1年ぶりNHKレギュラー復活「ブラタモリ」が好調も…心配な観光番組化、案内役とのやり取りにも無理が
1年ぶりにレギュラー復活したNHKの散策番組「ブラタモリ」が好調だ。世帯視聴率は2ケタキープ、山名啓雄メディア総局長も定例会見で「現役世代から70歳以上まで、幅広い世代に見ていただいている。改めて番組の人気を確認している」とわざわざ言及したくらいだから、かなりの手応えがあるのだろう。
これまでとちょっと違うのは、ひとつの町やテーマを単発や前後編ではなく、何回かのシリーズにしたこと。放送時間も45分から30分に短くなった。今年80歳になるタモリの負担を軽減しようという配慮なのだろう。
復活第1弾は桑名から伊勢神宮までの伊勢街道編で、それぞれの宿場の成り立ちや江戸時代からの痕跡を紹介しながら、タモリの大好物の追分(街道の分岐点)や坂道も登場してお約束通りの「ブラタモリ」だった。
続く宮古島編は2階建てバスで島内を回り、タモリは島が断層だらけであることに驚き、琉球石灰岩のうんちくも披露した。
「タモリはいつもの軽妙洒脱だし、新たな同行アナの佐藤茉那も気さくな印象で違和感はなく、ブラタモリファンの期待を裏切らないスタートでした。気になったのは、“観光案内”が増えたこと。桑名でハマグリ、松阪ですき焼きを食べ、鈴鹿サーキットでアトラクションにはしゃぐというのでは、土曜朝の情報バラエティーと変わりません。宮古島は羽田から3時間近くかかり、島の絶景をめぐったり、宮古馬に餌をやったりでは、果たしてブラブラ散歩と言えるでしょうか」(テレビ情報誌編集デスク)
もうひとつ、相変わらず鼻につくのが、案内役の学者や地元自治体関係者が、わかりきったことをタモリに質問して答えさせようとする演出だ。伊勢街道編でも、由緒ある寺とはいえ、柱の張り紙の「阿弥陀如来」を「なんて書かれておりますか」と聞く。タモリは特別な読み方でもあるのだろうかと戸惑いながら、「あみだにょらい……ですか」と答えると、「はい(その通りです)」。これには、見ているほうもズッコケた。
「高く評価されてきた番組なのですから、もう毎回面白くなくたっていいんです。無理をして、番組の質が落ちるようなことはしてほしくないですね。1カ月置きの放送でもいいじゃないですか」(放送作家)
タモリが案内役に専門的な質問をして、質問された方が博識ぶりにびっくりというのが、この番組の見どころのひとつなんだけどなあ。
(海原かみな/コラムニスト)
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