藤島ジュリー景子氏が「半生」語った話題の本で“語られなかった”核心部分と、今も苦しむジャニーズ被害者たちの人生

更新日:2025-06-11 17:03
投稿日:2025-06-11 17:00

 旧ジャニーズ事務所「スマイルアップ」代表取締役の藤島ジュリー景子氏(58)が半生を語ったという本を出すことで話題になっている。「ラストインタビュー 藤島ジュリー景子との47時間」のタイトルで新潮社から7月に全国一斉発売され、新潮社は「さまざまな立場の方がいらっしゃることは承知しているが、出版する意義があると考えて刊行を決定した」とのコメントを出した。

 ジュリー氏は、ジャニーズ事務所の名誉会長だった故藤島メリー泰子氏の長女で、故ジャニー喜多川氏のめい。公開されている同書の冒頭部分によると、本の出版はジャニー氏による「ジャニーズJr.」ら同事務所の扉を叩いた少年たちへの連続性加害を英BBCが3月に伝えた2023年の12月、ジュリー氏が小説のドラマ化話を持ちかけていた作家・早見和真氏とのメールのやりとりのなかで、その意思を示したのが発端のようだ。早見氏は序章でこうつづっている。

《ジュリー氏は唐突に自分の身に起きた一連の出来事を本にすることを考えていると伝えてきた》

 早見氏のインタビューに答える形式となったのは、そうした流れだろう。ジュリー氏は自らの半生を振り返り、ジャニーズ事務所内でのポジションやジャニー氏、メリー氏との関係からアイドルグループ「嵐」との関わりなどを語っているという。一方で、スマイル社社長に就任した東山紀之氏が「鬼畜の所業」と表現したジャニー氏の性加害について、被害者へ謝罪しつつも、「知りませんでした」との記者会見で主張に変わりはないようだ。

「自伝などを出版し、半生を振り返るのは、リタイア前後の中小企業社長などによくあるパターンで、出版不況の昨今は、それを貴重な収入源として、盛んに営業をかける出版社もあります。藤島ジュリー氏が半生を本にしたいというお気持ちも、出版を決めた新潮社の決断も理解できる気がします。まして藤島氏は著名人ですから、マスコミを通じて報じられ、話題作になります」

 とは、某出版プロデューサー。

「ただ、ジャニーズ連続性加害問題へのマスコミ報道が一段落した現状を鑑みると、少し余裕がみえるといいますか、逃げ切ったという思いもあるのかなという印象も拭えません」と続けた。

■今も苦しみを訴える被害者たちには「補償対象外」と徹底抗戦のスマイルアップ

 記者会見などでリポーターをしている小柳美江氏はこう言う。

「ジュリーさんの本がどのような内容なのか分かりませんが、4桁に及ぶジャニー氏からの性被害者の半生がどれほど残酷だったか、それによって人生を狂わされてしまった人たちに対して、どのような思いでいるのか、お聞きしたいです。東山さんは『法を超えた補償』と会見で宣言しておられましたが、被害を訴えたのに(スマイル社から)被害者と認められず、苦しんでいる方もいます。裁判で補償請求できる地位にあることの確認などを求めているのは、長年、口にすることもできなかった言いしれぬ思いを抱えているからです。にもかかわらず、スマイル社は争う姿勢まで見せています。そうしたことをジュリーさんはどう考えているのでしょうか」

 ジュリー氏は2回にわたって開かれた記者会見のうち1回を欠席、その後、補償問題を含め、公の席に一切姿を見せていない。オープンな場で記者会見を開けば、ジュリー氏への取材が殺到することだろうが、そうする気配は全くない。

 マスコミからはこんな見方も上がっている。

「語りたくないところは語らないということでしょう。本でも、語られていないところは多分にあるように見ています」

 つまびらかにした半生語りより、語っていない核心部分にこそ要注目かも知れない。

  ◇  ◇  ◇

 ジャニーズ問題とフジテレビ問題は深い場所で繋がっている。関連記事【もっと読む】「中居氏問題の根底にある「旧ジャニーズ」の大きすぎる存在…フジは“パイプ役”藤島ジュリー景子氏と関係断絶できるのか」…では、その闇に迫っている。

エンタメ 新着一覧


【おむすびにモヤっと】コロナ禍でもスタンドプレイの結。本編以上に“制作の舞台裏”に興味が湧くばかり
 コロナによる緊急事態宣言で飲食店が営業自粛に追い込まれる中、ヘアサロンヨネダを営む聖人(北村有起哉)は店を開けていいの...
桧山珠美 2025-03-12 18:59 エンタメ
審査員・粗品とM-1審査員の決定的な違いは? 忖度しない芸人ゆえの「ブレない目線」と「ムカつかれる覚悟」
 若手芸人の登竜門である「ytv漫才新人賞」(読売テレビ)が3月2日に開催された。霜降り明星の粗品が初めて審査員を務め、...
帽子田 2025-03-12 06:00 エンタメ
Kōki,が鼻につくのは宿命か。両親から学んだ「2代目キムタク」としてアンチを無視するブランディング
 木村拓哉と工藤静香の次女という“十四光り”で注目を集めて来たKōki,。先月は主演映画『女神降臨』の宣伝を兼ねて、『世...
堺屋大地 2025-03-12 06:00 エンタメ
【おむすびにモヤっと】弁当開発に「病院の管理栄養士」の売りはもう不要? “新型コロナ編”にも懸念が…
 新型コロナウイルスの感染が日本で初めて確認されて病院で警戒感が漂う中、コンビニ弁当の開発をしないかという幼なじみの菜摘...
桧山珠美 2025-03-10 17:30 エンタメ
火曜深夜が熱い!FANTASTICS冠番組の対抗馬は純烈? 映画ぼくまほの八木勇征は大スクリーンで観るべき
 映画『僕らは人生で一回だけ魔法が使える』(ポニーキャニオン配給)を観て来ました。タイトルに“魔法”がつくと、まるで魔法...
【おむすびにモヤっと】なっちゃん抜け駆けで「栄養はエエヨ~」は結(橋本環奈)に相談しなかった?
 コンビニ弁当の開発案を豊岡部長(隈本晃俊)にプレゼンする菜摘(田畑志真)は、今の説明ではダメだと言われ、結(橋本環奈)...
桧山珠美 2025-03-08 06:00 エンタメ
「芸人=女とギャンブル」の時代は終わった。M-1王者・高比良くるまの謹慎がもたらすもの
 吉本芸人の相次ぐ「オンラインカジノ」問題。M-1王者令和ロマンをはじめ、ダイタクや9番街レトロなど劇場の人気者たちが次...
帽子田 2025-03-07 06:00 エンタメ
【おむすびにモヤっと】商品開発7年目なのに、なっちゃんの知識不足設定と結への謝罪が不憫すぎる
 結(橋本環奈)と菜摘(田畑志真)は、考案したコンビニ弁当がなぜダメだったかを製造担当の管理栄養士から聞き、開発を断念す...
桧山珠美 2025-03-05 18:15 エンタメ
【おむすびにモヤっと】変顔炸裂の第22週。名も無き管理栄養士が大手コンビニで商品共同開発の“ミラクル”
 結(橋本環奈)は仕事柄、栄養指導をする立場にあるため、患者から怖いとか厳しいと言われ、そのことに複雑な気持ちになってい...
桧山珠美 2025-03-03 17:30 エンタメ
大倉忠義“授かり婚”でますます追い風…イクメン俳優花盛り! 林遣都は赤ちゃん言葉で子育て奮闘
 大倉忠義(39)、結婚! またひとり独身イケメンが旅立ってしまいました。お相手は<一般女性>とのこと。またしても<一般...
【朝ドラおむすび】通夜の親族席最前列に知らない中年女2人…永吉の娘? 一言の台詞もなく忽然と姿を消した
 聖人(北村有起哉)の大学進学用のお金を勝手に人に貸した永吉(松平健)の行為が、米田家の呪いである人助けだったのかどうか...
桧山珠美 2025-03-01 06:00 エンタメ
【朝ドラおむすび】気の毒過ぎる委託会社の栄養士・柿沼。大鶴義丹チョイ登場で気になる“大鶴の恩返し”
 結(橋本環奈)は、聖人(北村有起哉)に永吉(松平健)が大学進学用のお金を何に使ったのかを話し始める。結は米田家の呪いの...
桧山珠美 2025-02-26 17:30 エンタメ
SNSで目立つ「新生timelesz」への厳しい声 オーディション番組なぜ荒れる? マニアでも予想不能な展開に
 話題のオーディション番組『timelesz project -AUDITION-』(Netflix)が最終回を迎え、待...
【おむすび】米田家4代食卓トークにモヤっ。盛り上がらないドラマで盛り上がらない万博の“宣伝”効果は?
 福岡・糸島に住んでいる永吉(松平健)と佳代(宮崎美子)が神戸にやって来る。結(橋本環奈)はてっきり聖人(北村有起哉)の...
桧山珠美 2025-02-24 17:30 エンタメ
新生timeleszに国民的人気グループの目。タイプロ開催で佐藤、菊池、松島メンバーの3人が自ら選んだ意義
 旧ジャニーズのグループのなかでも「Sexy Zone」という名前はいかがなものかと常々思っておりました。中国表記だと「...
現役芸人が見た『ホットスポット』のすごさ。お笑いのテクをドラマに落とし込む「バカリズム脚本」の妙
 バカリズムが脚本を担当したドラマ『ホットスポット』(日本テレビ系、日曜22時30分~)が話題だ。毎回の放送終了後にはS...
帽子田 2025-02-23 06:00 エンタメ