まさか痴漢に遭うとは…更年期真っ最中のおばさんの身に降りかかった「性的な危険」

小林久乃 コラムニスト・編集者
更新日:2025-01-29 06:00
投稿日:2025-01-29 06:00

恐怖で震える手足

 私は力を振り絞っておっさんから腕を引き離して、その瞬間に右足で相手の腿を蹴り飛ばした。次の瞬間、相手から距離を取り、スマホをおっさんに向けて撮影を始めた。

「このまま警察に行くぞ!」

 おっさんは私に蹴られた腿を押さえながら逃げていった。実際はスマホを向けただけで、恐怖で慌ててしまったせいか、撮影操作はできていなかった。ほんの数日前、ドラマで喧嘩に巻き込まれた若者がスマホを向けて、相手を威嚇する…というシーンを見たばかり。これが思わぬところで役に立とうとは。

 その後逃げていくおっさんを見届けて、こちらも急ぎ足で自宅に戻った。やはり怖かった。前述通り、痴漢を完膚なきまでに叩き潰す精神は変わらないけれど、誰もいない暗がりの道路というのは、想像になかった恐怖だ。

 念の為、警察に連絡をするとすぐに近所の現場まで来てくれた。事情を話したけれど、捕まる可能性は低いとも言われた。「とにかく無事で良かったです」と、婦人警官が何度も言ってくれたことを覚えている。

男性は女性よりも圧倒的に力が強い

 男女平等がスタンダードになった昨今。交際、結婚、育児や老後など、これまで女性の悩みだと断定されていたことが、男性も悩んでいると周知されるようになった。私も書き手として、男性の気持ちも自然と汲み取るようになったし、これはいい傾向だと思う。ただひとつだけ気になる点があるとしたら、男性は女性よりも圧倒的に力が強い。下手すりゃ殺される。

 さらに悲しいことに昨今、男性の腕力や権力を振りかざした性被害が横行している。この状況と今回、私が遭遇した事件から考えても、男性=警戒という認識をファーストコンタクトでは持ったほうが良さそうだ。

 そして更年期真っ最中のおばさんでも、どうやらこの被害は避けられない。そんなことを改めて伝えたく、今回のエッセイを書いた。みなさま、どうぞご注意を。

 次回(#16)へ続く。

小林久乃
記事一覧
コラムニスト・編集者
出版社勤務後、独立。2019年「結婚してもしなくてもうるわしきかな人生」にてデビュー。最新刊はドラマオタクの知識を活かした「ベスト・オブ・平成ドラマ!」(青春出版社刊)。現在はエッセイ、コラムの執筆、各メディアの構成と編集、プロモーション業が主な仕事。正々堂々の独身。最新情報は公式HP

関連キーワード

ライフスタイル 新着一覧


「風呂キャンセル界隈」失敗談 足の臭いでバレ!自分を奮い立たせる方法
 ネットスラングで「風呂キャンセル界隈」というワードが話題になっています。読者の皆さんの中にも、その日の入浴をキャンセル...
丸見え族、参上! うさぎシッポの“たまたま”君にロックオン
「にゃんたま」とは、猫の陰嚢のこと。神の作った最高傑作! 去勢前のもふもふ・カワイイ・ちょっとはずかしな“たまたま”を見...
何をそんなに怒っているのだ?
 何をそんなに怒っているのだ?  東京都庁近くにて。
ほっこり癒し漫画/第75回「ヘルプみーこ」(後編)
【連載第75回】  ベストセラー『ねことじいちゃん』の作者が描く話題作が、「コクハク」に登場! 「しっぽのお...
【難解女ことば】「小女子」ってなんて読む? ヒントはご飯が進むもの。
 知っているようで意外と知らない「ことば」ってたくさんありますよね。「女ことば」では、女性にまつわる漢字や熟語、表現、地...
最新「グダグダなLINEやり取りの終わらせ方」知らないのは無防備すぎる
 仕事からプライベートまで、コミュニケーションツールとして使えるLINE。便利かつ気軽ではありますが、それゆえにダラダラ...
スマホを持たないサブカル老人の願い「本屋に行く楽しみを奪わないで~」
 コミックや書籍など数々の表紙デザインを手がけてきた元・装丁デザイナーの山口明さん(63)。多忙な現役時代を経て、56歳...
クレクレママの実態 買い換えるなら「車くれない?」っておねだりする!?
 人のものをすぐに欲しがるクレクレママ、あなたの周りにはいませんか? おさがりなどをもらってくれて助かることもあるけれど...
44歳独身、今からでも遅くない?ズル休み→大学進学を決めた“無敵の女”
 八王子の居酒屋で契約社員として働く由紀は、信じていた学生バイトに蔑まれ、客の若者にも罵られる日々。見かねた学生バイトの...
私の時給はパフェより低い…置き去り氷河期世代の苦悩「感覚死んでる」
 八王子の居酒屋で契約社員として働く由紀は、特段面白みのない毎日を過ごしている。元気な学生バイトたちに囲まれ慌ただしい日...
八王子の居酒屋社員で月給18万円、腰かけ学生バイトの尻拭いをする日常
 八王子は21の四年制大学・短期大学・高専があるという。  全国でも学園都市として広く名が知られ、学生の数はおおよ...
大人の「友達がいない問題」はスナックで解決!?常連同士が仲良くなるわけ
 みなさんは大人になってからできた友達、どのくらいいますか? 「言われてみればもゼロ」なんてこともあるのでは?  ...
自分の選択に誇りを持って。子どもを産まない理由、そして6つの決断
「DINKs」という言葉があるように、「子どもを産まない」ということが近年では夫婦の選択肢の一つとして普通になってきまし...
気高いオーラにゾクゾク! コワモテ“たまたま”の意外な素顔
「にゃんたま」とは、猫の陰嚢のこと。神の作った最高傑作! 去勢前のもふもふ・カワイイ・ちょっとはずかしな“たまたま”を見...
お店で見かけたら幸運! 超レア「バードネスト」の正体は野良ニンジン!?
北海道出身の主人とは衣食住、風習や慣習など折に触れ、関東で生まれ育った者(ワタクシ)との違いを感じます。結婚当初は行き来...
銀座で“750円のみほ&時間無制限”の「AOU銀座の森」がまさかの改悪!?
 コロナ禍以降、基本在宅勤務な方も多いのでは? 出勤のわずらわしさから解放されるのはいいけれど、たまには気分転換をしたい...