【おむすびにモヤっと】伏線をまき散らして放送終了、そしてモヤモヤが残った。結はとんでもなくヤベ~やつ?

桧山珠美 TVコラムニスト
更新日:2025-03-29 06:00
投稿日:2025-03-29 06:00

最終週「おむすび、みんなを結ぶ」第125回

 歩(仲里依紗)から詩(大島美優)を引き取ろうとするのは甘かったかもしれないと聞いた結(橋本環奈)は、仮定の話を気にして一歩踏み出さないのはギャルらしくないと勇気づける。

 さらに詩を一人で育てるのではなく、みんなで育てればいいと言う結の言葉で、歩は決心する。

 そして1年後、結たちは糸島に移住した聖人(北村有起哉)たちを訪ねる。

【こちらもどうぞ】【おむすびにモヤっと】瞬の表情で孤独をにじませる歩。最後の最後でヒロイン逆転!?

【本日のモヤっと】

あちこちで伏線まき散らし

 ※※以下、ネタバレあります※※

 なんだか世間では、最終回は良かったという評判もあるそうですが、私だけ違うものを見てしまったのかと思うほど、モヤモヤが残ったままです。伏線回収という言葉がありますが、「おむすび」の場合は“伏線まき散らし”。伏線なのかと思っていたものが、未回収のまま終わってしまい、ポカンとしてしまいました。

 たとえば、大腸がんの患者・丸尾さん。結が大演説をぶって手術を延期する流れでしたが、あの後、どうなったのか。詩とナベベ(緒形直人)の再会もありませんでした。娘にそっくりな詩を見てナベベがどんな反応をするのか、ちょっと気になっていたのですが…。

 お次は、糸島です。「よねだイチゴ農園」の盛況ぶりには驚かされました。キッチンカーまで出して、愛子(麻生久美子)の手腕が光ります。推定年齢90代前半の佳代(宮崎美子)はとてもそんな年齢には見えず、愛子も歩も結も米田家の女性陣は年を取らない秘薬を手に入れたとしか思えません。ヒミコ(池畑慎之介)が、なぜ畑でトラクターを操縦していたのかも謎です。

 一番のモヤっとは、エンディングです。ドラマの中で、結と歩のいるリビングのテレビには朝ドラ「おむすび」が放送されています。“令和7年1月17日”というテロップが出ているのに、テレビからは「阪神・淡路大震災から17年。1月17日早朝5時46分、黙とうがささげられました」とリリー・フランキーのナレーションが聞こえてきます。これって、令和7年なの? 平成24年なの? 一瞬、よくわかりませんでした。

 しかも、彼女たちが年を取らないので、いったいいつの話なのか、検討もつかないのです。というか、いつから結はこの家に住みだしたのでしょうか。翔也にしてみれば、職住接近でしょうが、花(新津ちせ)の学校問やサッカークラブは大丈夫なのか、それも気になります。


そして、モヤモヤが残った

 話は戻って、おむすびを握る結に「今年も行くの?」と歩。そして、結はいそいそと神戸の高台へ。ベンチにいるのは、雅美さん(安藤千代子)でした。結がタッパーに入れたおむすびを持って「はい、おむすび」と差し出します。「ありがとう」とひとつ受け取ると「まだあったかいねえ」と雅美さん。ラップを剥がして「いただきます」と一口、そして「おいしい」と微笑みかけます。「よかった」と結。

 雅美さんは震災の時、ボランティアで神戸までおむすびを持ってきたあの人です。それを貰って「おばちゃん、これ冷たい。チンして」と言ったことが結の後悔になっていましたが、5歳の時にボランティアで来た人といったいいつ再会したのでしょう。

 当時の記憶はそんなになかったはずなのに、どこをどうして雅美さんにたどり着いたのか。「探偵ナイトスクープ」の探偵にでも頼んだのでしょうか? そこがわからないのでモヤモヤします。

「今年も行くの?」という歩の台詞から推察するに、結にとっての恒例行事になっていたようですが、なにもかもさっぱりわからずじまい。毎年毎年、雅美さんに温かいおむすびを食べさせて何がしたいのでしょう。「ほら、やっぱりおむすびは温かいほうがおいしいでしょ」と言いたいのだとしたら、結、とんでもなくヤベ~やつです。雅美さんにとってこの日が恐怖の日でなければいいのですが…。

 今年の流行語に結の「食べり」、もしくは翔也の「大事か」がノミネートされるかどうか。楽しみにしつつ――。

桧山珠美
記事一覧
TVコラムニスト
大阪府大阪市生まれ。出版社、編集プロダクションを経て、フリーライターに。現在はTVコラムニストとして、ラジオ・テレビを中心としたコラムを執筆。放送批評誌「GALAC」、日刊ゲンダイ「あれもこれも言わせて」などで連載中。

関連キーワード

エンタメ 新着一覧


スズ子覚醒!茨田りつ子(菊地凛子)と渋谷のり子の表情がオーバラップ
 歌うコツを掴んだスズ子(趣里)は、羽鳥善一(草彅剛)とのレッスンを続け、その歌声はぐんと熱を帯びてきていた。  ...
桧山珠美 2023-11-10 14:30 エンタメ
“おぼこ娘2人”の初々しい恋バナ! つよぽん演じる羽鳥は「まさに笑う鬼」
 スズ子(趣里)と羽鳥善一(草彅剛)の厳しいレッスンは相変わらず続いている。しかし、羽鳥はスズ子の歌に相変わらず満足しな...
桧山珠美 2023-11-09 15:46 エンタメ
BLACKPINKの再契約なるか?「7年目のジンクス」結末に4つのシナリオ
 世界的なK‐POPブームの昨今。「コクハク」読者の中にも、K-POPにハマっている方も多いのではないでしょうか? ...
2023-11-09 06:00 エンタメ
「マイホームヒーロー」を嗜む!なにわ男子高橋“俳優武者修業”に高好感度
 すっかり忘れていました。佐々木蔵之介(55)の存在を。最後の独身大物俳優などと言われ、過去には、小野真弓や丸山桂里奈な...
大和玲子(蒼井優)の戒名に「礼」と「優」、位牌の細部にまで抜かりなし
 スズ子(趣里)たちは、大和礼子(蒼井優)が出産後に病院で亡くなったと知らされる。スズ子はお別れの会で、大和が梅丸少女歌...
桧山珠美 2023-11-03 14:30 エンタメ
スズ子のナレ出世、股野のナレ求婚…感動のシーンを描いて欲しかった!
 昭和12年、スズ子(趣里)が香川から戻ってきて3年。梅丸少女歌劇団は、秋山(伊原六花)のタップダンスとスズ子の歌を二本...
桧山珠美 2023-11-01 15:37 エンタメ
SMILE-UP.(旧ジャニ)俳優部の演技&将来性、飛躍の片鱗見せたの誰?
 嵐の二宮和也(40)がSMILE-UP.(旧ジャニーズ)からの独立を発表しました。  中丸雄一、山田涼介、菊池風...
スズ子出生の秘密に迫る香川編、ナニワの至宝&大地真央のヅカ同期が登場
 スズ子(趣里)と六郎(黒崎煌代)のふたりは、梅吉(柳葉敏郎)とツヤ(水川あさみ)の故郷である香川を訪れる。スズ子が小学...
桧山珠美 2023-10-28 06:00 エンタメ
平手友梨奈に平野紫耀ら事務所移籍組が躍動!俳優と歌手の二刀流はあるか
 平手友梨奈(22)が出演するドラマ「うちの弁護士は手がかかる」(フジテレビ系)が好評を博している。  平均世帯視...
こじらぶ 2023-10-28 06:00 エンタメ
魂のラインダンスに涙、涙…入浴シーンの「四季の宴」趣里、歌うまい!
 山寺でのストライキは団員たちの要求が全面的に受け入れられ、幕を閉じる。  山を降り、ようやくいつも通りの練習を始...
桧山珠美 2023-10-25 16:30 エンタメ
梅丸少女歌劇団による山寺でのダンスシーンはニュースになった“アレ”
 山寺でのストライキが続く中で、大和礼子(蒼井優)はスズ子(趣里)に自分の過去の話をする。両親に反対されて、縁を切ってま...
桧山珠美 2023-10-24 17:03 エンタメ
道枝駿佑“マイハル”の無表情は拙い?いいえ、ラストの笑顔のためだった!
 秋の新ドラマがスタートしています。いくつかチェックしましたが、ミステリーや考察ドラマって疲れて帰ってきた頭と体にはなん...
色恋に敏感なリリー、昭和8年が舞台の朝ドラに「百合」の描写は必要?
 大和礼子(蒼井優)はストライキをするしかないと言い出す。一方、橘アオイ(翼和希)は、お客様が大切だと言い、また、礼子が...
桧山珠美 2023-10-20 16:20 エンタメ
直撃!俳優・藤原大祐の恋愛観「告白するなら年上、1回目のデートで」
 10月20日から全国公開となる新感覚ホラー映画「リゾートバイト」。小さな島の民宿でアルバイトする大学生たちに様々な怪奇...
2023-10-20 06:00 エンタメ
【写真特集】藤原大祐を直撃! ここでしか見られない本編&未公開カット含む全29枚!!
                                        ...
2023-10-20 06:00 エンタメ
労働争議で板挟み…“スズ子の恩人”林部長役・橋本じゅんの意外な一面
 世界恐慌の波が押し寄せ、USKの賃金削減と人員削減が告げられる。一部の楽団員と新人の劇団員は解雇されてしまった。 ...
桧山珠美 2023-10-19 15:40 エンタメ