「あんぱん」ヤムさんの恩返し…釜じいの台詞にホロリ。過去に何があったのか

桧山珠美 TVコラムニスト
更新日:2025-05-31 06:00
投稿日:2025-05-31 06:00

第8週「絶望の隣は希望」#45

 乾パン作りを断ったことで、朝田パンは陸軍に逆らったという噂が広がってしまう。釜次(吉田鋼太郎)は草吉(阿部サダヲ)に乾パンを焼いてほしいと頭を下げる。翌日、朝田家になぜか乾パンの材料が運ばれてくる。

 やって来た憲兵に、すぐに乾パンを作るよう命じられ、戸惑う釜次たち。そこに草吉が現れ……。

【こちらもどうぞ】「あんぱん」名言集は寛先生からヤムさんへ…。相変わらずの登美子、“パンの数”は再婚の匂わせなの?

【本日のツボ】

「絶望の隣は、絶望の2丁目かな」(ヤムさん)

 ※※以下、ネタバレあります※※

 ヤムさんこと草吉が朝田家に来てもう10年が経ったのですね。その間、ヤムさんと釜じいは、トムとジェリーのように何かというとやり合っていました。それでも、心の中ではとうにヤムさんを認めていたようで、「おまんとはそう簡単に切れる腐れ縁やない」という釜じいの台詞にホロリ。

 乾パンを焼きたくないと断固拒否するヤムさんに、「どういて乾パンを焼かんが」と詰め寄る釜じい。さらに「頼む。うちんくの家族のために乾パン焼いてくれ、頼む」、と今度は泣き落とし。

「詮索はせんけど、そこをなんとか堪えてやってくれ」と釜じいに言われ、「へそ曲がりなもんでね。言わなくていいとなったら、話したくなった」と、その理由を釜じいに話し始めます。

ヤムさんの恩返し

 と、ここで場面は翌日に変わります。

 朝田パンに、乾パンの材料が次々と運び込まれてきました。今すぐ、乾パンを製造するように、という憲兵に、「あの、まことに申し訳ございませんが、これはなにかの手違いでは……」と断ろうとする釜じい。

 おそらく、ヤムさんの真意を知り、断ろうとしたのでしょう。その様子を見ていたヤムさん、憲兵に「お引き受けします」と。ヤムさんもまた釜じいの気持ちを汲み、乾パンを焼くことを承諾したようです。ヤムさんの恩返し。

「乾パンはここに記されたとおりに製造し……」と、憲兵か製造工程が書かれた紙を渡され、「昔のまんまだな……」。ここからヤムさんが過去に乾パンを作っていたことがわかります。一心不乱に乾パンを焼くヤムさん、その姿から、おそらくこれを焼いたら出ていくつもりなのだな、というのが伝わってきます。

 釜じいもそれを感じたのか、明け方、朝田家を出るヤムさんの後ろ姿を見送っていました。追いかけようとするのぶをに、「行かせてやれ……これ以上、アイツを苦しめたらいかんがじゃ」と釜じい。

 ヤムさんに何があったのか。そのあたりはいずれ、釜じいの口から明かされることになるのでしょうか。

「焼きたての乾パン、美味しいで~」と無邪気なメイコ(原菜乃華)にホッコリ。

 いずれにせよ、天敵のようなふたりが、最後(!?)に、わかり合えたのはよかったのですが、これでヤムさんが退場してしまうのはあまりにも残念です。またいつか、ふらりと戻ってきてほしいものです

 そして、来週の予告を見ると、いよいよ戦争モードに突入。なんとも気の重い週になりそうです。

桧山珠美
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TVコラムニスト
大阪府大阪市生まれ。出版社、編集プロダクションを経て、フリーライターに。現在はTVコラムニストとして、ラジオ・テレビを中心としたコラムを執筆。放送批評誌「GALAC」、日刊ゲンダイ「あれもこれも言わせて」などで連載中。

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