48歳、乳がん検診の「要精密検査」に衝撃。独居暮らし男の孤独死に重なる…誰にも看取られない恐怖

ミドリマチ 作家・ライター
更新日:2025-06-15 10:27
投稿日:2025-06-14 06:00

スナックのみんなの様子に違和感…

 命の終わりの始まりの可能性があるのに、生を訴えるかの如くドクンドクンと胸が波打つ。

 こんなことは初めてだった。

 ただ、よく考えれば、百恵はもう50近い。どちらかというと不摂生な生活を送っている。祖母と父はガンで亡くなった、いわゆるガン家系である。自分はいずれそうなってもおかしくないのだ。

「いらっしゃーい」

 行きついた場所は、いつものあの店だ。ママは相変わらずの笑顔で出迎えてくれた。

「ママさん…」

「モモちゃん。あら、そんな顔して…。とりあえず、座って」

 ママさんは理由も聞かず、受け止めてくれた。言ってもよかったけど、なぜか理由を聞かれず、彼女は落ち込む百恵の肩を叩いてくれた。

「大丈夫よ。みんな同じ気持ち。今日は飲みましょう」

私のことじゃない…もう一人の死

 ママさんはエスパーなのかもしれない。ハッとして顔を上げる。

 だけど……気がつけば、ママのドレスは、いつもの花柄ではなく、めずらしく黒だった。

 ――たぶん、私のことじゃない。

 どこか嫌な予感がして、その真意を問い返してみる。

「みんな同じって」

「ヤスさん。その様子なら聞いたよね」

「……」

「まだまだお若いのに…」

 ひとり暮らしのヤスさん。最後に会った後、家で倒れて、3日ほど、誰にも見つからずに冷たくなっていたのだそうだ。

#3へつづく:ストゼロでも消えない死への恐怖。介護に離婚…友人それぞれが歩む人生に救われた夜。人が最後に行きつく先は】

ミドリマチ
記事一覧
作家・ライター
静岡県生まれ。大手損害保険会社勤務を経て作家業に転身。女子SPA!、文春オンライン、東京カレンダーwebなどに小説や記事を寄稿する。
好きな作家は林真理子、西村賢太、花村萬月など。休日は中央線沿線を徘徊している。

関連キーワード

ライフスタイル 新着一覧


激レアな“たまたま”3連複! 猫のお導きで最高な一日をスタートしましょ
「にゃんたま」とは、猫の陰嚢のこと。神の作った最高傑作! 去勢前のもふもふ・カワイイ・ちょっとはずかしな“たまたま”を見...
マナー教えてます?「友達の子ども」にモヤった5つの瞬間。ベタベタ触るのはやめて~!
 友達との女子会などに子どもを連れていくママは、友達への配慮が必要かもしれません。いくら仲がよくても「子どもどうにかなら...
母の日の贈り物を“受け取り拒否”する姑たち。花屋が「令和の嫁」トリセツを提案します
 たくさんの人たちがお母様への感謝の気持ちを形や言葉で伝える「母の日」。普段あまりお花に縁の無い方でもこの日くらいはカー...
「喪服」迷子だった40代、ベストな一着に出会う。AOKIでもしまむらでもなく“あの通販”だった
 女性なら誰でも通る茨の道、更年期。今、まさに更年期障害進行形の小林久乃さんが、自らの身に起きた症状や、40代から始まっ...
仕事を辞めたい…辞表を叩きつける前にやるべき6つのこと。まずは一旦落ち着こ?
「今の仕事を辞めたい…」「新しい仕事に変えたい」と悩んでいる方、必見! 今回は、仕事を辞めたくなったときにやるべきことを...
「いいよな~女は」生理休暇中の“心無い一言”5選。取得をためらう理由がここに…
 生理の痛みや不快感には個人差がありますよね。中には立つのもやっとなほど、腹痛や貧血などに悩まされる人もいるでしょう。し...
上司からの“誤爆LINE”が面白すぎる! 社内不倫バレからお局のかわいいギャップまで大公開
普段はバリバリ仕事をこなす上司も、あなたの知らない意外な素顔を持っているかも…。 (コクハク編集部では誤爆にまつ...
ジェントルにゃん、太郎の“たまたま”を見よ! 気品あふれる姿に心が浄化されるんです♡
「にゃんたま」とは、猫の陰嚢のこと。神の作った最高傑作! 去勢前のもふもふ・カワイイ・ちょっとはずかしな“たまたま”を見...
『最後から二番目の恋』千明と和平の“名前がない関係性”の意味を、大人になってやっとわかった
「千明と和平って、付き合ってるの?」 ——現在、フジテレビで放送中の月9『続・続・最後から二番目の恋』にハマってい...
5月の青い空
 この青空、どこまで切り刻まれるのか?
「女は出産して一人前よね」マタニティハイで大暴走! プレママの攻撃がウザいんです
 初めて妊娠・出産をするプレママは、周りからウザがられる場合もあるといいます。高揚感から活発的な行動が増える“マタニティ...
【女偏の漢字探し】「媒」の中に隠れた一文字は?(難易度★★★☆☆)
 知っているようで意外と知らない「ことば」ってたくさんありますよね。「校閲婦人と学ぶ!意外と知らない女ことば」では、女性...
混乱する「2025年7月大災害」騒動。ネット上の噂や陰謀論にハマった人にどう対応すべき?
《イワシやクジラの海岸への大量漂着は地震の前兆や影響である》  この情報に接した4人に1人が家族や友人に話したり、...
スナック的「キープボトル」のお作法。“チャンスボトル”のタイミングは本当に難しい…!
 みなさんスナックといえば、最初に何を想像しますか? まずはレトロな看板、それからカラオケ。そして欠かせないのがキープボ...
パンツ丸出しで大失態!「もう同窓会に行きたくない」と思った時の賢い断り方
 懐かしい同級生と再会できる同窓会ですが、大失態をやらかしてしまった人も。今回は、「同窓会失敗談」と、角が立たない同窓会...
あなたの「推し語り」ドン引きされてるかもよ? 注意したい“聞き手側”の不満7つ
 好きなアイドルや配信者などの“推し”は、あなたの日常や心を豊かにしてくれるはず。そのため「誰かにこの思いを話したい!」...