2025-01-29 06:00

絶好調に見えるバッテリィズ

『M-1グランプリ2024』(テレビ朝日系/以下M-1)で準優勝を果たし、一躍ブレイクしたバッテリィズ。人気が急増し、メディア露出も各段に増え、スター街道を歩んでいるように見える。しかし、現役芸人である帽子田は「バッテリィズは注意すべき点もある」と警鐘を鳴らす。

 かつて年間100本以上のライブに出演し、自身もライブ主催者の経験もある現役芸人・帽子田が、進む芸人の「聖人化」について語る。

【関連記事】「M-1」2位! バッテリィズ・エースの愛され力。“アホ”が殺伐とした現代に必要とされるワケ

エースの「聖人化」が進んでないか?

 M-1の余波は年が明けても続いており、ダークホースながら準優勝したバッテリィズがテレビに出まくっている。SNSを見るとファンも爆増したようでファンアカウントの投稿が延々と流れてくる。

 最初は相変わらずM-1は夢があるなと思いながら見ていたが、密かに心配している点もある。

 バッテリィズは真正のアホであるエースと、ネタ担当のブレイン・寺家のコンビ。エースはアホキャラだが非常にピュアで、朝ドラの主人公みたいな性格だ。性格が良いのは間違いないのだが、M-1以降SNS上では異常なほど「エースのいい人エピソード」で溢れ返っている。

 例えば「生きるのが辛いファンのチケットに『楽しめ!』と書いてあげた」「出待ちしているとかなり優しく対応してくれた」「誰も傷つけないボケをしてくれる」のような人柄がよいという部分にスポットが当たった投稿が多い。

 繰り返すがエースが性格がいいのは間違いない。けれどもファンを中心にSNS上で「いい人幻想」が行き過ぎて、「聖人化」が進んでしまっている。この現象は非常に危険だと思う。

バッテリィズらへの密着番組が決定打に

 聖人化は決勝後に放送された『M-1グランプリ2024 アナザーストーリー』(テレ朝系)が拍車をかけた。

 アナザーストーリーとはM-1のファイナリストの裏側に密着した番組。その中でエースが亡くなった母のことを話しながら涙ぐむシーンがあり、視聴者の涙を誘った。

帽子田
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別名義では芸人として活動。一時期は年100本以上のライブに出演、ライブ主催の経験もアリ。一応現役の芸人ではあるが、ただのお笑い、バラエティ番組ファンでもあります。

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