笠松将、柳楽優弥を超えなければと思っていた。俳優業の“わからなさ”は「自分自身にビビッている感覚」『ガンニバル』シーズン2インタビュー

望月ふみ
更新日:2025-04-15 06:00
投稿日:2025-04-15 06:00

“この村では、人が喰われているらしい……”
 
 2022年の年末にディズニープラス スターにて独占配信がスタートするや、「面白い!」と一気に注目を集めた柳楽優弥さん主演のサイコスリラー『ガンニバル』。待望の完結編となるシーズン2が先月より配信スタートし、ファンを増やしています。

 村の真相に大悟(柳楽)が迫るなか、秘密を守ろうとする後藤家の当主・後藤恵介としてシーズン1から引き続き物語のキーパーソンを演じる笠松将さん(32)にインタビュー。柳楽さんとの秘話から、俳優業への思いなどを聞きました。

 さらに笠松さんが、本サイト読者にと、自身にまつわる「初恋」エピソードをコクハク?

【関連記事】“百戦錬磨”香川照之ゆえの提案「全6話、スイッチを仕込んでいます」【主演ドラマ『災』インタビュー】

『ガンニバル』シーズン2の撮影現場は「全員バキバキ」!?

――シーズン1のラストは「えー!ここで終わるの!」と思わず叫んでしまいました。

 狙い通りのリアクションをありがとうございます。

――(笑)。シーズン2は、1話から後藤家と警官隊との銃撃戦というとんでもないスタートになりました。現場も大変だったのでは。

 全員バキバキですよ。大先輩方も超全力。シーズン1のときから、最初に柳楽優弥さんという俳優が出した基準があって「これを超えないと!」と全員が思っているんです。だから目が死んでる俳優がひとりもいない。そんな現場にいられて、僕はすごく勇気をもらいましたし、めちゃくちゃ楽しかったです。

――演じた後藤恵介について聞かせてください。恵介は後藤家の若き当主ですが、自分は、本当は何をすべきなのか揺れている。かなり複雑な役どころです。

 本当に複雑でしたね。撮影の合間も、本当に思っていることが何なのか、監督やプロデューサーたちと答え合わせしていました。常に矢印を明確にしながら、細かく丁寧に進めていきました。

――しかも途中で、恵介自身が自分の気持ちを「わからない」と口にします。それも正直な気持ちだろうなと。自分がわからない状態にある人物を演じる難しさはありませんでしたか?

 僕自身、結構「わからなさ」の中にあるんです。

「自分は何屋さんなんだろう」と思うときも

――それはどういう……。

 カメラの前でどういればいいのかがわからなくなるという意味ではなく、「俳優としてどう存在しているのがいいことなのか」が、わからなくなる。

 例えばお芝居だけをやって、それで全世界の人たちが注目するような作品を作れるならいいけれど、僕にはそれは難しそうだからバラエティ番組に出させてもらったり、ファッションの世界で感度の高い人たちに注目してもらえるような場所に顔を出して、「『ガンニバル』やってます。こういう俳優です」と売ってみたりする。

 そのときどきで「これが正解だ」と思いながら進みはするんだけど、同時に、「これってどうなんだろう」と迷いもある。「わかんねえよ!」っていう。その感覚を恵介に持ってきたというか、合わせました。キャラクターの感情と自分とのメモリを合わせたみたいな感じです。

――では笠松さん自身の中に、いま現在「わからなさ」の感情がある。

 日に日に濃くなります。「自分は何屋さんなんだろう」とか。自分を正当化して胸を張ってやってますけど、何が正解なのかは正直、わかりません。

望月ふみ
記事一覧
70年代生まれのライター(ときどき撮影)。映画やドラマ、タレント本などのエンタメ関連記事を執筆。現在はインタビューが中心で、月に20本ほど取材。ねこ検定上級、2級愛玩動物飼養管理士取得と愛猫家街道をばく進中。

X

関連キーワード

エンタメ 新着一覧


「握手」の演出に伏線?寅子と花岡は友情の証、優三のそれとは真逆だった
 寅子(伊藤沙莉)の1年先を行く花岡(岩田剛典)は司法修習後の試験に合格。どうしても早く伝えたいと寅子に電話をしてきたの...
桧山珠美 2024-05-14 16:00 エンタメ
あぶ刑事ヒットならドラマ化も?柴田恭兵の“枯れた老人”は世を忍ぶ仮の姿
 先月までNHK-BSで放送していた「舟を編む~私、辞書つくります~」はなかなか素敵なドラマでした。  三浦しをん...
映画『広末涼子』(仮)の鳥羽氏は中盤キャラ?スキャンダル史まだ続く説
 昨年6月、人気シェフ・鳥羽周作氏とのダブル不倫が報じられ、無期限の謹慎処分を受けていた広末涼子。その後、夫だったキャン...
堺屋大地 2024-05-11 06:00 エンタメ
花岡(岩ちゃん)、寅子に匂わせプロポーズ!?でも黄色いバラの花言葉は…
 とうとう合格した寅子(伊藤沙莉)、先輩の久保田(小林涼子)、中山(安藤輪子)。そして寅子と合格者が3人も出たことで、廃...
桧山珠美 2024-05-10 15:30 エンタメ
生田斗真“無痛おねだり”大炎上の後始末 羊水発言は“謹慎4カ月”だったが…
 俳優の生田斗真(39)が大炎上している。生田はインスタグラムのストーリーズで、ファンから質問に回答する企画で「今日で妊...
優三のいい人キャラさく裂!予告でヒヤリとした梅子の断崖絶壁シーンも〇
 涼子(桜井ユキ)と香淑(ハ・ヨンス)の思いを背負って、寅子(伊藤沙莉)たちは再び高等試験に挑むが、今度は梅子(平岩紙)...
桧山珠美 2024-05-09 16:30 エンタメ
『虎に翼』脚本家、アニメ界でなぜ高評価?朝ドラ人気の要因は公平な目線
 NHK連続テレビ小説『虎に翼』が好評だ。主人公は日本初の女性弁護士・三淵嘉子をモデルとした猪爪寅子。彼女が投げかける疑...
竹もとで勉強する寅子たちは今時のノマド?法律事務所の初仕事はお茶入れ
 昭和13年春、明律大学を卒業した寅子(伊藤沙莉)たち。寅子は雲野(塚地武雅)の法律事務所で働きながら高等試験合格を再び...
桧山珠美 2024-05-07 14:20 エンタメ
あさイチで光った令和の“料理男子”の新星、キスマイ横尾のライバル現る!?
 ゴールデンウィークといっても、どこかにお出掛けの予定になんの予定もなく、ただ漫然とテレビを見ていたら、神様から思わぬご...
直言ら16名全員無罪!憲法記念日に放送された寅子が語る「法」の解釈
 昭和11年12月。1年半に及んだ直言(岡部たかし)の「共亜事件」がいよいよ結審の日を迎えた。  寅子(伊藤沙莉)...
桧山珠美 2024-05-04 06:00 エンタメ
直言の判決いかに? 寅子の表情、優三腹くだり…テンポ絶妙な法廷シーン
 公判中に倒れた直言(岡部たかし)は、自分の無実を信じる寅子(伊藤沙莉)の気持ちに応え、取り調べで自白を強要されたことを...
桧山珠美 2024-05-02 17:13 エンタメ
『虎に翼』の週タイトルになぜ「?」はる記“主婦乃手帖”で一発逆転なるか
 直言(岡部たかし)は寝たきりでろくに食事も取ろうとしない。そんな様子をはる(石田ゆり子)は心配していた。  一方...
桧山珠美 2024-04-30 13:50 エンタメ
大谷結婚モロ被りの不穏も何のその!各世代イケメン網羅のキムタクドラマ
 木村拓哉(51)主演ドラマ「Believe-君にかける橋-」(木曜21時、テレビ朝日系)がスタートしました。待ちに待っ...
永瀬廉は大人の色気、髙橋海人はヘタレの真逆 確かに築くキンプリ2人体制
 昨年より、2人体制となったKing & Prince(以下、キンプリ)の永瀬廉(25)と髙橋海人(25)。4月期に始ま...
こじらぶ 2024-04-27 06:00 エンタメ
岩ちゃんか仲野太賀か…優三株の上昇、高等試験に落ち続ける原因判明!?
 突然、猪爪家に検察が押しかけ、はる(石田ゆり子)は直言(岡部たかし)が贈賄で逮捕されたと告げられる。  証拠品と...
桧山珠美 2024-04-26 16:45 エンタメ
まるでコント!寅子との恋フラグは立たず、崖から落ちる花岡(岩ちゃん)
 親睦を深めるためハイキングに行くことになったが、花岡(岩田剛典)たちの態度に溝を感じ、浮かない気持ちの寅子(伊藤沙莉)...
桧山珠美 2024-04-24 14:35 エンタメ