【おむすびにモヤっと】おかずのメニューを聞かずに1300kcalをも導き出す“徳積みヒロイン”

桧山珠美 TVコラムニスト
更新日:2025-02-18 17:30
投稿日:2025-02-18 17:30

第20週「生きるって何なん?」#97

 翔也(佐野勇斗)の母・幸子(酒井若菜)が栃木から神戸に孫の顔を見に来て、イチゴ栽培のおもしろさを語る。愛子(麻生久美子)はその奥深さに興味を示すが、聖人(北村有起哉)は胃の精密検査に気を病んでいて逃げるようにその場を去る。

 そして結(橋本環奈)は、胃薬を取り出している聖人を見つける。

【こちらもどうぞ】居酒屋で注文した“高カロリー”料理にぶーたれる結。5人で食べたら大丈夫かもよ!

【本日のモヤっと】

「結ちゃん、さすがだね」

 ※※以下、ネタバレあります※※

「最近、食欲もないみたい」と愛子。「朝はおむすび1個とか。昼はうどんとかが多いかな。で、夜はおかずは食べるんだけど、ごはんの量は減ってると思う」と、聖人の1日の食事量を結に報告します。

 それを聞いて「それやったら1日1300キロカロリーも摂っとらんやん」と深刻ぶる結。おかずって言っても、トンテキから湯どうふまでカロリーもいろいろだと思うのですが、何を基準に1300キロを導き出したのかが謎。というか、愛子も愛子で、一緒に暮らしているのに「朝はおむすび1個とか」ってなんか他人事のような…。家庭内別居しているのかと思いました。糸島から送られてくる新鮮野菜でサラダやらお味噌汁を作ればいいのに、って大きなお世話でしょうか。

 でもって、そんな結を見て翔也ママが、「結ちゃん、さすがだね。病院の話になるとキリッとしてプロの顔になる」と褒めます。嫁姑の仲が良好なのはなによりですが、見ているこちらは釈然としません。そんなふうにはちっとも見えなかったので。

 それどころか、病院でも実家でも「米田さん、さすが」「結ちゃん、さすが」と褒められる結、前世でよほど徳を積んだとしか思えません。

 焼肉を食べに出かけた家族。家にひとり残った聖人が薬箱から胃薬を取り出しているところへ、携帯を忘れたと結が戻ってくるわけですが…。聖人は「胃腸薬」と書かれた市販薬を漁っていましたが、大阪新淀川記念病院は胃の不調を訴える患者に胃薬の処方もしてくれないのか、と。

 そして「知り合いの話なんやけどな」と切り出し、「その人、胃カメラしたんやて。そしたら、胃の粘膜にただれがあったみたいやねん。でな。今、悪性かどうか生検っていうので調べて貰ってるらしいねんけど、なんの病気かお前わかるか」と結に尋ねます。「それやったら、胃潰瘍」と結が言うと、「あっ、やっぱりそうやんな」とほっとした様子を見せる聖人。続けて結が「…か、胃がんかな」と言うと「どっちや、どっちなんや」と悶絶します。

 検査結果を待つ間の不安さは経験したことがある人なら誰しも味わうもので、聖人の揺れる気持ちをわかるという人も多いでしょう。とはいえ、父娘のコミカライズしたやりとりには疑問です。この場面に笑いは必要でしょうか。

次回はナベベと聖人を愛でる

 聖人から、そんな話を聞き、不安になった結は担当医である森下(馬場徹)に聖人の病状を聞きに行きます。ここで、森下は「ご本人から聞いてくれって頼まれたんか? 患者さんご本人の同意が得られてないんやったら、病状は回答でけへん。君も医療従事者ならわかるやろ」とピシャリ。

 なんだか、ひさしぶりにまともな医療従事者の発言を耳にしたような気がします。結を叱ってくれて、ありがとう森下医師!!

 と、ここまでが前半。

 後半も、昼休憩のついでに大阪の歩(仲里依紗)のところへぷらっと訪ねる聖人、またそんな聖人に、「お父さん、元気にしてあげる」と派手な洋服を着せて、ギャルマインドを注入する歩。ギャルは万能薬、なんにでも効くようです。

 久々に登場のナベべ(緒形直人)は現在売れっ子シューズデザイナーですって。いつもながらですが、神戸から東京に行ってからのナベベの活躍ぶり、見たかったですね。明日はナベベと聖人を愛でる回。これは楽しみです。


桧山珠美
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TVコラムニスト
大阪府大阪市生まれ。出版社、編集プロダクションを経て、フリーライターに。現在はTVコラムニストとして、ラジオ・テレビを中心としたコラムを執筆。放送批評誌「GALAC」、日刊ゲンダイ「あれもこれも言わせて」などで連載中。

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