「目の前の人とどう向き合うか」
かつて20代や30代の頃、異性愛者である私は、男女の関係性の行き着く先は「恋人」か「結婚」だと、なんとなく思い込んでいた。結婚願望は全くなかったのだが、それでも「彼氏」や「恋人」といった“名前”が欲しい気持ちはあった。関係性の深さよりも、名前が先に欲しかったのだ。
仕事でもプライベートでも、さまざまな人と出会い、語らい、時には深くつながり、傷ついたり傷つけたりしてきた。そして気づけば40代に入った今、ようやく思うのだ。なぜ、あそこまで「名前のある関係」にこだわっていたのだろう、と。
今は、「目の前の人とどう向き合うか」のほうがずっと大事だと感じている。もちろん、自分を取り巻くすべての人と丁寧に向き合うのは難しい。けれど、「この人、面白いな」「もっと話してみたいな」と感じる相手には、ちゃんと向き合ってみたいと思うようになった。
その関係がこの先どう変化していくかはわからない。だが、その変化を面白がれるようになったこと。それこそが、年齢を重ねてきたことの、ひとつの贈り物なのかもしれない。
『最後から二番目』の意味
最後に、私だけではなく多くの人が疑問に思っているかもしれない『最後から二番目の』という言葉の意味に触れておく。
『最後から二番目の恋』ってことは、千明と和平は結ばれないの? と思っている人もいるかもしれない。この言葉の意味については、第1期の最終回で千明のナレーションで明らかになる。
「寂しくない大人なんていない。
だからこそ、寂しさを埋めるために恋をするのはやめよう。
恋がなくたって素敵な人生は絶対あるはずだ。
人生って自分の未来に恋することなのかもしれない。人生への恋はまだ終わらない。
もし、これから誰かと恋をするとしたらそれを最後の恋だと思うのはやめよう。
次の恋は最後から二番目の恋だ。そのほうが、人生はファンキーだ」
(しつこいけど!)千明の年齢に近づいた今、思う。私は自分の人生がようやく愛おしいと思い始めてきた。千明の言葉を借りれば「人生に恋している」。そして、未来だけではなく、今の自分にも恋している。そう、年を重ねるって最高だ。
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