中島歩「あんぱん」の名演に視聴者涙…“棒読み俳優”のトラウマ克服、11年ぶり朝ドラで進化
視聴者が涙する名演技を見せた俳優の中島歩(36=写真)。放送中のNHK朝ドラ「あんぱん」に出演中で、今田美桜(28)が演じるヒロイン・のぶの夫である若松次郎を演じている。一等機関士として働いていたが、「肺浸潤」という肺病に罹患し、入院を余儀なくされるという役柄だ。
ドラマウオッチャーで芸能ライターの山下真夏氏は、「6月23日放送回での中島さんの演技が深く印象に残っています。病に伏してベッドの上、という制限が多い設定の中、中島さんは次郎の心情を繊細に表現した。もどかしそうに時折、体を動かしながら話す様子は、のぶという愛妻を残して逝くかもしれないという焦りの表現とも捉えられた。かと思えば、笑顔をつくる様子はまだ生きたいという生への渇望にも見えて……涙してしまいました」と話す。
次郎は6月24日放送回で帰らぬ人に。のぶを優しく包み込む大人の男の余裕と穏やかさに多くの視聴者が《次郎さん、素敵》《もうちょっと出てほしかった》《次郎さんの演技に泣かされた》という声を残している。
中島にとって朝ドラは「花子とアン」(2014年度前期)以来、11年ぶりの出演。同作ではヒロイン・安東はな(吉高由里子=36)の親友・嘉納蓮子(仲間由紀恵=45)と恋に落ちる帝大生・宮本龍一を演じた。中島にとってはそれが初のテレビドラマレギュラー出演。ルックスの良さと身長186センチで長い手足を持つ抜群のスタイルで、登場時は話題となったのだが……。
「まだあの当時は演技がついていっておらず、《棒読み》なんて辛辣な声が視聴者から相次ぎました。それは中島さんの耳にも届いていたようです。最近の取材で、中島さんは『納得のいく演技が全然できず、評判もよくなかったので……。今回、それがトラウマになっているんだなと感じました』と話されています。次郎の演技しか知らない人にとっては、想像できないかもしれませんね」(エンタメ誌編集者)
■吉田鋼太郎の演技と比較され…
その一方で、「花子とアン」では、蓮子の夫で“九州の石炭王”嘉納伝助役に扮した吉田鋼太郎(66)の芝居は瞬時に視聴者の心を掴み、お茶の間に《伝さま》ブームを引き起こした。中島演じる龍一とはいわば敵役ともいえる役柄だった。
「当時の吉田さんはテレビドラマ界ではまだ馴染みが薄かったかもしれませんが、演劇界ではすでに《演劇界の宝》的存在。滑舌の素晴らしさ、舞台のどの場所にいても人の目を引く存在感。まさに威風堂々というイメージしかない。そんな吉田さんと新人だった中島さんの演技と比べるのはあまりに酷な話ですが、吉田さんが目立てば目立つほど中島さんにケチがついてしまった」(前出の山下真夏氏)
■「ふてほど」にも出演
本人にとっては苦い思い出となった朝ドラ初出演。が、その後は順調にキャリアを重ね、昨年は阿部サダヲ(55)主演の人気ドラマ「不適切にもほどがある!」(TBS)の教師・安森役で再び注目を集めた。
「何とも言えないユーモアセンスも中島さんの持ち味のひとつだと、『ふてほど』や放送中のキンチョーのCMでよく分かりました。初めてのドラマのレギュラーで演技に厳しい声が飛んだのに、諦めずに地道に進んだ。正直な話、まったく演技が進歩しない役者さんもいますが、中島さんは初期と比べて段違いに飛躍した。ここから先、もう芸能界の立ち位置は安定でしょう」(ドラマ制作会社スタッフ)
2度目の朝ドラ出演は中島にとっても納得のいくものとなったに違いない。
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