セレブママの心をくすぐる幼稚舎の“おしゃれパワー” 早実初等部とアクセスや環境は大差ナシ
【お受験のリアル】#4
早実初等部vs慶応幼稚舎(4)
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「小学校選びは母親の意向で決まる」と話すのは長年、お受験の世界をウォッチしてきた70代の幼児教室幹部。「私がかかわった半世紀近く、常に中心にあったのは慶応幼稚舎。お母さんたちの憧れの的となってきた」と振り返る。
02年にスタートした早稲田実業初等部に対し、幼稚舎は1874年創設。内部進学先を見ても、慶応大は私大系トップの医学部を擁するが、早稲田大にはない。早実初等部が幼稚舎に追いつけない理由は伝統や医学部の有無だけではない。母親たちからの支持の差である。幼稚舎の最寄駅は地下鉄広尾。周辺には大使館が立ち並び、有栖川公園、インターナショナルマーケット、フレンチレストラン……。いかにもセレブの街を思わせるたたずまいが広がる。
対する早実初等部があるのは国分寺市。「おしゃれを気にするセレブママからすると、だいぶ田舎に来たように感じるらしい。子どもが毎日通うのは大変だという理由から、早実より幼稚舎に行かせたがるが、それは表向き。何より、お母さん自身が都落ちした気分になるようです」とは幼児教室幹部の分析だ。
早実初等部の開設にかかわった早稲田大の元教授は、「広尾と比較したら、確かにあか抜けないが、アクセスや環境面で幼稚舎に劣っているとは思わない」とママたちの反応に不満そう。事実、都心から距離はあるものの、時間はそれほどかかるわけではない。新宿駅から中央線快速で約30分。本数は多くないが、特別快速に乗れば21分で国分寺駅に着く。
「都心から通学する場合、下りですから朝のラッシュも大したことがない。幼稚舎に通うよりはずっと楽だと思う」と話す元教授が幼稚舎より優れている点として挙げるのは、初・中・高等部が同じ敷地内にあることだ。12年間ずっと、国分寺に通うのである。通学コースが変わらないのは生徒にとっては退屈な面もあるかもしれないが、安全を確保しやすいメリットは大きい。
■清原和博氏の長男・次男も幼稚舎出身
一方、幼稚舎の生徒は中学に上がる時に別の場所に行くことになる。中等部(港区)、普通部(横浜市)、湘南藤沢中等部(藤沢市)の3校から選ばなけれならない。「お母さんもいつまでもセレブを気取っているわけにはいかない」(幼児教室幹部)のである。とはいえ、6年間の優雅な時間は何物にも代えがたいようだ。
「著名人の子どもがいっぱいいる幼稚舎に保護者として顔を出すだけで、気分が高揚してくるといいます」(同)
親が有名というだけでない。幼稚舎出身者がタレントになるケースも枚挙にいとまがない。嵐の櫻井翔は普通部2年の時、旧ジャニーズ事務所に履歴書を送り芸能界入り。活動しながらしっかり学校に通い、慶応大経済学部を卒業した。
元プロ野球選手の清原和博氏の長男・正吾と次男・勝児も幼稚舎出身だ。今春、慶応大を卒業し社会人になるはずだった正吾は大学野球部の活動で就活ができなかったため、現在就職浪人中。一昨年夏の甲子園で優勝を果たした塾高野球部の出場メンバーの勝児はこの4月、慶応大商学部に入学。兄と同じく大学野球部に入部し、神宮での活躍が期待されている。
華々しさでは、早実初等部より幼稚舎のほうがだいぶ上。ママたちの心をくすぐるようだ。
(田中幾太郎/ジャーナリスト)
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