本当のルッキズムってなんだ? Z世代が支持するグループ「HANA」が社会に“No”を突き付けた影響

宮本デン ライター
更新日:2025-06-25 11:50
投稿日:2025-06-25 11:50

「声と人生を見せて」『ノノガ』が示したルッキズムに対する姿勢

 かつて自身もルッキズムにひどく苦しめられたちゃんみなが『ノノガ』で提示した判断基準は「声と人生」。「身長、体重、年齢はいりません、ただあなたの声と人生を聴かせてください」というメッセージは、ルッキズムに疲弊した現代社会に生きる人の心を一気に掴むには強すぎるフックでした。

 ちゃんみなが示したのは従来のルッキズムや、反転によるアンチルッキズムの次元ですらない態度。そもそも外見は評価基準に入らない、という姿勢。

 それでもアーティストとして人前に出るのならば、「でもやっぱり見た目も大事なのでは?」という考えがよぎる人も少なくないはずです。視覚情報が持つ影響力の強さを、私たちは日々実感させられているのですから。

 そんなルッキズムの矛盾に再度陥りそうな疑問に対して、ちゃんみなが提示したのは「自分をどう魅せることができるかを評価する」という基準。

 自分の声と人生を最高に魅せるために、メイクや服装などを通して磨くことができるか——ルッキズムではない、他人を介在させずに自分と向き合う。外見との付き合い方が示された瞬間です。

 これこそが現代社会において、ルッキズムに真っ向から対抗できる、現実的な価値観なのではないでしょうか。

「見た目とどう向き合うか」を自分で選び取る

 実際に彼女たちはその言葉を糧に、あまりに魅力的な存在へと進化しました。

 オーディション開始当初は「自信がない」「見た目が原因で落とされてきて......」といった苦しい過去を口にすることも多く、従来の女性アーティスト像に当てはまらない部分に対して心無い言葉を掛けられることも多かった彼女たちですが、現在はロールモデルとしても熱い支持を得ています。


「こういう悩みがあるならこうスタイリングをすればいいんだ」
「こういう骨格ならここを鍛えれば綺麗に見えるんだ」

 自らの身体的な特徴を無理やり変えるのではなく、最大限に活かしてパワフルに踊り、歌い、心を揺さぶる姿は見る人の心を掴み続けていくでしょう。

 臭いものに蓋をするような逃避ではなく、「見た目とどう向き合うか」を自分で選び取り、行動していくことは、アンチルッキズムを大きく進める一歩となりえるのです。

宮本デン
記事一覧
ライター
1993年神奈川生まれ岩手育ち。ネット文化を愛し、ネット文化と共に生きるサブカルライター。大衆が作り出すカオスがどこまでいくのか見届けたくて、ネット文化や、音楽などサブカルチャー全般に関する執筆をしています。愛するものを深掘りし拡大、視点を変えて照らし合わせて。世界の解像度を上げることをひたすら追求しています。

関連キーワード

ライフスタイル 新着一覧


アルハラ回避! スナック嬢が実践する「酔わない飲み方」3つ。お酒嫌いは「あの飲み物」を垂らしてみて
 みなさんはお酒好きですか?もちろん種類によって好き嫌いがありますよね。実は私、水割りと呼ばれるものが苦手です。焼酎でも...
育休明けのフルタイム復帰、育児家事と両立できるか不安…。キャパオーバーの悲劇を回避する3つの方法
 育休明け、いざ職場にフルタイム復帰することになった時、ママたちの脳裏にはさまざまな不安が押し寄せますよね。子供のことや...
職場バレンタインのトホホなエピソード6選。今年はどうなる? あげても地獄、あげなくても地獄だよ…
 もうすぐ恋する女性の一大イベント、バレンタイン! 好きな男性や彼氏にどんなチョコレートを渡そうか、今からソワソワな女性...
また値上がり!? 40代主婦が物価高を痛感した瞬間と節約サバイバル術4選。買い物は私一人で行きますよ
 続く物価高で、家計のやりくりを頑張っている主婦は多いはず。それでも追いつかないくらいに、物価高の実感は日々高まるばかり...
ねこプロレス第2弾! 挑戦者の尊すぎる“たまたま”ぽろりに延長戦希望
「にゃんたま」とは、猫の陰嚢のこと。神の作った最高傑作! 去勢前のもふもふ・カワイイ・ちょっとはずかしな“たまたま”を見...
春と幸運を呼ぶ「球根付き切花」を長持ちさせる意外な注意点。あー、見るだけでワクワクが止まらない!
 立春を迎え暦の上でも春。猫店長「さぶ」率いる我がお花屋の立地は神奈川の片田舎ですが、1月の終わりごろからど偉いエネルギ...
事例ありき? お役所仕事だな。街路灯ランプをLEDにするだけなのに、なぜかてんやわんや…
 本コラムは、地元の“幽霊商店会”から「相談がある」と言われ、再始動の先導役を担う会長職を拝命することになったバツイチ女...
ホットフラッシュvsニット。“セーター”に恋焦がれる更年期世代から「エアリズムニット」の提案
 女性なら誰でも通る茨の道、更年期。今、まさに更年期障害進行形の小林久乃さんが、自らの身に起きた症状や、40代から始まっ...
誕プレで発覚! 親友と思ってたのは私だけだった…思わず虚無感を抱いた切ないLINE3選
 友達とLINEをしている時に、思わず虚無感を抱いてしまったことはありませんか? 人は、あまりにも自分の気持ちを無視され...
計算されたような曲線美! 塀の上の“たまたま”が放つ怪しい魔力
「にゃんたま」とは、猫の陰嚢のこと。神の作った最高傑作! 去勢前のもふもふ・カワイイ・ちょっとはずかしな“たまたま”を見...
変わらず、光り輝いて
 街中にある機関車の車輪。  自分の背丈ほどの巨大な車輪を30年以上、1日も欠かさず磨き上げた人に出会ったのは、も...
【女偏漢字探し】「季」の中に紛れ込んだ漢字は?(難易度★★☆☆☆)
 知っているようで意外と知らない「ことば」ってたくさんありますよね。「校閲婦人と学ぶ!意外と知らない女ことば」では、女性...
プライド高っ! マウントをとる女の闘志メラメラLINE3選。バッグの値段、婚活の人数、子どもの習いごと…
「あなたより私のほうがすごい」と相手より優位に立とうとする女。そんな“マウントをとる女”は、LINEでも闘志メラメラのよ...
無意識な「フキハラ&ちくちく言葉」で職場のモチベ下げていませんか?
 相手を遠回しに攻撃する人いますよね~。不機嫌な態度で周りを威圧する「フキハラ」に加えて、嫌味たっぷりの皮肉っぽい「ちく...
フジテレビ問題で物議…【弁護士解説】職場や取引先との飲み会、部下や後輩とトラブルにならない誘い方は?
 芸能界を引退した中居正広氏(52)の女性トラブルを巡って、幹部社員の関与が疑われているフジテレビ。トラブルが発生してい...
「寒い。めんどい。やる気でない」を打ち破れ! 40女が実践するランニング継続のコツ
 1月ももう終わり。2025年の抱負として「運動習慣を身につける」と掲げた方も多いのでは。  仕事前にちょっとひとっ走...