【おむすびにモヤっと】商品開発7年目なのに、なっちゃんの知識不足設定と結への謝罪が不憫すぎる

桧山珠美 TVコラムニスト
更新日:2025-03-05 18:15
投稿日:2025-03-05 18:15

第22週「理想と現実って何なん?」#108

 結(橋本環奈)と菜摘(田畑志真)は、考案したコンビニ弁当がなぜダメだったかを製造担当の管理栄養士から聞き、開発を断念する。

 帰宅した結は、娘・花(宮崎莉里沙)が意気消沈しているのを見て何があったのか聞く。花は、サッカーの試合でシュートをミスして負けたことが悔しいと答える。結は、それなら次頑張ればいいと言うが、花は父親の翔也(佐野勇斗)ががっかりすると言い、落ち込んでいた。

【こちらもどうぞ】変顔炸裂の第22週。名も無き管理栄養士が大手コンビニで商品共同開発の“ミラクル”

【本日のモヤっと】

大量生産はコンビニフードの基本のき

 ※※以下、ネタバレあります※※

 結となっちゃんのお弁当屋さんごっこ、暗礁に乗り上げてしまいました。それにしても、なっちゃん。商品開発部に7年も勤務していながら、“コンビニ弁当は大量生産する”ことを頭に入れてなかったのには驚きです。それはスイーツ部門でもおなじ、基本の“き”のように思うのですが…。

 それなのに反省するどころか、土屋(森優作)を居酒屋「きよし」に呼びつけて、「部長が反対しとうから、反対したんちゃいます?」などと詰め寄る始末。あのパワハラモラハラ部長も、なっちゃんのそういうところを問題視して信頼できない…と懐疑的なのかもしれません。パワハラモラハラ部長、実はいいひと?

 もっとも「どれだけ立派な理想があっても実現できへんねんやったら、意味ないんや」という土屋の言葉がなっちゃんに届いたのは救いでした。ちゃんと反省できるなっちゃんに伸びしろを感じます。一方の結は「なっちゃんと仕事できてよかった」と慰めているつもりでしょうが、そのお弁当、一緒に作ったものなのに…。試食会で「副菜にごまを散らすなど多様な食材を用いて彩りにも工夫を凝らしております」と得意げに発言していましたよね。なんだか謝るなっちゃんを許す結という構図になっていたのにモヤモヤ。

 結と花の親子関係がなんだかギクシャクしているのも気になります。「練習試合って、練習のための試合やろ? 失敗したことでよくないことも見えたんやない? やけん、次、頑張ろうよ」。自分のせいで試合に負けたと落ち込む花を慰める結。そんな結を見つめる花の顔が、「この人、何言ってんの?」という感じに見えてしまうのは、結と花のシーンがほとんど描かれていないからではないでしょうか。翔也(佐野勇斗)といる時の花はあんなに可愛いのに…。

改めて、いつの間に引っ越してたんや?

 そして、本日(5日)の放送で仰天したのは、結たちの住まいが安アパートから、そこそこのマンションに代わっていたことでした。たしかに1カ月ほど前、管理栄養士4年目になったという結が夜に帰宅した際、マンションの外観が映りましたが、日中の外観シーンを見てつくづく、いつの間に引っ越ししてたんや? と。

 翔也が見習いになった時はお給料もそんなに払えないと告げられ、どうせならヘアサロンヨネダの上で同居すればいいのに…と思ったものですが、改めて、あいかわらずのすっ飛ばしにビックリの巻でした。

桧山珠美
記事一覧
TVコラムニスト
大阪府大阪市生まれ。出版社、編集プロダクションを経て、フリーライターに。現在はTVコラムニストとして、ラジオ・テレビを中心としたコラムを執筆。放送批評誌「GALAC」、日刊ゲンダイ「あれもこれも言わせて」などで連載中。

関連キーワード

エンタメ 新着一覧


「あんぱん」松嶋菜々子の“毒”さえチャーミングにする厄介な美しさ。ドキンちゃんにも見えてしまった
 8年間音沙汰のなかった登美子(松嶋菜々子)が突然帰ってくる。登美子に対してわだかまりが残ってはいるものの、自分の漫画を...
桧山珠美 2025-04-19 06:00 エンタメ
「あんぱん」登美子(松嶋菜々子)の登場が不穏…色っぽいけど。貴島中尉(市川知宏)は“あのキャラ”を意識?
 新聞社に出した漫画で賞金をもらい、ご機嫌の嵩(北村匠海)。一方のぶ(今田美桜)は、パン食い競走で転びそうになったところ...
桧山珠美 2025-04-17 16:02 エンタメ
カトパンへの嫌味に物議…新井恵理那は承認欲求のカタマリか、悪役を演じる聖人か?
 昨年3月、8年間出演して総合司会も務めていたテレビ朝日系の朝の情報番組『グッド!モーニング』を降板したフリーアナウンサ...
堺屋大地 2025-04-17 06:00 エンタメ
【募集】春ドラマ何見る? 面白かった&ガッカリを教えて!『最後から二番目の恋』『あんぱん』etc
 コクハクでは2025年春ドラマを対象としたアンケートを実施します。4月よりスタートした春ドラマ、「期待している」「面白...
笠松将、柳楽優弥を超えなければと思っていた。俳優業の“わからなさ”は「自分自身にビビッている感覚」『ガンニバル』シーズン2インタビュー
“この村では、人が喰われているらしい……”    2022年の年末にディズニープラス スターにて独占配信がスタートす...
望月ふみ 2025-04-15 06:00 エンタメ
「あんぱん」嵩(北村匠海)の“ジェラシー”がなんとも可愛い! 寛(竹野内豊)の診察シーンが見たかった
 昭和10年、高等女学校の5年生になったのぶ(今田美桜)は、ある日、貴島中尉(市川知宏)と再会。祭りのパン食い競走で使う...
桧山珠美 2025-04-14 19:03 エンタメ
15分の朝ドラで高揚感を得られるんだ! のぶ&嵩の“子役最終回”が見せた未来の夫婦関係
 久しぶりに登美子(松嶋菜々子)の顔を見て胸がいっぱいになる嵩(木村優来)だったが、登美子は困惑した表情を浮かべる。のぶ...
桧山珠美 2025-04-12 06:00 エンタメ
旧ジャニ会見から1年半、STARTO社の再興成否…CD売上と人権意識から考察、ファンは一体何を望む?
 2023年9月および10月、旧ジャニーズ事務所は創業者問題で2度記者会見を開いた。その後、同社所属タレントのテレビ・C...
こじらぶ 2025-04-12 06:00 エンタメ
「あんぱん」阿部サダヲの配合絶妙な演技。高知つながりで“しょくぱんまん”登場!
 元気のない家族のために力を貸してほしいというのぶ(永瀬ゆずな)の頼みに、草吉(阿部サダヲ)は1回きりの約束であんぱんを...
桧山珠美 2025-04-09 17:20 エンタメ
『あんぱん』RADWIMPSの主題歌は本当に「合っていない」のか? 正統派・朝ドラOPの真逆を貫いた意味
 2025年3月31日より、NHK連続テレビ小説『あんぱん』の放送が開始された。国民的キャラクター「アンパンマン」生みの...
「R-1」さや香・新山や吉住らベテラン勢はなぜ負けた? 売れっ子は予選で有利、決勝で不利な理由
 最もおもしろいピン芸人を決める「R-1グランプリ2025」(フジテレビ系)が3月8日に開催された。決勝常連組やベテラン...
帽子田 2025-04-09 09:48 エンタメ
ヤムおんちゃん草吉はあんぱん代をきっちり集金。ジャムおじさんとは違う“先導”に期待膨らむ
 草吉(阿部サダヲ)のあんぱんを食べて、生きる力をもらった朝田家。羽多子(江口のりこ)は内職の仕事を始め、釜次(吉田鋼太...
桧山珠美 2025-04-07 17:20 エンタメ
「あんぱん」ウラの見所~初週からブチかまし!細部に神経が行き届いた作品だと印象付けた中園脚本
 結太郎(加瀬亮)があの世に旅立ち、悲しみに暮れる朝田家。しかし、のぶ(永瀬ゆずな)は一粒の涙も流さなかった。そんなのぶ...
桧山珠美 2025-04-05 06:00 エンタメ
“百戦錬磨”香川照之ゆえの提案「全6話、スイッチを仕込んでいます」【主演ドラマ『災』インタビュー】
「連続ドラマW 災」(WOWOW、6日22時スタート)は、湿り気を帯びた陰鬱な雰囲気とぞわりとする劇伴が感情を揺さぶる不...